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トキノマ  作者: 木島別弥
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 死者、行方不明者は数百万人規模ですみそうだった。

 トキノマから数千万人の人々がやってきたから、時空実験以後、六大陸世界の人口は増えたことになる。

 そして、その事実をふまえたうえで、世界最悪の犯罪者ムラクモと、トキノマから来た少女クシナタの罪を問う裁判が行われた。

 六大陸世界に住んでいた人々すべて、それに加えて、トキノマに住んでいた人々すべてがその裁判に参加した。

 通信機械によって、数千万人がみんな同時に参加した会議だった。

「人類の存在は悪か」

 六人会議はそこから話を始めた。

 地球を砕き、森の大陸を砕いた人類という文明種そのものが存在するべきではないのではないか。

 六人会議はいう。

 人類の存在は悪なのだと。

 だから、人類には時空実験の事実を教えるべきではない、と話がつづくのだった。

 それに対するムラクモのことばは、

「本当のことを教えて欲しい」

 だった。

「真実が勝つ」

 と、ムラクモは小さな声でいった。

 トキノマの人々はまだ自分たちが千年間、この宇宙にいなかったことを理解するのに時間がかかった。

 我々は、帰ってきたのだ。

 あの男のおかげで。

 だんだんと、ムラクモのおかげでトキノマの住人が救われたことが知れわたっていった。

 トキノマの数千万人にとっては、ムラクモは救世主だ。

「隠すから、いけないんじゃないですか。最初から教えて欲しかった。わたしだって、自分が千年間、別の時間に飛ばされたことを教えて欲しかった。教えてくれたのは、ムラクモだよ。わたしはムラクモに感謝している」

 クシナタがムラクモの無罪を訴えた。

「だが、世界を危険にさらした。時空実験以後、世界は非常に不安定な状態でぎりぎりに存続している。常に、滅亡の危機にさらされている。砕けたのが森の大陸だけでよかった。もし、六つの大陸、いや、七つの大陸すべてが砕けていたら、とりかえしのつかないことになっていた。時空実験は永遠に封印されるべきだ」

「時空実験を封印するべきなら、封印を解いたムラクモには罪がある。クシナタも同罪だ」

 六人会議はあくまでもムラクモの有罪を主張した。

 トキノマの住人の一人が、発言権を求めた。

「わたしは、千年前に地球を砕いた研究者の一人だ。ムラクモに罪があるというのなら、わたしの罪は彼よりも重いことになる。わたしはムラクモより重い罪で罰せられるのか」

 六人会議はしばらく黙った。

「千年前の研究者たちの罪は、その後の被害救済への努力で償われたと決定している。あなたは無罪だ。あなたの仲間に感謝することです」

 六人会議がいった。

「わたしが無罪なら、ムラクモも無罪ではないのかな。ムラクモもわたしの同僚のように、壊れた世界を救うために努力したと聞いているがね」

「ムラクモの罪は、禁止されていたトキノマ探しを行ったことにある。この罪により、六大陸政府は、終身刑をムラクモにいいわたすつもりでいる。しかしは、今回は特例で、全員会議によって、ムラクモとクシナタの罪を決めることになる」

「そろそろ、投票を行おうではないか。ムラクモ、クシナタは有罪か、無罪か」

「そうだ。この全員会議の結果が、これからの歴史を決めることになる」

「それでは、投票してください」

 サクヤや、千年前の研究者は考えていた。

 ムラクモたち二人が有罪なら、当然、自分たちも有罪だろうと。

 投票は一日かけて行われた。

 全員会議の投票の結果、ムラクモとクシナタは無罪だということに決まった。

 もう、時空実験は行わないこと、政府は真実の歴史を隠さないことが決定して、全員会議は終わった。

「家に帰れるね」

 ムラクモがクシナタにいった。

「うん。ムラクモも一緒に行こう」

 クシナタがムラクモを故郷へ誘って、そして日が暮れた。

 六大陸世界の忘れ去られた時間の中で、トキノマという地球の欠片が存在していた。

 今日、世界は七つ目の欠片の存在を思い出したのだった。

あなたは何枚目の粘土板で、真相に気づきましたか?

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