153、Bランク試験
異世界でチート能力を授かった男のありふれた物語
俺と乱丸でマンティスを大量に狩って以来全く出没情報がないらしい、生態系を壊すつもりはないが乱丸と競いながら、つい狩り過ぎてしまった、次の標的を紹介してもらいに行く
「アベリア新しい標的を紹介してくれ、もっと強いヤツがいい」
「もっと強いねえ、貴方達を満足させる獣なんていないけど、強いて言うなら草原の奥の林の先のガレ場に出るオークかな〜運次第で上位種が出るわよ」(アベリア)
「決まりだな、それからBランク試験について教えてくれ」
「貴方この間Cランクになったばかりでしょ」(アベリア)
「そうなんだが《偽Cランク》なんて呼ばれているからな」
「それは昨日の件で終わっているでしょ、あのパーティーは金貨5枚の借金背負っているのよ」(アベリア)
「俺がそこそこ強いって分からないと同じ事が起こるかもしれないだろ、それとBランクならば受けられない依頼はほぼ無くなる、1番便利なランクだと俺は思っているんだ」
「分かったわ、Bランク試験は半年に1回開催され試験は他ギルドのAランク以上の方との対戦の事が多いわね、時間制限で決められた獣を討伐してくると言うのもあったけど稀な事、これでいい?」(アベリア)
アベリアがBランク試験の申し込み用紙を俺に渡す
「試験日は約5ヶ月後よ」(アベリア)
「ありがとうな」
申し込みを済ませ食堂へ夕食を食べに行く
「クロコBランク試験受けるのか?」(カウマグ)
「さすがギルマス情報が早いな」
「田舎の町でBランクは最高ランクだ注目されるぞ」(カウマグ)
「仕方ないそれに注目されるのも所詮田舎の町の中の話だろ」
「そうなんだが試験官は大きな街の人、情報は王都までいき場合によっては自警団が引き抜きに来たり、氾濫等の有事の際に動員される事もある」(カウマグ)
「そんな事滅多にないだろ」
「そうなんだが、お前の強さならあるんじゃないかと思ってな」(カウマグ)
次の日の午後からオークを狩に行く、この世界に来て身体は全盛期に戻っている、攻撃魔法の威力が僅かに落ちているだけの俺にとってオーク討伐など造作ない、今日も数頭を狩りギルドへ戻る
「やっぱりオークも簡単に倒してくるのね、でも働き過ぎよ他にする事ないの?」(アベリア)
「今調子がいいからな、でも休みも大事、狩りは減らすかな」
午前中の治癒所の収入だけでもかなりの金額を稼ぎ午後から討伐をして更に稼ぐのも楽しいが他の事をする時間がない特に魔法の訓練は進んでいないし、引っ越して来たのに町をよく見ていない
翌日から狩りを週2回にして残りを魔法訓練日と身体を休めながら町を散歩する日にした、Bランク試験に向け心も身体も万全にする
5ヶ月の月日が経ちBランク試験の日を迎えた、試験方法はAランクの試験官との対戦、場所はギルドの地下訓練場、試験官は魔剣士のようだ、訓練場に多くの見物人が集まる此処では数年ぶりのBランク試験らしい、俺はテイマーでもあるので契約獣と共に戦う事が許されるが今回は1人で戦うつもりだ
「契約獣は戦わないのか?戦意が感じられない」(試験官)
「戦うのは俺1人だ、勿論合格するつもりだ」
相手がAランクの試験勝つ必要はない、良い戦いをすれば合格だが俺は勝つつもりだ
「Aランクの俺を舐めているのか?」(試験官)
「試合が始まれば分かる」
「そうだな、ギルマス初めてくれ」(試験官)
「初め!」(カウマグ)
ギルマスの合図で試験が始まった、圧倒的に勝つこれが俺の本音、2度と《偽Cランク》等とは言わせない
今日の俺装備は左にシールドソード右はリングスの魔法が使えるように素手だ
[エアーバレット]空気の弾は見えないので避け辛いがさすがAランク見事に躱し剣を振り攻撃してくるが俺もシールドソードで受け流す
[エアーバレット、ラピッドショット]次は連射攻撃するが剣で弾かれる
「良い魔法を使うな確かにCランクでは勿体無い」(試験官)
「余裕だな、俺はまだ本気じゃない」
「何を強がっている、Aランクを相手にしているんだぞ」(試験官)
「俺が勝てば無条件で合格だよな」
「出来るならそうだな」(試験官)
「その言葉が聞きたかった[ダークバインド]」
地面から生えてきた腕に掴まれ試験官が身動き出来なくなる
「剣で刺さないと勝ちにならないか?」
俺は試験官の首に左手のシールドソードを向ける
「まいった」(試験官)
上位ランカーを圧倒しての勝利に会場が静まる
「あんた名前は?」(試験官)
「クロコだ」
「いい体験をした、ありがとう」(試験官)
右手を差し出して握手をして試験が終わった
「クロコ、とりあえずおめでとうBランクだ」(カウマグ)
「ありがとう」
「しかしあの勝ち方はなんだ!目を付けられたら自警団への引き抜きとか有事の際に動員とかあるって言っていただろ!あれは目を付けて下さいって言っているような勝ち方だぞ!」(カウマグ)
「すまない、戦いに熱くなってしまったと言うか、相手はAランク手を抜けば此方がやられる」
「確かにそうかもな」(カウマグ)
俺はBランク冒険者になった、予定通り乱丸の出番は無かった




