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笑顔を創る魔導具師セレナは、今日も世界をつないでいる  作者: 八坂 葵
第7章 黎明祭(プリマルクス)

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第109話 油断の代償

「う、ん……」


 目を覚ますと、すぐ目の前にマリーナの顔があった。


「うわあっ!」

「キャー!」


 私の叫びにマリーナも叫び声をあげる。

 おかげで周りの部屋から何人も人が集まり、しまいには寮母のヴァレリアさんまでが、すごい勢いで階段を登ってきた。


「あんたたち、大丈夫かい!?」

「あっ、ええ、すいません。ちょっと大きな虫がいたので。もう外へ逃げていきましたけど」

「人騒がせな。まあ、何事もなくてよかったよ」


 マリーナのとっさの嘘に、みんなは興味をなくしたように、散っていく。

 部屋には再び静寂が戻ってきた。


「もう、いきなり叫ばないでよ。こっちまで驚いたじゃない」

「起きて目の前に顔あったら誰でも叫ぶわよっ! ……っていうか何してたの? 私の寝顔なんて覗き込んで」

「うん、なんかセレナが寝言言ってたから、何言ってるんだろうと思ってさ」


 なんて悪趣味な。

 そういうのは聞かないのがマナーじゃないの?


「なんかミオ、とか魔石がどうとか、途切れ途切れだったから結局分からなかったんだけどね。それよりなんか考えついた?」

「ああ、ちょっとだけ方向性はね。まだ具体的にはこれからかな」


 平静を最大限装ってそう答えたが、今なんて言った?

「澪」?

 もしかして私、あっちに行ってる時のこと寝言で口にしてたりしてるの!?


(ちょっと、澪、どーいうこと?)

(そんなの私だって知らないよ。セレナが普通に寝てれば分かるけど、ここに来てる時は外のセレナのことなんて分からないもん)


 マズイ……。

 今回はたまたま途切れ途切れだったからよかった。普通に会話を口走ってたりしたら、一、二回は変な夢でごまかせても、それ以上は無理だぞ。


 ちょくちょく遊びに行こうと思った矢先に、これだ。


(ねえ、たぶんセレナにはヒドイことなんだけど言ってもいい?)

(事前に確認するとか成長してるじゃない。なに?)

(例え聞かれても、たぶん「セレナだからね」の一言で終わると思うの)


 ……


 自分でも一瞬納得してしまった。

 も、もうこの話は終わり。

 澪のところ行く時は、夜寝る時だけにしよう。

 で、寝言を聞かれたら変な夢を見てたってことにする。


 ◇◆◇


「で、マリーナの方の首尾はどう?」

「あの融雪装置やってるけど、やっぱりセレナとやって引っかかってるところがなかなか、ね」


 そう言って表情を曇らせる。

 屋根に設置する魔導具なので、出来る限り薄く仕上げて屋根への負担を減らしたい。

 しかし薄くすると焼き付けた瞬間、穴が空いてしまい、なかなかうまくいかない。

 おかげで何台の机を焦がしまくって先生に怒られたことか。


「今日はマリーナだけ?」

「ううん、マルクスくんとリディア、あとティミナとクーラも来てたよ。」

「おお、いっぱい。みんなも苦戦してそう?」

「リディアは私たちのやつだからアイデア自体の苦労はなくて、より性能を上げるためにってところで頑張ってたわ」


 リディアはマリーナとカリウスが以前考えた、光るネックレスのアイデアをもらったそうだ。

 黎明祭(プリマルクス)のおかげで完成させる必要がなくなってしまったが、もったいないし、女性のためになるからと二人に頼み込んでいた。

 リディアらしいな、と思った。


「マルクスは?」

「なんかね、シワ延ばし器? 作ってるって」

「シワ? それって顔? 服?」

「服の方。アイロンだとアイロン台だして、服をピチッと伸ばさないとダメじゃない? だからハンガーに掛けながらシワ伸ばせたらいいなって」


 こう言っちゃなんだけど、男の子が考えつくような感じではなさそうだけど、なんでそれにしたんだろ?


「なんかマルクスの工房って、従業員さんの制服も全部お母さんがやってるんですって。それを見て、せめて少しでも楽になればって」

「うわー、すごく優しいじゃん! お母さん泣いて喜ぶだろうね」

「で、ティミナとクーラはまだ何にしようか思いつかないってさ。あの子たちは開発の授業もまだだから大変かもね」


 みんな頑張ってるなぁ。

 私も明日の休みは学校行って試作してこよう。


「あ、セレナ、鍵返すね」

「明日は行かないの?」

「うん、みんなも明日は家で考えたり、気分転換してくるってさ」

「えー、じゃあ私一人じゃん」

「もしかしたらルディ先輩とかカリウスくん来るかもしれないじゃない」


 うーん、ルディ先輩は来たら横に付きっきりでいられそうで嫌だな。


「それなら人畜無害のカリウスだけが来るように願っておこう。私は明日はじっくり取り組みたいし」

「ま、いきなり告白とかされないように気をつけてね」

「カリウスと告白って、マルクスがグレるくらいあり得ない組み合わせじゃない」


 私たちは笑い合って、そのまま夕飯を食べに食堂へと降りていった。



 そして翌日、すっかり油断していた私は、あれこれ振り回されて疲れ果てて帰ってくることになる。


 目覚めて目の前に顔とかトラウマ級のビックリですよね(笑)

 そしてバレかけた澪のこと。あの世界に遊びに行くときは要注意ですね。


次回、第110話「高鳴る胸」


 休みの日に研究室で試作を重ねるセレナ。そこへカリウスも試作にやってきて……。

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