1回目 笑わない女の子
初めまして私は実験のサポートロボットです
私には名前が無いので時の人と呼ばれています
そもそも私は人間では無いのですが
そんなとことよりも
早速ですがあなたは被検体です
そんなあなたにひとつ質問です
「人生転生」という言葉を聞いたことはありますか
まず転生という言葉はアニメが好きな人でも
そうでない人でも1度は
聞いたことがあると思います
異世界へ行くことがほとんどだと思います
ですがこのお話は人生を転生するお話
人生転生とは死ぬまでずっと
転生し続けること
誰の人生なのか分からないまま
年齢も性別もバラバラに転生してしまう
そして次の人生に転生すると前の人生のことは
覚えていないのです
これはある女性が体験した
人生転生の話を分かりやすくちょっと変えて
まとめたものを被検体の
あなたにこの本を通して見せます
最後にひとつ
1話1話の最後に私のコメントと言いますか
解説みたいなのが入っています
嫌な人は飛ばしてください
ではどんな話なのか最後までお楽しみください
あるところに女の子がいました
その女の子は笑わない子でした
昔は笑っていたとお母さんから
聞いたことがあります
でも今は1度も笑いません
なぜそんな子になったのか
誰も知りませんでした
ある時お母さんが絵本を
読み聞かせました
でも女の子は表情を変えずに
静かに聞いていました
またある時はお父さんが
釣りに連れていきました
でも女の子は笑いません
女の子は動物園に行きました
動物を見ても笑いません
お母さんは女の子を連れて
洋服を買いに行きました
女の子は洋服を見ても
楽しそうではありません
それでもお母さんとお父さんは
諦めません
水族館でも
遊園地でも
キャンブも
全部ダメでした
そこでお母さんは
習い事をさせてみようと思いました
最初はダンス教室に連れていきました
でも全く笑わない子を見て
先生も子どもたちも
怖がってしまいました
その様子を見たお母さんは
ダンスは諦めました
次は歌の体験レッスンに
連れていきました
でも女の子はレッスンで
1回も歌いませんでした
それでもお母さんは諦めません
次がダメなら他のこと
それもダメならとあれこれ
いろいろ探しました
でも女の子は
何をやらせても笑うことはありません
自分の気持ちを言うこともありません
お母さんとお父さんが諦めようとしている時
女の子はなぜ自分は笑わないのか
どうしてお母さんたちは笑わせようとするのか
不思議に思うようになりました
そこで女の子は自分で
確かめてみたいと思いました
学校で行ったことない教室や図書室に
行ってみました
でも楽しいと思いませんでした
またある時は友達と遊んでみました
みんな楽しそうに遊んでいるのに
笑っているのに
女の子は笑えませんでした
それでも諦めずに
次から次に挑戦しました
女の子はアルバイトをしてみました
最初は飲食店で働きました
でも、1週間働いて楽しいと思いませんでした
女の子はやめました
それならと次はイベントスタッフになりました
でも、覚えることが多くて楽しくないと思い
笑うこともなかったのでやめました
お母さんとお父さんは女の子のことを
諦めていました
女の子が何をやっても何も言わない
そんな毎日が続きました
次第に女の子はなぜ何も言ってくれないのか
疑問に思うようになりました
女の子の目的は笑うから
見てもらうに変わりました
女の子は色んなことをしました
そのうち何か悪いことをしたら見てもらえる
と思うようになりました
その日から女の子はイタズラばかり
するようになりました
家の壁に落書きをしたり
お父さんの仕事道具を隠したりしました
するとお母さんとお父さんは
女の子を叱るようになりました
女の子はやっとお母さんとお父さんが
見てくれたと思い嬉しくなりました
それから女の子は沢山のイタズラをしました
イタズラをしているうちに女の子は
今までのイタズラでは満足しなくなりました
段々と女の子のイタズラは
エスカレートしていき
犯罪ギリギリのイタズラを
するようになりました
そろそろまずいと思ったお母さんとお父さんは
女の子を部屋に入れて閉じ込めてしまいました
