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トキノマは千年前の時空実験で失われたままの姿をしていた。
森の代表は次々と指示を出した。
砕けた大陸の欠片をできるかぎり、回収すること。
大地をこれ以上、失ってはならない。
そして、同時に、トキノマの空気を保存すること。
放っておいては、トキノマの空気が散ってしまうため、そうならないように、対流隔壁というものをつくらなければならない。
対流隔壁という技術によって、六大陸はかつての地球と同じように空気を保つことができているのだ。
その技術をできるだけ素早くトキノマにも導入しなければならない。
森の代表の判断は可能なかぎり早かった。
他の五つの大陸からも応援がすぐにかけつけてくれた。
みんなで砕けた森の大陸を寄せ集めなければならない。
「森の大陸を群島として存続させる」
森の代表はそう決定した。
砕けた森の大陸の大地は九割が回収できた。
かなり上出来な成果だといえた。
次に、トキノマだが、これは人々の動揺を鎮める方が難しかった。
トキノマを他の六大陸のように安定して存続させる作業は充分迅速に行われた。
だが、人々が、トキノマが突然、森の大陸の上空に出現したことを理解するのに相当な時間がかかった。
ムラクモたちが解き明かした粘土板のことばを教える以外に、納得のいくように説明することができなかった。
また、トキノマに住んでいた人々の動揺を鎮めるのも苦労した。
なんせ、いきなり千年後の世界にやってきてしまったことを理解することがたいへんだった。
そして、千年前に地球が砕けてしまったことを知るだけで、みんなあごを外しての大騒ぎだった。
ムラクモは生きていた。
クシナタも生きていた。
クシナタはまだムラクモにしがみついていた。
サクヤも生きていた。
サクヤは無感動に政府職員としての作業を行っていた。
「わたしたちを裁く裁判が行われるそうだ」
サクヤがムラクモに伝えた。
「六人会議か」
「いいや。全員裁判らしい」
ムラクモはそれを聞いて、驚いた。
六大陸世界に生きる七千万人の人類全員の投票によって、ムラクモたちの罪を判断しようというのだ。
「死んじゃだめ」
クシナタが再びいった。
ああ。
と、ムラクモは心のなかでうなずいた。




