177、獣人の国での休息
地球の環境と似た星だが違った文明を持つ世界の物語
ブラッククロスからノエルが抜け、契約獣のサクラが加わった
メンバーの入れ替わりは普通の事だがノエルの戦力が無くなったのは大きな痛手だ、歴代の弟子達の中でも特異な能力もだが生き方考え方が違う、俺が最後に彼から習ったのがあいつの魔法
「クロコは僕の魔法をそのまま真似しようとするから複写出来ないのでは?」とノエルは言った、はぁ〜?と意味が判らないと俺が思っていたら「僕は裁縫が得意だからまち針で刺したものを操る、クロコは裁縫苦手でしょ、別のモノをイメージして複写してみたら?」と言った
複写は可能な限り忠実に同じにする事が良い事で高性能の証と考えていた俺に新しい考えを与えてくれた、その場でパッと思いついた先の尖った小さな物が爪楊枝でカッコ悪いがオートマタを複写出来た、今更だがダーツとかがカッコ良かったと思う
先入観を捨て自分自身の能力を客観視して何が最良なのかを考えて技をイメージする、ノエルが俺に教えてくれた事で俺の能力は向上した
俺はノエルから複写したオートマタの訓練のため王城を出たあと森に住むことにした、獣相手に能力の確認をすると次は人間にと思ってしまう、以前ラトナ領でノエルが輩相手に実験していた事を思い出す
俺も人体実験をするつもりだが犯罪者限定で実験する、ギルドで賞金首の情報を得て片付けてしまえば次は現行犯の盗賊で試して俺もこの魔法が完全に使えるようになった、訓練期間の1カ月ちょっと乱丸とサクラを食事の時間以外ほぼ放置していたらサクラのお腹が大きくなって更に1ヶ月後三つ子が生まれた、2頭は親と同じ白狼の雄でヤマトとムサシと名付けたもう1頭は雌の黒狼でコハルと名付けた
子狼のため3ヶ月森で戦闘訓練を行い戦えるようになってから移動を始める
ミルミ王国からロシナンテ王国へその後コパネ王国、セフィロ王国へ行きこの大陸を一周した
一度獣人の国へ戻りノエルの件を報告すると
「その話は知っている」(サーシャ)
「他国とは言え王族の事だから伝わってくるのか」
「いや、この大陸で獣人族は少数民族、人族より下に見られる事の多い獣人が一国の混乱を納めた、これは凄い事なのよ、長である父も喜んでいるわ、ノエルを育てたクロコに感謝して今夜は盛大な宴よ」(サーシャ)
「それは楽しみだ、それと家族が増えたから紹介しておく、乱丸の妻サクラに、その子供ヤマト、ムサシ、コハルだ」
「姉さん私もワイバーンのアカツキを」(ソフィア)
ソフィアが話し始めたがそれを遮るサーシャ
「ソフィア黙って、お前一緒にいて気づかなかったのか?この黒狼は普通とは違うだろ!」(サーシャ)
「何が違うんだ?黒狼なら警備隊員でテイムしている者もいるだろ?」
「獣は能力が毛・目・肌に現れやすい、コハルの毛の色艶は明らかに他とは違う、おそらく伝説級の狼になる」(サーシャ)
「それは俺の手入れの成果じゃ無いのか?」
「どんなに手入れしてもその暗黒色にはならない筈よ」(サーシャ)
「でもどうでもいい事だ、コハルに才能が有っても無くても訓練して、能力に見合った働きをしてもらう事に変わりはない、それにヤマト・ムサシも凄く強いし賢い、俺にとっては同じ家族だ」
「貴方らしい考え方ね、でもこの子が特別なことは間違いない、いつか分かる日がくる筈よ、クロコがこの子に助けられるなんて事があるかもよ」(サーシャ)
その夜獣人の国ではブラッククロス歓迎の宴が盛大に行われた
宴の最中に長から獣人の存在価値を上げたと感謝され何か褒賞をと言われたので、ソフィアの引き取りを希望したが却下されたので、以前もらった剣が俺には合わないので、この国の鍛治士に改良をお願いした、それだけで良いのか?と言われたが毎週バーガジュマルでタダ酒飲ませてもらっているし十分だと答えた
獣人の国では毎日バーガジュマルに通い二日酔いと戦いながら日々楽しく過ごした、10日程経った頃頼んでおいた剣が仕上がった、オクタロッドに似せ少し小さくサイズ調整した俺の専用剣名前は、、、リブレソード、自由の剣と言う意味だ
その後も休息のため獣人の国で世話になり過ごしている間に、獣人の国とミルミ王国との間で友好条約が結ばれた、勿論ノエルの功績である
森の中にある発達の遅れた国と言われる事も多い獣人の国はノエルの活躍で一目置かれる存在となる
十分に休息は取った、これ以上留まる理由もないし、そろそろ出発するかな




