表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

カルフ、蛍となる

 ときにコメディ、ときにブラックコメディそして風刺、お笑いバカ話などのごちゃ混ぜの、一話読み切りの連載短編集です。

 元となった「カルフ」のシリアスなストーリーと、登場人物や彼らの関係は似ていますが、内容的には関係ありません。


「カルフ」を読んでいない方のために、

 時代背景は磁気軸反転のためにほとんどの科学的力を失った未来、カルフは超レアもののカメムシ型擬似生命体です。

 ドーム都市にはロボットやアンドロイドが存在しますが、この話の登場する子供たちは機械など殆どない村に住んでいました。村で食いっぱぐれた彼らは、関守となって痩せたは土地を耕したり荒れ地を走り回って獲物を追っかけてます。

「あ、ホタル」

 とセリカは小さな光を指さした。その小さな光はセリカの方に飛んできた。

「ホタルじゃないよ。カルフだ」とテンマ。

確かに近くで見るとカルフだった。小さな灯りは頭についている。飛び方も変だ。

「カルフ、どうしたの?灯りなんかくっつけて」

「ライリに頼まれたのじゃ。バランスが崩れて飛びにくいのだが、セリカ姫に見ていただきたくて、取らずに飛んできた。きれいであろう?」

 うん、とセリカは頷いたが、なんで?と言う疑問は残る。

 「カルフは、玉次郎にくっついてここまできたのだ。玉次郎、お利口、役に立つ」

 と玉次郎が現れた。そういう彼は、白いシャツに黒い蝶ネクタイ、銀のお盆を抱えたウェイター風だ。

「キャラバン隊長のライリさんに頼まれた?なあに?新しいミッション?」

「ホテルのウェイターになって情報収集?それとも誰かの部屋にルームサービスを運ぶふりして暗殺かな?」

 とテンマも聞いた。

「スパイ活動ではない。この間、たいしたこともしてないのに色々なものをくれたから、その恩返しじゃ」

「何したの?」

「ホタルの夕べ。ロマンティックな演出に参加したのじゃ」

「カルフ一匹でホタルの夕べになるの?」

「アタシだけじゃない、コガネムシやテントウ虫たちも協力した」

 テントウ虫?セリカは驚いた。いくらなんでもテントウ虫たちには文字通り、荷が重すぎるのではないか?

カルフが見かけより強いのはわかっているが、それにしてもカルフより小さなテントウムシには可哀想な気がしたのだ。

「玉次郎も、たまちゃんと一緒に協力した。ロマンティックディナーの給仕をしたのだ」と玉次郎は自慢げだ。

「好きだな、隊長さんは。まったく!」

 とテンマ。その片棒を担ぐカルフもカルフだ、と思う。

「美蕾様のためじゃ。カルフ一同、久しぶりに使命感に燃えて頑張った」

「ミライさんのため?なんでそこに、ミライさんが出てくるのよ?」

「いや、失言、忘れておくれ。お子様のセリカにはわからぬのじゃ。うふ うふ うふ」

「やめてよ、カルフ!一つの宿場に一人づつ彼女がいるような隊長さんの魔の手に、ミライさんを晒すようなことしないでよ!」

「彼はモテるが、決まった彼女はおらん。ともかくこの豆電球をくっつけていると飛びにくい。取ってくれぬか?」

 テンマが引っ張ってみたが取れない。力を入れて引っ張った。

「そんな強く引っ張るな!頭ごと取れてしまうではないか!」とカルフ。

「だって、取れないよ」

「真上に引っ張ると、なんの傷も、跡もつかずに取れるはずの特殊技術でついているのだ」

 真上に引っ張ってみたが同じだった。どうしても取れない。

 騒ぎに気づいたのかシュンが現れた。彼がやってみると、豆電球はすっと取れてしまった。

「ど、どうして!?」

「真上に引っ張れば取れるんだよ」

 そう言われてやってみたが、セリカもテンマもできなかったのだ。

「キセキだ!いや、マホウかもしれない。そうだ!マホウに違いない!」とテンマは驚愕している。

「タコは神秘的動物だって、カルフは言っていたな。お前はタコか?」と考え込む。

「人間はタコにはなれないって、テンマが言ったんじゃないか」とシュン。

「人間はタコにはなれなくても、タコは人間になれるかもしれない。お前はタコの化身なんじゃないか?」

「タコは変装が得意なんだって。海の忍者と呼ばれているんだよね」

 とテンマとセリカは口々に言った。

「僕、タコより吸血鬼になって、アンティックディーラーになることにしたんだ。ゴローもすごく乗り気だよ」

 テンマが説得して吸血鬼捕獲は諦めたと思っていたのに、実はまだあきらめていないのだとわかった。加えてテンマには、吸血鬼のタコなどは想像もつかなかった。

「吸盤から血を吸うのかな?吸血タコって」とシュンも考えている。

「お前らの頭は超現実的夢想でいっぱいだな」

 とカルフ。

「それが悪いというわけではないが、お前らのための学習プログラムはよく考えないとならない」

 だが、セリカの頭は、ミライの身に降りかかった危険でいっぱいだった。警告に行ったほうがいいと思う。そんなセリカの思いに気がついたのか、カルフは、

「セリカ姫、ネガティブなことばかり考えるなとライリが言っていたではないか。美蕾様には明るく美しい未来が待っておるのだ」と言う。

「カルフは呑気すぎる!人に利用されても気づかないほど優しいミライさんを守るのが、カルフたちの使命なんじゃないの!?」

「美蕾様を一生、真綿に包んで美咲荘園でふわふわ生きていただくわけにもいかないのじゃ。人生とは山あり谷あり。なんの経験もなければ、生きている意味がないではないか」

 セリカには、ふわふわ真綿に包まれて生きていくのがなぜいけないのかわからない。美咲荘園で、美味しいもの作って食べて、きれいな服を着て暮らせれば充分、幸せだと思う。なぜ辛いことを経験しなければならないのだ?

「辛いことがなければ、幸せだとは感じないのだ。全ての良いことは当たり前となり、不満ばかりで生きることになる。

 もちろん、ライリが美蕾様を傷つけるようなことをしたら、アタシはあいつの頭にくっついて自爆してやる。美蕾様の幸せはこのカルフが作るのだ!」

「玉次郎、お利口、役に立つ」

 玉次郎はそう言って、銀のお盆の縁をヤスリで研いで鋭くしては、投げ心地を試している。。

何に使うのかという疑問が、三人の子供たちの頭に浮かんだが、それを口にはしなかった。かわりに、

「ネガティブなことは、考えないほうがいいんじゃない?」

「人を呪えば穴二つって、いうんだよ」

「復讐って虚しいものだって皆、言ってるよ」と口々に言った。

「それは、復讐の快感を味わってから言え!」

 カルフのその言葉に、三人は顔を見合わせた。

磁気軸反転前に作られた疑似生命体カルフの実態は、誰もしらない。彼らには、アシモフのロボット三原則などは存在しないのだと脅威を覚えたのであった。



「カルフ」のスピンオフである「バク~悪食の幻獣」を発表しました。

「カルフ」に登場した、腕に擬似生命パーツが自動装着してしまったバクが主人公です。

乱暴者のバクが、アルフたちを知るにつれて自分の人間としての生き方を考え直す、というサイエンス ファンタジー冒険物語です。

過激な性表現はありませんが、残酷な描写はあります。18歳以上の方は是非、お読みください。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