16
ムラクモとクシナタは海の大陸で一泊することにした。
海の大陸にひとつしかない島に行き、一泊することにした。
島まで、潜水艦乗りさんたちが送ってくれた。
島についてからも、潜水艦乗りさんたちと一緒に道を歩いていた。
宿泊先を探す間、潜水艦乗りさんたちもついてきていた。
五人で固まって、島の道を歩いていたのだ。
五人は、フヅキの狙撃銃の照準に捕えられながら、歩いていた。
フヅキは島の近くに船を止めて、五人に照準を合わせていた。
おそらく、まだ気づかれていない。
標的の数が増えた。
三人追加され、標的は五人いる。
その五人が一緒になって歩いている。
船が波で揺れる。
正確な狙撃は難しい。
だが、この程度の悪条件で弾を外すほど、フヅキの腕は鈍ってはいない。
必ず命中させてみせる。
フヅキは、新しい標的である潜水艦乗りの一人に照準を合わせた。
許せ。
バンッ。
と音がした。
弾丸が潜水艦乗りに向かって飛ぶ。
カキンッ。
またしても、ムラクモが弾丸を打ち返す。
ファールだ。弾丸は大きく横にそれて飛んだ。
逃がすか。
フヅキはすぐに潜水艦乗りに標準を合わせなおす。
バンッ。
再び、潜水艦乗りに向かって弾丸が飛んだ。
カキンッ。
今度は痛烈な直線軌道で弾丸を打ち返した。
ヒットだ。この当たりはヒットだ。
ムラクモの今度の打席はヒットだ。
「逃げろ。どこかから狙撃されてるぞ」
ムラクモの鋭い声がとんだ。
「建物の後ろに隠れて」
クシナタが狙撃されることになれていない潜水艦乗りの三人を安全な方へ誘導する。
「急いで」
クシナタの声も鋭くなる。
バンッ。
三発目の弾丸がフヅキの狙撃銃から発射された。
カキンッ。
これは決まった。
ホームランだあ。
ムラクモが文句なしのホームランを打ち返した。
「逃げろ」
ムラクモが叫んで、走り出した。
建物の裏側に避難した五人。
そのまま、大急ぎで正反対の方向へ走り出す。
「おれたちは空港へ急ぐぞ。あんたたちはどうするんだ」
ムラクモが走りながら質問した。
「おれたちは海の大陸に残るよ。家族がいるしな」
潜水艦乗りさんたちが答える。
「くれぐれも殺されないように気をつけてくれ。また会えるといいけどね」
ムラクモがいう。
「ははっ、まいったな。神殿に入ったのが原因かな。まさか、こうなるとは思っていなかった」
「おれの力じゃ助けれないけど、無事でいてくれ」
「きみも無事でいてくれよな」
ムラクモが潜水艦乗りさんたちと別れの握手をした。
潜水艦乗りさんたち三人と別れて、ムラクモたちは空港を目指して移動した。
潜水艦乗りさんたち三人は、遠まわりして、自宅へ帰ることにした。
自宅へ行けば、政府が待ち伏せているかもしれないが、家族を見捨てて別れるわけにはいかない。一度は、家に帰らなければならない。
フヅキとタケルはというと、
「標的は二手に別れた様だぞ。どうする。狙撃するなら、先にクシナタ、ムラクモたちだと思うんだが」
「そうだな。ムラクモを追おう」
タケルの意見にフヅキが同意した。
こうして、潜水艦乗りさんたちの射殺はかなり後にまわされたのだった。
結果として、潜水艦乗りさんたち三名は、このあと政府に狙撃されることなく一生を終えた。
生き残った理由は、フヅキとタケルがムラクモ狙撃を優先させたためだった。




