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せりか

 ときにコメディ、ときにブラックコメディそして風刺、お笑いバカ話などのごちゃ混ぜの、一話読み切りの短編連載集です。

 元となった「カルフ」のシリアスなストーリーと、登場人物や彼らの関係は似ていますが、内容的には関係はありません。


「カルフ」を読んでいない方のために


 時代背景は磁気軸反転のためにほとんどの科学的知識を失った近未来、カルフは超レアもののカメムシ型疑似生命体です。

 ドーム都市にはロボットやアンドロイドが存在しますが、この話の登場人物は機械など殆どない村に住み、食いっぱぐれた子どもたちは、関守となって痩せたは土地を耕したり、荒れ地を走り回って獲物を追っかけてます。


 



「セロリはセリ科である」

 セリカとシュンが、はちみつ飴にいれるために摘んできた野草を選り分けていると、カルフは言った。

「セリという名が見え隠れするような名前だね。パセリは?」

「パセリもセリ科である」

「やっぱせり?パのセリ?パってどういう意味?」

「葉芹かな?それとも八芹?葉っぱが八重になっているように見えるから」とシュン。

「それはこじつけであろうが。ディルもセリ科」

「どれも香草だね。刺激的な味や匂いがする」

「なんとニンジンもセリ科なのだ」

「セリ科じゃない植物ってあるの?」

 何もかもセリ科じゃないか、と思ってセリカが聞く。

「当たり前だろうが。大量に炭素を使い酸素を作る植物性生物がいなければ、動物などは存在できぬ。つまりは植物が動物を生み出したと言っても過言ではない。そのため種類も多様である」

「ニンゲンって一種類だよね」

「今いる人類は一種類と言われている。ニンジンはニンゲンではない」

 そんなこと聞かなくてもわかる。

でも、朝鮮ニンジンはニンゲンみたいだし、それにマンドレークとかいう植物人間もいると言う。引き抜かれると悲鳴を上げ、それを聞くとヒトは死ぬ。だから目撃者がいないのだ。

「昔は何種類もいたの?」

「数種が同じ時代に併存していたかは謎である。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスのクロマニヨン人は混血したと言われている。そのように磁気軸反転期には、ホモ・サピエンスとアーティフィシャル ライフ フォームも混血したのかもしれない」

「ええ!カメムシ人間!?」

「アタシはカメムシではないと何度も言っておるではないか。ともかくハエ人間がいたという映像が残っている」

「ハエ人間!」

「狼男もいたし狐や狸はヒトに化けてたぶらかすことを喜びとした。今の狐や狸は退化してしまったのだろう。吸血鬼はコウモリとなって空を飛んで人を襲った。加えてトルトリ荒地には妖怪がたくさん住んでいたのだ」

「コメコドームに雪女がいるのは、そう突飛なことではないんだね」

 今も昔もあまり変わらない、とセリカは結論付けたのだった。


 ハチミツ採りに行っていたシオンたちが戻ってきた。

ミオは必要な器具を揃え終わった。いよいよ飴作りだ。

 吸血鬼、あるいはユニコーンを捕まえるための檻を作る、とゴローたちはまだ頑張っていて、飴作りには不参加を決め込んでいる。

その設計を任されて忙しいテンマに近づいて、

「ユニコーンなら檻なんていらないよ」とセリカは言った。

「なんでさ」

「ユニコーンはバージンに撫でられると安心して眠っちゃうんだって。眠ったら、縄をかければいい」

「そんなの、簡単すぎてつまらない」

「Simple is the best って言うんだよ」

 う~ん、とテンマ。たしかに複雑なものは、機械でも計画でも壊れやすいし失敗しやすい。

「同じ時間を使うなら、実現可能な夢に使おうよ。超現実的な夢はお腹がふさがってからにしなよ」

「女のお前には、男のロマンはわからない。武士は食わねど高楊枝というのだ」

「いない吸血鬼を捕まえるために、時間を無駄に使うのがロマンなの?」

「そう言ってしまうと、身も蓋もないな」

「シオンだって、無駄なことに使うお金は出せないって言ってる。材料、どうやって手に入れるのさ」

「第一、今までセリカを狙って吸血鬼が現れていないと言うことは、少なくともこのあたりには存在しない、ということだ」

 とカルフも近づいてきて言った。

確かにそうだ。

「そう理屈で押しまくられると、言い返すすべがない」

 テンマもようやく納得して、ゴローたちを説得するために立ち上がった。


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