160、闘技場(決戦) 1
異世界でチート能力を授かった男のありふれた物語
俺は闘技場の対戦申し込みを直ぐにした
死んだと思われていた英雄が生きていた、闘技場としても良い興行と捉え試合が早急に組まれた対戦相手は最近売り出し中のランキング50位の若手魔剣士、試合は週末のビッグカードとして宣伝されている
俺は一応テイマーで当録してある
試合当日、闘技場は超満員レイナ達も来ている
対戦相手の男はイケメンの人気者だ名前はリョウガ会場中に女性の声でリョウガコールが起こる
「すごい人気だな」
「貴方の知名度も戦歴も凄いですよ、でも闘技場には闘技場の戦い方がありますから今日は勝たせてもらいます」(リョウガ)
「相手が俺だと分かっていても自信があるんだな」
「貴方は有名ですから対策出来ます」(リョウガ)
「それは楽しみだ」
試合が開始された
[ブースト]俺は一気に距離を詰めリョウガの左脇腹を殴る、殴った後は離れ次を狙う
殴っては離れ、殴っては離れを繰り返すリョウガはただ受けるだけだ、腹を重点的に殴っている、体力は直ぐになくなる筈だ、リョウガコールは無くなり会場が静かになると「バズッ」「ドスッ」と殴った音が響くようになる
観客はリョウガがただ殴られるだけの試合を見ている
「おい!観客が静かになっているぜ、少しは頑張れよ、俺はまだ魔法も剣も使っていない」
「クッソー」(リョウガ)
リョウガが俺に襲いかかる、頭に血が昇って単調な攻撃をしてくる、何度か躱すと足がもつれて倒れた
なんとか立ち上がってきたが俺は容赦なく、今度は足に集中して蹴りを入れる
剣を杖のようにして立ちあがろうとしたところで顔に蹴りを入れると気絶し試合が終わる
圧倒的に力の差を見せつけての勝利、これで俺が上位選手と次々と対戦しても文句は出ない筈だ
俺は次の試合申し込みを済ませて宿に戻る
「クロコあの戦い方は何故?」(サーシャ)
「俺は特別扱いで50位からスタートしたが、今回よりかなり上位選手でないと試合にならないと主催者に思わせるためだ、上手く行けば次は30位辺りの選手と対戦出来る」
と話していると次の試合予定の連絡が来た、対戦相手はランキング28位のテイマー、契約獣は白虎と強力だ
翌週の2戦目も超満員の観客で試合前から凄い盛り上がりだ
「乱丸、相手は白虎だ大丈夫か?」
[大丈夫です安心して見物して下さい](乱丸)
試合が始まると白虎が向かって来る、テイマーは一応剣を持っているが弱そうだ
白虎と乱丸の戦いが始まる、乱丸は俺と一緒に訓練している最初の能力値だけで満足している獣には負けない、大きさが倍近くある相手に何を思ったか乱丸は真っ直ぐに突っ込んで行く、頭突き?『ゴォーン』と大きな音がしたが乱丸は一歩も引いていない、乱丸は俺の考えを理解して圧倒的に勝つため敢えて大きな相手にパワーでも負けない事を証明した
ぶつかり合いの後は魔法の撃ち合いになった共に光属性でライトアローが中央でぶつかり弾ける、互角と思っていたが乱丸が押し始めた魔法は才能と訓練量、訓練量なら乱丸は負けない、白虎の魔力が底のようだ威力が落ちてきた、乱丸も同じように威力が落ちてきた、魔法はほぼ同じか僅かに乱丸が優っている
「乱丸どうする?無理して欲しくは無いんだが」
[体力、魔力両方とも限界が近いです](乱丸)
「ちょっと狡いが[ヒール]」
[主人ありがとうございます](乱丸)
元気を取り戻した乱丸と疲労困憊の白虎では勝負にならない、乱丸が白虎を倒した
[主人、飼い主もやっていいですか?](乱丸)
「倒さないと勝ちにならない、行け!」
迫ってくる乱丸に剣を振ろうとするテイマー
[雷](乱丸)
乱丸の雷魔法が剣に落ちテイマーを感電させた
「乱丸、見事だ」
俺達は28位相手に完勝した、次は何位の相手がくるか楽しみだ
サーシャも闘技場で試合をしている順調に勝ち進んで今はBグループの140位、爪牙と共にまだ楽に勝っている
と言うか、ほぼ爪牙だけが戦っているらしい
 




