3回目 常連客
これはある一人の男性が
体験した話です
男性は昔よく来ていたファミレスに面接に来て
合格をもらった数日後から働きました。
お店はいつもお客さんがいっぱいいて
賑わっていました。
ただ一つ男性は近ずきたくない
席がありました
その席にはいつもおじいさんとおばあさんが
座っていました
いつ来ているのか帰っているのか
分からないのです
気づいたら居て気づいたら
いなくなっているのです
でも毎日いることは知っていました
その席だけ異様な雰囲気だったからです
男性は昔に先輩にその席にいる人について
聞いたことがありました
先輩が言うにはその人たちは
「常連客」と呼ばれているそうです
いつから来るようになったのか誰も
知らないそうです
みんな気づいたらいたと話していました
男性はあることがずっと気になっていました
それはほかのお客さんや店員は
常連客のことを気にする素振りをしないのです
明らかにおかしい雰囲気
なのにと考えていました
ある日男性が仕事の準備を終わらせ
ホールに出てきた時ふと
例の席に目を向けました
席には誰もいなく異様な雰囲気もありません
でもお客さんを案内している先輩は
絶対にその席を案内しませんでした
不思議に思った男性は先輩に聞いてみました
すると先輩はためらいながらも話しました
その席に座ると何故か不幸なことが起こる
と言われていると話してくれました。
ある時はその席で食事をした
お客さんが食中毒を起こしたり
病気が悪化したり
怪我をしたりなどがありました。
それから席にお客さんを案内するのを
辞めてなるべく他の席にしていたそうです
ある時からその席に常連客が
ずっといるようになって
店員みんな良かったと思いました。
先輩の話を聞いてもまだ
男性は納得していません
なにかが頭の中で引っかかっていました
そこで男性は調べてみることにしました
次の日男性は暇な時になるべく例の席を
調べようと近づきました。
どんなに男性が近づいても
そこに座っている常連客は
こっちを見ませんでした
そんなことを1週間ほど続けていました。
それでも害はあるのか何をしているのか
何も分からないままでした。
ある日子どもが例の席に近づきました
席に近づいた瞬間
子どもは急に座り込み苦しんでいました
お店にいた人全員が子どもに気づきましたが
その子のお母さんもみんなも席に
近づくことができませんでした。
男性はどうすればいいのか分かりませんでした
でも子どもを助けないとという気持ちが
大きくなり考える前に体が動いていました
そして子どもに抱きついた時我に返りました
ふと上が気になり顔を上げてみると
そこに座っていた常連客の
おじいさんとおばあさんがこちらを見て
笑っていたのです。
その顔はこの世のものとは思えないほど
口が大きく横に開いて目は真っ黒でした
男性は顔を見た瞬間動けなくなりました
数十秒間動けないでいると
後ろから先輩の声が聞こえてやっと動けました
急いで子ども抱えて先輩のところに行くと
常連客はいなくなっていました。
男性はその後早退し家に帰りました。
家に帰って男性はずっと考えていました。
そしてひとつの答えにたどり着きました
次の日男性は今日でここを辞めますと
店長に言い最後の仕事をしました。
帰る前に最後のまかないを食べました
男性はあえて例の席に座りました。
そして食べ終わって出口の前で
もう一度自分が座っていた席を見て
小さく笑いました。
その幽霊が優しい幽霊であることを願いたいです
優しい幽霊でも怖いのは変わらないですけど
なぜ男性が最後笑ったのかあなたはわかりましたか
まず常連客と呼ばれていた
おじいさんとおばあさんは幽霊です。
そしてその幽霊は男性についていたものなんです
幽霊は男性が気に入っていたのでしょう
男性がファミレスの面接を受けて
働くことになった時にそこに住み着いたのです
なぜ男性が気に入られたのかは誰も知りません
きっと子どもを助けた時に男性は
気づき家で考えた時に確信になったのでしょう
ファミレスが今はどうなっているのかは
誰も知りません。
でも一つだけわかることは
男性は今もおじいさんとおばあさんの幽霊と
一緒に暮らしているのでしょう
1人寂しく孤独に。