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トキノマ  作者: 木島別弥
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 その頃、森の政府の役人であるサクヤは考えていた。

 サクヤはムラクモとクシナタ抹殺計画の責任者だ。

 現在、二人の抹殺はフヅキとタケルの二人に一任してある。

 二人は、標的を現在も追跡中のはずだ。

 サクヤは考えていた。

 何を。

 それは、ムラクモにわざとトキノマの謎を解かせようかということをだ。

 サクヤはトキノマ伝説の詳細を知らされずに、ただ命令だけを与えられている現状に非情に強い不満を抱いていた。

 サクヤも知りたかったのだ。

 トキノマ伝説の正体が何なのかを。

 行ってみたい、ではない。

 知りたい、である。

 トキノマ伝説の正体を知りもせずに、トキノマ伝説を追う者たちの抹殺に尽力しなければならない現状が不満なのだ。

 トキノマ伝説を追う者をなぜ、殺してまでとりしまらなければならないのかを知りたいのだった。

 納得のいく答えが欲しい。

 それを知るには、今はいい機会なのだ。

 運がよかったと考えるべきだろう。

 追うべき標的が有能すぎたのだ。

 正直、ムラクモが弾丸を打ち返すほどの猛者であるとは、考えていなかった。

 だから、通常の追跡部隊を派遣すれば、ことは治まると考えていた。

 だが、それがたまたま計算違いの結果になってしまった。

 ムラクモは狙撃部隊の弾丸を打ち返してしまい、現在も逃亡中なのだ。

 だれがムラクモをそこまでのつわものだと考えていただろう。

 いや、だれもそこまでは考えていなかった。

 サクヤの上司であるヤマヒコも、ムラクモが弾丸を打ち返すとまでは考えていなかったはずなのだ。

 だから、サクヤがトキノマ伝説の正体を知る機会がやってきてしまったのだ。

 ムラクモたちに、わざとトキノマ伝説を解かせるように、追跡の手を抜いているのだ。

 狙撃部隊の追跡をちょっとやわらげているのだ。

 狙撃部隊の責任者はサクヤなのだ。

 サクヤの権限で、狙撃部隊が追いつくのを、ちょっと遅くすることができた。

 ムラクモたちの目撃情報をわざと狙撃部隊に連絡するのを遅くしたりすることができるのだ。

 その技によって、サクヤは、狙撃部隊の追跡を遅らせているのだ。

 わざと見逃してやっているのである。

 上司であるヤマヒコにバレたら、どんな罰が待っているかわからない。

 だが、おそらくバレはしないだろう。

 そうすれば、サクヤは知ることができるかもしれない。

 六大陸世界に住む者なら誰でも一度は聞くことになる創世神話、トキノマ伝説の真相を。

 知りたい。

 と、サクヤは思った。

 だから、わざと狙撃部隊がムラクモに追いつくのを遅くした。

 うまくいけば、サクヤがトキノマへ行けるかもしれない。

 あははははっ、とサクヤは笑った。

 これくらいのいたずらは、行っても許されるのではないか。

 サクヤはそう考えた。

 上司であるヤマヒコには内緒だった。

 あくまでも、サクヤの権限でできる範囲だけで対処した。

 絶対の秘密だった。

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