180、帰還
地球の環境と似た星だが違った文明を持つ世界の物語
俺達は獣人の大陸の首都でもてなしを受けている
食事も酒も高級なものをいただいている、俺の横では意気投合した女王様とソフィアの話が止まらない
乱丸達も一緒に食事をしているがコハルだけは特別扱いされている
「コハル様〜命ある間にお会いする事が出来光栄の極みでございます」(モブ獣人×大勢)
コハルだけが俺達とは違う場所で、豪華な椅子に座って大勢の獣人から敬拝されている
「コハルは何しているんだ?」
俺は近くにいた給仕係に尋ねてみた、すると
「此処では黒狼様は最も気高い存在、黒の色が深ければ深いほど、光を吸い取りそうな毛色のコハル様は神の化身と皆思っています、また4頭の白狼は黒狼と行動して平和に導く存在、この地に伝わる言い伝え、お伽話みたいなものに出てくる登場人物と同じ状況です」(給仕係)
と言う答えが返って来た
宴は夜通し行われ、、、次の日も次の日もと3日間続いた
「ソフィア、此処に来た目的は覚えているのか?」
「大丈夫よゲートのありそうな場所は聞いているわよ、此処から南東の方角に大きな山があるその中腹に洞窟がありその奥に魔法陣の描かれた大きな四角い石があるってよ」(ソフィア)
ロベリア星の赤鬼の地への入口みたいなのがありそうだな、おそらくそれを潜れば、俺の予感通りに、、、
ソフィアは見れば分かる王族の血を受け継ぐ者、コハルは神の化身、乱丸達も神と行動を共にする者、アカツキはソフィアの契約獣で、、、此処から先は、、、色々と考え翌日の早朝、俺は1人南方の山を目指す
久しぶりの1人旅、召喚されてから千数百年1人で行動するのは久しぶりだ
俺は体力を消費させないため獣とは極力戦わないように山を目指して進んでいる、2日間移動して森を抜け山の麓に到着した、山への道の脇には看板が有り『この先危険!』と書いてあって腰の高さくらいの石の塀がある、間違って入りましたと言う事が無いようにするためだろう、勿論俺は自分の意思で塀を越え先へ進む
山道を進んで行くが何かある訳ではなくただ景色を見て歩くだけだが、かなりの高さ酸素も薄くなり気温も下がる、数日かけ洞窟の入口に着いた、此処にも看板が有って『入ると戻れません』と書いてある、此処も気にせず通過して進んで洞窟の奥を目指す
1時間くらい歩き最奥部に到着した、俺の予想通りに以前見たゲートに似たものがある、通過すれば異世界へ行く事が出来る、俺の予感通りなら異世界ではなく元の世界へ行く
千年以上の月日で地球はどの様になっているのだろう、俺の能力は元の世界に戻ってもそのままなのだろうか、戻っても知り合い入るはずもない、以前は戻る意味などないと思っていたが最近急にホームシックにでもなったかのように帰る事を考える、居場所はあるのか?俺の戸籍は?年金は?色々と考えがめぐる
行くしかない、後は意思を固めるだけだそう思っていた
「ワオォーン[クロコー]」(乱丸)
「クロコ何1人で行こうとしているの」(ソフィア)
俺に駆け寄るソフィア達、俺は今、、、ゲートの前だ、押されればそのまま、、、
「ソフィアそれ以上近づくな、まだ心の準備が、、、」
と、押された勢いでゲートを潜った、ソフィアも乱丸達も全員
光に包まれフッと身体が軽くなって何度か経験した感覚だ
身体の感覚が戻り数十秒少しずつ目も慣れて景色が見える
足元には朽ち果てたアスファルト懐かしい感触だ
辺りを見まわすと建物には草木が絡みつき、人はいないし車も走っていない、なんとか読める道路標識には日本語が書かれてある、此処は日本だろうでも何処なんだ?人は何処にいるんだ?
まずは全員の生存確認をして装備、所持品の確認、魔法が使えるか確認した
俺達は少し歩いて移動しながら状況を確認する事にした
歩きながら倒壊寸前の住居等を眺めていると
「君達此処で何をしている?」(警官1)
「おいあれ何なんだ」(警官2)
ちょっと俺の知っている警官とは制服が違うが1人が話しかけ、もう片方の警官が銃を此方に向けている
「気がついたら此処にいて、、、」
「後ろの大きな生き物は何だ?」(警官1)
話しかけてきた警官も銃を此方に向けてきた
「後ろの生き物?後ろにいるのは俺の家族ですが、、、」
俺は千年以上異世界で生活して常識がズレているのを忘れていた
契約獣を家族と言えば俺は頭がおかしいですと言っていると思われても不思議ではない、多くの警官が応援に駆けつけ、その場で危険生物所持の容疑で逮捕された
ペットハウスで収納しておけばこの場は切り抜けたかもしれないが、いつかは同じ事になっていただろう
地球に戻っての初日、俺達は警察署に宿泊する事になった
俺の地球での人生が此処から再出発する




