150、契約獣
異世界でチート能力を授かった男のありふれた物語
ベルチの町に来ての初日、昨日の歓迎会で二日酔い、サボっても良いのだが早朝ランニングに行く、新しい町で何もかもが新鮮だ、30分程走ってギルドに戻り食堂へ朝食を食べに行く
「クロコさんおはようございます」(綺麗なお姉さん)
綺麗なお姉さんが挨拶してくれるがまだ誰だか分からない
「おはようございます」
「アベリアです、覚えて下さいねクロコさんの担当ですから」(アベリア)
「すまない覚えてなくて」
「昨日の殺し屋捕縛でランクアップするらしいですから受付に来てくださいね」(アベリア)
「Dランクか、ありがたい」
「でも不思議ですEランクの人が殺し屋2人を楽々と捕縛ってあり得ないんですけど」(アベリア)
「運が良かっただけだ、俺は知っての通り治癒魔法師」
「今はそう言う事にしときましょうね、仕事場は受付の後方にある部屋ですから行けばすぐにわかります」(アベリア)
「ありがとう、今日は先に失礼する、職場をみておきたい」
食事を終えて受付の後ろに行く、確かに行けばすぐに分かるな《クロコの治癒所》と看板が出ている、いかにも若い女性が作りましたと言った感じの可愛い文字で恥ずかしい、中は掃除もされて綺麗な状態だ
「クロコさん気に入ってもらえました」(アベリア)
「アベリアさん受付は?」
「落ち着くまでこちらを手伝えって業務命令が出ました」(アベリア)
「でもする事ないと思うけど」
「そんな事ないですよギルド前に既に30人並んでますから」(アベリア)
「なんで?」
「ラダームでの噂は皆んな知ってます、大銅貨5枚の格安なら治療に来ますよ」(アベリア)
ギルドの入口を開けると多くの人が入って来る、新しい依頼探しで数人あとは俺の所に来る
午前中で並んでいた30人が終わった
「午前中だけの業務と言う事だったので30人でお終いにしましたから、明日もまた今日みたいになるかもしれませんね」(アベリア)
「アベリアさんがいてくれて助かりました」
「しかし凄いですね、治癒魔法師って儲かるのですねBランクの方以上だと思います」(アベリア)
「有難い能力だ」
翌日からも午前中30人の人数制限一杯まで人が並び6日目にやっと落ち着いてきた
今日はベルチに来て初めての休日、この町にある契約獣店に行ってみる、奴隷店と違って明るい感じの入りやすい雰囲気の店構え、中に入ってみる
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」(店員)
「強くて賢いのがいい、乗る事が出来る鳥とかも考えている」
「乗る事が出来る鳥と言うのは飛行を考えているのですか?」(店員)
「そうだがそれが普通じゃないのか?」
「飛べませんが高速で走る鳥が今います」(店員)
「飛ばない鳥に興味は無い、虎とか狼は?」
「虎も狼も数頭います、ご案内させて頂きます」(店員)
「角付きもいるんだな」
「角付きは戦闘力が高く人気があります、その分お値段もですが」(店員)
角付き狼と白狼もいる値段は角付きが金貨1枚で白狼が大銀貨9枚、この2頭は他の狼と比べて高い、虎は高額だが戦闘力も高い、しかし俺は2頭の狼以外に魅力を感じなかった
鑑定しても迷うだけで僅かに角付きが強いが俺は白狼を選ぶ、勿論三代目乱丸にする予定
「白狼を貰う」
「お買い上げありがとうございます」(店員)
その場でテイムして一緒に帰る(テイムすれば俺は契約獣と念話出来る)
[俺はクロコ、名前は乱丸でいいか?]
[主人様乱丸気に入りました、よろしくお願いします](乱丸)
[俺は治癒魔法師だから護衛してくれ、特に酔った時は頼んだぞ]
[かしこまりましたが、主人様はかなりの腕前に見えます普段の護衛など必要ないのでは?](乱丸)
[そうだな他にも旅する時は馬車を引いてもらうつもりだ]
[承知しました](乱丸)
乱丸を連れてギルドに戻る
「ギルマス、今日からこの契約獣と一緒に住むから、よろしく頼む」
「マーチンから契約獣を買うだろうと聞いている、問題ない」(カウマグ)
「それからCランクへのランクアップ試験はギルマスが行うのか?」
「そうだが、受けるのか?」(カウマグ)
「近いうちにと考えている、テイマーは契約獣と一緒に戦っていいのか?」
「構わないが、強そうだなその白狼」(カウマグ)
「まだ強さも分からないし連携の訓練もしてないからな、2対1で申し訳ない」
[主人様その男なら私1人でも大丈夫だと思います](乱丸)
「ははは」
「どうした急に笑い出して」(カウマグ)
「この白狼は乱丸って言う名前だが、乱丸が1人でギルマスに勝てると思うだって、笑うだろ」
「クロコお前も一緒戦うのか?」(カウマグ)
「勿論だ」
「すぐにCランクカード渡そうか?俺も痛いのは嫌だから」(カウマグ)
「ちゃんとしようぜ、怪我したら有料で治してやるよ」
「そこは無料でって言うところじゃないのか?」(カウマグ)
「俺のは格安だ、ちゃんと払えよ、近いうちに申し込むから楽しみにしてくれ」
俺と乱丸の新生活が始まった




