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作者:

 お母さんが泣きながら言ってた。

 ごめんね、って。

 僕はそれの意味を知らなかった。


 家族のことはあんまり覚えていない。それでも僕は幸せだった。ご飯は食べれるし、寝たい時に寝れる。遊びたい時に遊んでいられる。

 だからとっても幸せだったんだ。

──今日は、あの子なんだ。

 僕の斜め下に住んでる子。確か男の子。僕よりも先にここに住んでいた子。

 ここに住んでる子達の顔はみんな覚えてる。勿論、出て行った子の顔だってみんな。

 名前は知らないけどね。何もすることがないから覚えちゃった。

 今日はあの子が連れて行かれた。もう、帰っては来ない。

 きっと、お母さんたちのところに行けるんだ。

 なんて幸せなんだろう。今の幸せも好き。だけど、やっぱりお母さんたちには会いたい。

 ある日、僕の番が来た。体調のいい日。気分のいい日。僕の住んでいる籠が持ち上げられて景色が揺れた。

 そして見えた。色んな子か僕を見上げている。色んな表情で。それでも楽しいところに行けるって思ってた。

 実際楽しかった。

 いつも通りご飯を貰えた。見たことない景色が沢山見られた。けど同時に怖くなった。いつも通りじゃないことくらい分かってた。

 突然掴まれて口に何かを突っ込まれた。口の中で何かが溶けだした。酷く苦かった。

 その後の事はあまり覚えていない。頭が痛くて吐き気がした。何を飲まされたんだろう。分からない。意識が遠のいていく。

 ねえぼくになにをしたの


──にんげん

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