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58話 お昼ご飯は和気あいあいと

こんにちこんばんは。

書くのにちょっと疲れてきた仁科紫です。


それでは、良き暇つぶしを。

「かーみーさーまっ!」


「わっぷ。……プティー。だから、そこに飛びつくのはやめようか?」


「はぁい。」



 戻って来て直ぐに神様の顔に張り付く。すぐさま神様にベリっと剥がされ、ジトっとした目を向けられた。

 むー。何度か言われてはいますけど、これだけはやめにくいんですよねぇ。


 私の生返事に更に胡乱気な目を向けられたが、そこに空が入ってくる。



「はぁ?それぐらい良いでしょ。神様のケチ。」


「ケチなのこれ!?僕としては正当な訴えのつもりだったんだけど!?」


「ケチはケチでしょ。ね?ガイア。」


「人の子の事は分からない。……でも、接触くらいならいいと判断する。」


「……ここに僕の味方ってそういえばいなかったんだね。」



 今更なことに遠い目をする神様。私としてはわざとやっているだけになんとも言えない気持ちになる。

 うーん。これ以上神様を困らせるのも嫌ですね。よし。お昼ご飯の話でも振りましょう!



「神様!お昼ご飯ってどうします?」


「ああ。作ってきたから食べようか。」


「ここで?」



 空の言葉に辺りを見渡す。周りでは空席が目立ち、一部では確かにご飯を食べている人も居るようだ。



「ダメかな?」


「えっと、ダメじゃないですけど……。」


「神様。姉さんは机が無いと食事できないと思う。」


「えっ。」



 そうなのかとこちらを見てくる神様に首を傾げる。机がなくても食事をする方法はあるのだろうか?

 ……はっ。もしや、噂に聞く食べ歩きのようなものでしょうか!?


 未知のことにキラキラと目を輝かせると、神様は少し顔を曇らせてからニコリと笑った。



「分かった。じゃあ、ここに机を出そう。よいしょっと。」



 何も無いところから机を取り出し、観客席の前に置く。ポンっと置かれたそれにえっと思っている間も神様はその上に四角い三段のお重を置き、ひろげていく。

 上の段にはサラダやきんぴらごぼう、たこさんウインナー、卵焼き、大学いもが入っており、真ん中の段にはミニハンバーグや肉巻き、エビフライ、唐揚げ、ポテトフライ。下の段にはおにぎりにハムや卵を挟んだサンドウィッチが詰められていた。所々に差し色として茹でたブロッコリーやカリフラワー、レタスも入っており、ウインナーやエビフライに国旗の旗がさしてあるのが可愛らしい。

 まさに運動会らしいお弁当と言えるだろう。



「これ、神様が作ったんですか!?」


「うん。ちょっと頑張ってみたんだ。」


「へぇ。意外と出来るじゃん。」


「流石我らが父。創るのは得意。」



 何故か神様はガイアさんの創るのは得意という言葉に引っ掛かりを覚えたらしいが、皆からの賞賛に悪い気はしなかったらしい。笑顔で食器を取り出し、配り始めた。



「それじゃあ、食べようか?」


「はいです!」


「「頂きます!」」



 サラダにきんぴらごぼう、たこさんウインナー、卵焼き……と、一通りお皿にのせていく。

 全てをのせ終えてからまずはサラダから食べることにした。サラダにはレタスやキャベツといった葉野菜だけではなく大根や人参といった根野菜や枝豆、コーンなんかも入っており、色とりどりで食欲をそそる。

 いざ実食とリングに運ぶと、かけられている玉ねぎドレッシングの味をベースに甘いコーンがアクセントとなって美味しかった。

 きんぴらごぼうも慣れ親しんだシンプルな味付けで美味しい。きっと歯があればシャキシャキとして食感も楽しめたことだろう。

 こちらをちらりと見てくる神様にニコリと笑いかける。これは美味しいというのを伝えねばですよね!



「美味しいです!」


「そう?それなら良かったよ。」



 何処かホットした様子の神様に淡々とした口調で空が声をかける。声からは分かりづらいが、何処か悔しそうな雰囲気を感じた。



「この唐揚げさくじゅわで美味しすぎ。神様、後でレシピ教えて。」


「う?うん。良いよ。」



 美味しかったんだと言いたげなニヤニヤとした神様の顔に空はそっぽを向くが、唐揚げを食べる手はやめない。

 それだけ美味しかったんでしょうか?


