162、闘技場(決戦) 3
異世界でチート能力を授かった男のありふれた物語
俺は闘技場での試合に順調に勝ち続け次かその次にはトップ5と戦える位置まできた
レイナ達も真面目に訓練していればこの位置には来れた場所
俺の言った事だけで満足していたせいで成長が小さい、考えを切り替えなければサーシャにも抜かれる
サーシャは俺の元を去った後故郷に戻り故郷の警備のために自身に厳しい訓練を課していた、元々の素質も十分だったため大きく成長した、レイナ達とサーシャこの両者の違いは大きい
『不動のトップ5』聞こえは良いかもしれないが入れ替わりがないと観客は飽きてしまう、この一角を崩す可能性がある者が現れたなら興行的には良い話し、普段満員にならないトップ5の試合も入れ替わりがあるかも?となれば闘技場は超満員になる、俺の次の相手は5位の剣士ルピだ
試合が決まるとチケットが販売される、一般指定席・特別席の価格は普段の3倍の値段で販売されたがすぐになくなり、転売ヤーが更に価格を上乗せして取引されている、賭け金も相当な金額が集まっている
週末ルピとの試合日、今日は俺の試合前にサーシャの試合がある相手はランキング99位の魔剣士、この相手に勝てばAクラスだ
闘技場に入場すると大歓声が起こるが全て爪牙に向けてのものだった、白い子犬のようで可愛いのだろう
「今日は子犬が相手か?」(魔剣士)
「貴方は爪牙の戦い見た事ないの?」(サーシャ)
「契約獣なんて興味ない」(魔剣士)
「それなら、今日は特別に私が相手をするわ」(サーシャ)
「テイマー風情が粋がるな」(魔剣士)
「試合が楽しみね」(サーシャ)
両者が位置につき試合が開始される
「子犬はかかって来ないのか?」(魔剣士)
爪牙はサーシャの横から動かない、、、後ろに下がって伏せてあくびをし始めた
「戦う価値もないみたい」(サーシャ)
「馬鹿にするな、ウォーターカッター」(魔剣士)
水の刃がサーシャに向かってくるが、剣で切り裂くと水しぶきがサーシャにかかる
「ちょうど水遊びがしたかったの、あ・り・が・と」
「くっそー、ウォーターカッター、ラピッドショット」
今度は複数の水の刃がサーシャに向かってくるが結果は同じだった
「次は私の番ね、クローン」(サーシャ)
闘技場にサーシャが5人現れた
「ファイヤーバレット」
5人のサーシャがそれぞれに魔法を放つ、5人のサーシャは横に弧を描くように広がり魔法を撃ち続ける、魔剣士がダメージを受けたところに今度は剣で攻撃する五つの攻撃を受け魔剣士は串刺しにされた
戦って勝ったのはサーシャだったが声援は爪牙に向けられていた
サーシャ99位でAクラス入りを果たす
闘技場は試合後の整備を行い終わると俺と対戦相手の入場
「今日は、まるでお祭りだな」(ルピ)
長髪金髪のイケメン剣士のルピは仕草もキザで俺の苦手なタイプだ
「いつもは違うのか?」
「貴様は人気者のようだ」(ルピ)
コイツへの歓声が多い気がするが嫌味か?
「何にしても戦いの結果が全てだろ」
「そうだな、始めよう」(ルピ)
この試合からは出し惜しみし過ぎるとやられてしまう、技を見られる事を覚悟して戦うつもりだがテイマーの優位性は遠慮なく使う
「乱丸先ずは遠距離攻撃だ」
[了解しました、ライトアロー]
乱丸のライトアローをルピは簡単に躱す、俺も当たるとは思っていないが体力を消費させる事は出来る、しかしイケメンが強いのは腹が立つ[ダークバインド]闇の手でルピを拘束しようとするが剣で斬られる
「その技は知っている」(ルピ)
「俺も剣を使おう」
アイテムボックスから剣を取り出す[ブースト]身体強化してルピと打ち合う、剣と剣がぶつかる時間が続くがお互いに無傷だ
「決着がつきそうにないな、悪いが魔法で方を付けさせてもらう[インビジブル]」
姿を消して剣を振るがルピは俺の剣を受け止めた
「気配・殺気・空気の動き目で見える物だけで戦っている訳ではない」(ルピ)
さすがランキング5位、今までとは違うようだが[ムーブ]一瞬の移動なら無理だろう、俺は透明化したまま近距離転移を使って移動する、普通なら急所を狙って攻撃するがルピなら防御すると思い左足を斬る
「さすがだクロコ」(ルピ)
「刃が入った瞬間に防御できるんだな、しかしその足ではこの試合中は動けない」
左足から血を流しているがルピは剣を構える
「次は止めてみせる」(ルピ)
「何考えているか知らないが、俺は正々堂々と戦うつもりは無い、乱丸魔法を撃て」
[了解です、ライトアロー、ラピッドショット](乱丸)
[エアーバレット、ラピッドショット]
俺と乱丸2人で魔法を容赦なく撃つ
「乱丸終わりだ、勝負は勝つか負けるかだ俺はどんな事をしても勝つ」
攻撃を止めるとその先に倒れたルピの姿があった、遂にトップ5の一角を崩した