ある時お母さんがご飯を持って女の子がいる
部屋を開けるとそこには誰もいませんでした
お母さんはすぐにお父さんに連絡をしました
お父さんはその話を聞いて
警察に連絡をして仕事を早退しました
警察と協力をして女の子を探しました
でも女の子は見つかりませんでした
警察が見つからないと判断し
捜索が中止になりました
それから数日後
お母さんがテレビでニュースを見ていると
連続殺人の犯人が捕まったと報道されました
そのニュースを見た瞬間お母さんは
血の気が引きました
お父さんに連絡してみると
お父さんもネットニュースで
同じものを見ていました
何かの間違いだと思ったお母さんは
警察に聞きに行きました
でも間違いではありませんでした
お母さんはショックで寝込んでしまいました
その連続殺人の犯人は女の子でした
女の子は部屋からでたあと
歩き続けて迷子になってしまいました
道を聞こうと歩いている人に声をかけても
無視されたり逃げられたりしました
ここがどこなのか分からないまま
歩き続けていると後ろから声をかけられました
女の子が振り返るとそこには
スーツを着た男性がいました
男性は女の子に仕事をくれると言いました
それを聞いた女の子はその仕事を受けました
でも実際の仕事は予想より酷いものでした
男性の身の回りの世話や
やりたくない仕事をやらされたり
いいように利用され続けました
次第に女の子は人を信じなくなっていき
心を閉ざしてしまいました
その時昔のことを思い出しました
お母さんとお父さんは女の子がイタズラを
すると叱ってくれました見てくれました
女の子はイタズラをすればまた見てくれる
そう思いました
試しに女の子は壁に落書きをしました
それを見た男性は女の子を殴りました
いきなりのことで驚きました
女の子は困惑していて男性の声が
聞こえていませんでした
少し状況が整理できて来た女の子の耳に
使えない、バカ、気味が悪いなどの
言葉が聞こえました
その時女の子の何かが切れました
女の子は近くにあった道具を持って
ゆっくりと男性に向かって歩きました
男性は異変を感じ女の子を見たあと
腰を抜かして床に倒れ込みました
女の子の顔が見たことないほど
恐ろしい顔になっていました
男性が自分が言ったことやったことを
謝って許してくれと言いました
でも女の子にはその言葉が
聞こえていませんでした
どんなに男性が声を出しても
女の子は止まりません
そして男性は押し倒されてしまいました
女の子は男性に向かって腕を振り下ろしました
その後女の子は何故か楽しいと思いました
近くにあった鏡が目に入り見ると
今まで見たことないくらいの笑顔でした
そこで女の子は気づきました
こうすれば良かったんだと
それから女の子は屋敷にいた人
全員を殺害し外に出ました
街に来てそこでも殺人を続けました
でも楽しい時間はそう長くは続きませんでした
女の子は警察に捕まってしまいました
74人殺害した女の子の判決は
まだ下されていません
まるで小さい子のように喋る犯人に
警察は疑問を持ち資料をみました
すると犯人の年齢は42歳でした
今でも女の子だと思い込んでいる犯人に
警察は恐怖を覚えました
ある時警察が女の子がいる牢屋の前を通ると
そこには女の子はいませんでした
女の子は脱獄をして今も見つかっていません
そしてショックで寝込んいたお母さんも
おかしくなってしまい精神病院に入りました
お父さんは子どもとお母さんを失った
ショックで仕事が手につかずギリギリの
生活を送っていました
たった一人の笑わない女の子の行動で
家族が沢山の人そして気づかないうちに
自分の人生を狂わせて壊してしまいました。
女の子はこれからもっと自分の人生を
壊してしまうのでした
なぜなら今でもずっと
「いたずらってたのしいね
つぎはだれにしようかな」
と思っているからです。
人は残酷ですね。
なぜ女の子を助けなかったのでしょう
笑わない子だったから?
不気味だったから?
それは今となっては誰も分かりません
一人一人の行動で多くの人の人生を
変えてしまうそんなことがいつ起こるか
分からないのが怖いですね
そして女の子は今どこにいるんでしょうね