187、妖精族の大陸〜悪魔族の大陸
地球の環境と似た星だが違った文明を持つ世界の物語
俺達は地球からグミラス星に戻りこの星での旅を再開する
獣人族の大陸から妖精族の大陸へ渡ると港の小さな町に多種族が暮らしていたが、町からの道は北東部方向にある港町へ続く道しか無い、更にその先にもう1つ港町があるそうで、そこまで1本道があるだけだ
妖精族は自由に飛び回る事が出来るので道が必要ない、他種族で森に入って行くのは自然好きな変わり者だけだ
大陸の南東には大きな湖がありその中に島が有る、その島と湖の岸辺に多くの妖精が暮らしているらしい
「面倒だから飛んでいくぞ」
「珍しいわね、ゆっくりと旅していたのに」(ソフィア)
「いい加減に自分の契約獣の存在を考えることを覚えろ、アカツキが泣いているぞ」
森の中で狭い獣道を苦労して歩く事に不安を感じているアカツキ
「、、、アカツキごめんなさい」(ソフィア)
「乱丸と俺のように信頼関係を築いていないと長時間のペットハウス収納は無理だ、お前が存在を忘れるようでは永遠に無理かもな」
俺達は飛行して湖の岸辺に到着した
「まるで海だな、遠くに小さく見えるのが島か、、、橋はないんだろうなぁ」
「周りに妖精さんがいっぱいね」(ソフィア)
「しかし一定の距離をとって近付いてこないな、警戒しているのか?」
「此処まで来る人なんて滅多にいないでしょうから」(ソフィア)
「此処にいてもしょうがないから島に行くぞ」
島の岸辺に到着しても先ほど同じように距離をとって俺達を眺めている妖精達だった、俺達は島の中央を目指して歩いて行くとひと回り大きな妖精の集団が現れた
「止まれ!人族と獣人族に竜種と狼か、、、何しに此処に来た?」(妖精)
「観光かなぁ、、、あとゲートを探している」
「ゲート?それは何だ?」(妖精)
「何処か別の場所へ通じる門、魔法陣の事だが知らないか?」
「知らないが、生命を吸い込む岩と言うのが獣人族の大陸と鬼神族の大陸に有ると聞いた事がある」(妖精)
「えらく親切?簡単に教えてくれるんだな」
「用が済んだら出て行ってもらいたいだけだ、外部の者は地を荒らすだけだ」(妖精)
「そうか、帰るとするよ[ムーブ]」
俺達は港町まで転移して戻った
「どうして戻ったの?話せば観光させてくれたんじゃない?」(ソフィア)
「あの妖精は俺達に地面を踏まれるのも嫌じゃないのかなぁ〜、歩くだけで草花を傷める事になる、自分達の住む環境を少しでも変えたくないと思っているみたいだった、それにあの妖精かなりの魔法使いだ」
「じゃあ今からどうするの?」(ソフィア)
「悪魔族の大陸を通って鬼神族の大陸へ行く、ゲートの行き先が気になるからな」
大昔の文明で造られたゲートはその時代において交流のあった世界を結ぶ転移装置、1つは赤い皮膚の魔族に頼まれて俺が破壊した、現存するゲートも正常作動する訳ではない、地球とのゲートは時間が歪んだ
他にもゲートがあるなら何処に繋がっているか興味がある、ただそれだけの事だ
長生きしていると最初は感動した異世界の景色も見飽きてしまった
「次のゲートを探しに行くぞ」
「悪魔族の大陸を通って行くのですか?」(ソフィア)
「それが普通だろ」
俺達は港町から船に乗り悪魔族の大陸へ渡った
悪魔族以外の種族が居住しているのはこの一画のみで10キロ先の川向こうには危険で数百年誰も行っていない、と町の人が言っていた
「俺達が数百年ぶりの訪問者だな」
「悪魔族よ、危険で誰も近寄らない場所よ」(ソフィア)
「どれだけ危険かは行かないと分からないだろ?鬼神族の大陸へ行くにはこの道を進むか険しい森を抜けるしか無いからな」
「飛べば行けるでしょ」(ソフィア)
「でも飛ばないと行けない場所では無いからな、ノエルがいたらそう言ってるはずだ」
俺達は悪魔族の居住区域へ向かう
《歓迎!旅人様》と書かれた古びた看板が道に立てられている
「歓迎って書いてあるじゃないか、もてなしてもらえるかもな」
「普通は罠とかと思いますよね」(ソフィア)
「お前、性格捻くれているんじゃないか?」
「前に、、、黒い、、、悪魔族?、、、」(ソフィア)
震えてる声で話すソフィア
道の先に黒い肌をした者が5人並んでいる、今まで見てきた鬼に比べて線が細いし、角も細い
角は2本の者以外に1本、3本の者もいる
「何百年ぶりだ?此処に別種族が来るのは?」(悪魔1)
「五百年位じゃないか?」(悪魔2)
「気を緩めるな何されるか分からないぞ」(悪魔3)
「王からは旅人はもてなせと、命令が、、、」(悪魔4)
「此方からは手を出すなよ」(悪魔5)
「あんたらは悪魔族か?俺達は鬼神族の大陸を目指している通してくれるか?」
「そうだ俺達は悪魔族だ、貴殿達は戦いに来たのでは無いのか?」(悪魔5)
「通過したいだけだ」
「それなら案内する」(悪魔5)
「クロコ絶対に罠よ、大勢の所に連れて行って襲ってくるわよ」(ソフィア)
「かもな、でも進まないと何も始まらないからな」
俺達は悪魔族が用意した馬車に乗り進んで行く、道すがらこの先の状況を聞くと、悪魔城の側を通り鬼神族の大陸へ行く港に続いているらしい、港町は悪魔族しか住んでいないらしい
「港町までは3日程度かかります本日は王が会食の準備をしております」(悪魔5)
「それは有り難い」
「クロコ罠に決まっているでしょ、危険だから今日は何処かで野営しましょ」(ソフィア)
「野営したければ1人でしてきていいぞ、俺は王と会食する」
結局ソフィアも一緒に会食するらしい
会食の会場に入るとすぐに王が現れた、王の名は《ベルグ》自己紹介をして食事をする
食事が進んだところでベルグ王が話し始めた
「クロコ殿、貴殿はこの地へ何故臆する事なく足を踏み入れる事ができた?」(ベルグ)
「此処は危険な場所と言われているが誰も行った事がない、真実かどうか分からない、だったら自分で確認するしかない、それに俺は逃げ足には自信がある」
「ハハハ大した度胸だ、悪魔族と聞いても恐れない真実を知るか、、、」(ベルグ)
「見た目や噂に振り回されるほど愚行な事はない」
「面白い男だ、鬼神族の大陸へ行くと聞いているが好きなだけ滞在していい」(ベルグ)
「有り難い話だが先を急ぐ明日朝に此処を発つつもりだ」
「そうかならいつでも来い歓迎する」(ベルグ)
翌朝俺達は多くの悪魔族に見送られ城を発ち鬼神族の大陸を目指した
「何ともなかっただろ」
「そうだけど、、、それはクロコが強いのと転移で逃げる事も出来るからでしょ、普通は警戒するものなの」(ソフィア)
「そうかもな、次の鬼人族も歓迎してくれるといいな」




