149、ベルチの町へ
異世界でチート能力を授かった男のありふれた物語
サーシャがいなくなっても日常生活はある、出来る限り今までと同じように暮らしていく、俺のギルドランクは最初のGからFランクそしてEランクと順調にアップしている
戦う治癒魔法師と冒険者の腕を認められてくる一方で奴隷に逃げられた馬鹿と罵る者がいる
金も貯まった事だし別の場所に行くか考え始めた、治療業務の事があるのでマーチンに相談に行く
「ギルマスそろそろ此処を出て別の場所に行こうと思っている」
「そうかクロコのお陰で此処で冒険者は元気になった、ギルド運営も順調だ、ずっといてくれると助かるがそう言う訳にはいかないのだろう、行き先は決めているのか?」(マーチン)
「まだ決めてないが此処より少し大きな町がいいと思っている」
「それなら此処から北西にベルチと言う町がある、此処より大きい町そして冒険者ギルドはクロコを歓迎してくれるはず、しかも契約獣の販売店がある白狼がいるかは知らないが」(マーチン)
「冒険者ギルドが俺を歓迎してくれると言うのは?」
「怪我人が多くて苦労している、ギルマスは俺の知り合いだ、すぐに出発するのでなければ考えてくれ、此処と同じよう暮らす事も出来る」(マーチン)
「前向きに考えさせてもらうよ」
「クロコさん、此処を出て行かれるのですか?」(カリナ)
「今考え中、多分出て行くのは間違いないが行き先を考えている」
「せっかく馴染んできた頃なのに、残念ね」(カリナ)
「俺は根無草だから」
「騙されないように気をつけてね」(カリナ)
棘のある言い方をするカリナ
「俺は騙された訳ではないと思うが」
「じゃあ綺麗な女性には気をつけてください」(カリナ)
「なんか凄く嫌味に聞こえる」
「私の忠告を聞かなかったからね」(カリナ)
「サーシャには何か事情があったんだよ」
「お人よしね、そのうちもっと痛い目みるわよ」(カリナ)
カリナは自分の忠告を聞かなかった事が不満なようだ
俺は2、3日考えてギルマスの提案に乗る事にした
「ギルマスこの間の話の町に行こうと思っている、紹介してくれないか?」
「もちろん紹介する、ベルチのギルマスには俺から連絡しておくが、いつ発つつもりだ?定期便の馬車は1日おきに出ている朝出て夕方に到着する」(マーチン)
「俺はいつでも行けるが1週間後でいいか?」
「分かった連絡しておこう」(マーチン)
「よろしく頼む」
旅立つ前日ギルド職員がお別れ会を開いてくれた、久しぶりに俺もはじけて楽しんだ
旅立ちの朝、ギルド職員以外にも俺の治療を受けた数人が見送りに来てくれた
「クロコさん、遊びに来てよね待っているわよ」(カリナ)
「あゝ必ず来るさ」
「出発しまーす」(御者)
馬車がゆっくりと走り出す、手を振りラダームの町を後にした
出発する間際にギルマスから『お前は町の治癒魔法師から商売の邪魔をされたと恨まれている、移動中に襲ってくるかもしれない』と言われていた、護衛が1人に御者も少し戦えるらしいが殺し屋相手は不安しかない
襲って来るのに良さそうな森に差し掛かる[サーチ]2人森の中にいるな、俺は乗客だから何もせずに済んだらいいなぁ〜と思って乗っていると馬車が加速した
怪しい人影を見て逃げる事を選んだようだが殺し屋が対策してない筈はない、馬が追って来る
「乗客の方は中央に集まって下さい」(護衛)
追手を弓で狙うが当たらない、この護衛では役不足だ
殺し屋の片方が馬車を抜いて前に出た、馬車が止まった
「悪いが全員死んでもらう」(殺し屋)
護衛と御者も剣を構えているが、勝てそうにない
[ムーブ]俺は殺し屋の後ろに転移して一撃で気絶させる、殺し屋の剣を取りもう1人と対峙する
「殺すんだろ、かかって来いよ」
殺し屋を煽ってみると
「くそー」(殺し屋)
殺し屋がこちらに向かって来るが頭に血が昇っている
「それでは俺は殺せない三流殺し屋」
振り下ろされた剣を躱して気絶させた
夕方無事にベルチの町に到着すると冒険者ギルドの方が出迎えてくれる、何故か殺し屋の処理もスムーズに進む
マーチンは殺し屋の行動を感知して、俺が片付けてベルチに到着する予想で連絡していたのだろう
集まった人の中から男が近寄ってくる
「君がクロコか?ベルチの冒険者ギルドマスター、カウマグだよろしく」(カウマグ)
「クロコです、よろしく」
「早速の戦果だな」(カウマグ)
「手筈が良いが襲われるのを知っていたんだろ」
「マーチンが説明していただろう」(カウマグ)
「かも知れない程度の説明だったがな」
「アイツも確信は無かったのだろう、部屋の準備はしてある、歓迎会があるから早くギルドへ入ってくれ」(カウマグ)
盛大な歓迎会でもてなされ俺のベルチでの生活が始まった
 




