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「次は海の大陸へ行こう」
ムラクモがいった。
「いいよ。わたしはどうせこの世界のことは何もわからないから、いいなりでついていくしかないんだけど」
クシナタはそういって、エレベーターのボタンを押した。
エレベーターの扉が開く。
二人は普通にエレベーターに乗った。
地上一階のボタンを押して、エレベーターが地上に帰るまでずっと待つ。
しばらく沈黙があった。
地下二百階のエレベーターが地上一階に着くまで、また五分ぐらいたっただろうか。
チンッと鳴って、エレベーターが地上に着く。
二人は地上一階に帰ってきた。
「また空港を探すんだね」
クシナタがいう。
だいぶ、旅にも慣れてきたようだ。
地上三十二階にある空港へ行く途中のことだった。
エスカレーターからエスカレーターへ歩いて移動している途中に、二人はフヅキとタケルに遭遇した。
お互いに驚いた。
突然の接近遭遇だ。
「標的だ」
タケルが慌てて銃を抜いて、構える。
そして、撃った。
バンッ。
カキンッ。
ムラクモが打ち返した。
ヒットだ。ムラクモの五打席目もヒット。痛烈な当たりが、ビルの天井へ突き刺さる。
打率十割、顕在。
ムラクモは打率十割を維持だ。
「何だとう」
タケルが今さらムラクモの凄さに気づいて驚きの声をあげた。
「逃げるぞ」
再びムラクモがクシナタの手を引っ張った。
すぐそこの角を曲がる。
近くにいたビル群の住民も、突然の銃撃戦に大慌てで、逃げ出していた。
「逃がしてたまるか」
フヅキが銃を構える。
クシナタに照準が合う。
バンッ。
フヅキが撃った。
カキンッ。
ムラクモが振り向きざまにフヅキの弾丸を打ち返す。
これはファールか。打撃は前には飛ばず、後ろの天井に当たった。
「くそうっ」
フヅキが悔しがる。
急いで追いかけようとするフヅキとタケルの二人。
しかし、エレベーターに乗って、別の階へ移動していくムラクモたち。
間に合わなかった。
逃げられた。
「くそうっ、絶好の機会だったのに」
フヅキはまだ悔しさがこみあげていた。
「だ、弾丸を打ち返したぞ」
タケルが動揺していた。
「おれたちは、今まであんな凄腕を相手にしていたのか」
タケルが今さらに、ムラクモが弾丸を打ち返せるほどの強打者であることを思い知ったのだった。
「そうだ」
フヅキは知っていいって当然のように答えた。
「やつらが何階で下りるかもわからないが、とりあえず階段で追うぞ」
フヅキがタケルに指示を出した。
ムラクモとクシナタの二人は、エレベーターで三十階まであがると、走って、自動歩道に乗った。
自動歩道の上を走り、襲撃地点から急いで遠ざかろうとした。
「このまま、空港まで行こう。今日中にこの大陸を出るんだ」
ムラクモがいった。
三十二階に空港があった。
ビルの屋上から飛行機が飛びたてるようになっている。
海の大陸行きの旅券を買って、急いで飛行機に乗る二人。
追っ手がやってこないことを祈りながら、ひたすら離陸を待つ二人。
そして、離陸の時間がやって来た。
間に合った。
どうやら、追っ手をまけたようだ。
こうして、二人は、四番目の大陸、海の大陸へと移動したのだった。




