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トキノマ  作者: 木島別弥
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 その爆発とともに、世界は生まれた。

 生まれた大陸はぜんぶで七つあった。

 森の大陸、砂漠の大陸、ビル群の大陸、海の大陸、山脈の大陸、滝の大陸、そして、トキノマの七つである。

 七つの平らな大地に、我々人類は住み暮らし始めた。


 以上が、六大陸世界に住む者なら、誰でも聞いたことのある創世神話である。それが真実の歴史なのだと、代々、言い伝えられてきた。

 六大陸世界は、創世神話にあるとおり、なんらかの爆発によって誕生したことは事実なのだろう。

 この宇宙には、六つの平らな大地が宇宙に浮かんでいる。

 人々はその六つの平らな大地に暮らしている。

 おおむね、創世神話にあるとおりだ。

 この世界では大地は平らなのだ。

 大地は球体であるなどという別世界の科学は、この世界では通用しない。なぜなら、事実、人々が住む大地は、六つの平らな大地だからだった。

 宇宙の一箇所に六つの大陸が集まっており、遠くに球体の月や星が見える。

 人が住んでいる大地はあくまでも平らだ。

 ここに一人の少年がいた。名をムラクモという。

 ムラクモもまた、みんなと同じようにその創世神話を聞かされて育ってきた。

 ムラクモは創世神話に強い興味を持って育った。それはなぜかというと、創世神話は矛盾をはらんでいるからだ。創世神話では、大陸は七つつくられたことになっているが、実際には六つしか観測することはできない。

 この六大陸には、創世神話を聞かされた誰もが秘かに熱狂する伝説があった。それは、この宇宙のどこかに七番目の大陸が存在するというトキノマ伝説だ。

 トキノマに行けば、どんな夢も叶うといわれていた。トキノマは楽園なのだと言い伝えられていた。どんな夢も叶うという伝説の七番目の大陸トキノマ。

「なあなあ、長老。七番目の大陸って、本当にどこかに存在するんだろ。創世神話は嘘つかないよな」

 ムラクモは長老を問いつめる。

 長老はのんびりした面持ちで、ゆっくりと答える。

「ああ、おそらくは、本当に七番目の大陸は存在するのだろう。だが、その大陸が、伝説のとおりの楽園なのかは怪しいものだ。七番目の大陸も、この森の大陸とたいして変わらない平凡な大陸なのだと、わしは思うよ。創世神話は確かに我々の存在を確信させてくれるありがたいものではあるが、あまり深入りしない方が身のためだというものだぞ、ムラクモよ。わかったら、トキノマ探しをするようなくだらない連中の仲間入りをするのはやめて、村でのんびりと米や野菜をつくって暮らすと良い。それが幸せな人生というものだ」

 長老は、ムラクモが村の仕事を放り出して、無為な旅に出かけるのを憂慮していた。伝説の大陸トキノマなど、そう簡単に見つかるわけがない。そんな冒険に出かけるくらいなら、村で平穏な暮らしをしていた方がいくらかましだというわけだ。

 六つの平らな大地が宇宙に浮かんでいた。

 人の住む大地は平らなものであり、決して球体などではなかった。

「この六大陸世界が生まれてから、まだ千年しかたっていない。我々は千年の歴史しかない世界で暮らしている。その千年の歴史のなかで、伝説の七番目の大陸トキノマを探す旅に出た者は、無数におった。だが、そのトキノマ探しに熱を入れた連中のほとんどが、何の手がかりもつかめないまま、六大陸を放浪するだけで終わってしまったのだ。ムラクモや。お主も、他のトキノマ探しをするような無駄な旅をするだけの者にならぬように、この故郷でのんびりと暮らしていくがよい。それがお主の幸せというものだ」

 長老はムラクモのトキノマ探しをやめさせようと、とうとうと説教するのだった。

 しかし、そんな長老の説教ごときでトキノマ探しをあきらめるムラクモではない。

 トキノマという楽園伝説は、六大陸世界に住む幾人かを熱狂させていた。

 ムラクモも、トキノマ伝説に熱狂する一人だった。

 いつか必ずトキノマへ行ってやろうと、心の奥に堅く決心して成長していったのだった。

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