 気になって唐揚げに手を出してみる。

 一口噛むだけで衣はカリッと音を……鳴らすわけでもなく、じゅわぁっとひろがる醤油の香りと鶏肉の脂の旨味にこれは美味しいやつだと悟る。……リングで食べる不便さよ!ですね!?

 尚、空は何故か口から食べている。私にはその方法での消化の理屈がいまいちよく分からないため、実行出来ないのが凄く歯がゆい。



「ふむ。芋は揚げると美味しさは倍増する。知らなかった。」


「ガイアはポテトが気に入ったんだね。」


「大地の恵みは私の権能の結果。ならば、食される方法も知るべし。この方法は知らなかった。」



 ふむふむと頷きながら食べるガイアさんにつられ、ポテトをリングに放り込む。モグモグと咀嚼をすると、丁度いい塩味がホクホクとしたじゃがいも本来の味を引き立たせる。いい油も使っているのだろう。油っぽいしつこさも無かった。

 ガイアさんが美味しいと言うのも分かる気がしますね。



「お。美味そうなの食ってんなぁ!」



 そうして和やかに昼食をとっている頃、聞き覚えのある能天気そうな声が聞こえた。

 ガイアさんはちらりとアキトさんに視線を向けたあと、我関せずといった様子で食べ進め、空に至っては視線すら向けない。モグモグと卵焼きを食べ続ける。

 私も正直、アキトさんに時間を使う気が起きず、無視してハンバーグをリングに放り込む。柔らかくも、ほろりと解ける肉質はリングで吸収する過程でも十分に分かるほどであり、酸味のあるデミグラスソースがよく合った。

 はぁ。本当に神様は料理上手ですね。女性にモテモテなのでは無いでしょうか。


 気分よく次は何を食べようかと考えていると、そこに更に人が増えた。



「ちょっと。アキト。邪魔するのは悪いよ。」


「でもよ、美味そうだろ?」


「それはそうとしてマナー的に失礼だから。ほら、あっちで黒豚亭の肉巻きおにぎり弁当を食べよう?」


「んーだけどなぁ……。」



 何やら考え込んだアキトさんはやがてポンっと手を打った。そして、ニヤリと笑って私を見る。いい加減面倒臭くなり、顔をそちらに向けた。



「なぁ。嬢ちゃん。」


「はぁ。何でしょうか?」


「こっちの肉巻きおにぎりとそっちのおかず、ちょっと交換しねぇか?」



 そう言いながら取り出された笹に包まれたおにぎりの匂いにハッとする。この甘辛そうな素晴らしき香り……絶対美味しいやつですね!?

 ゴクリと喉を震わせ、おにぎりと神様を交互に見る。ちょいちょいっと肩を叩き、神様に声をかけた。



「神様。これは、食べなきゃ損な予感が……」


「プティ。気持ちはわかるけど、僕のお弁当よりもそっちのおにぎりの方が美味しそうだって言うのかい?」



 憮然とした顔で言われ、慌ててそういうことでは無いと言う。しかし、神様の機嫌はなおりそうになかった。

 うー。やってしまいました。どうしましょう。確かに失礼でしたよね。でも、未知のものですし、食べてみたかったんですよ…。


 自然と下がった眉にうっと神様は言葉を詰まらせるが、先に声をかけてきたのは意外にもガイアさんだった。



「美味しいものを食べるのは当然。人の子、何が欲しい?」


「おっ。分かってんな。てか、人の子って俺のことか?」


「独特な話し方をするんだね。貰ってもいいなら僕もいいかな?」


「いい。分け合いこそ人の触れ合いと私は知っている。」



 穏やかに微笑むガイアさんにアキトさんもデュランさんも悪い気はしていないようだ。

 その場で肉巻きおにぎりを2個と唐揚げやエビフライ、きんぴらごぼうといったおかずを交換して2人は去っていった。笑顔でしたし、喜んでもらえたんでしょうね。


 交換した肉巻きおにぎりはそれぞれを半分にして4人で分け合った。肉の旨味を引き立たせる甘辛い味付けはよくご飯に合い、美味しかった。

 何より、神様と分け合えたことが嬉しく、美味しさもひとしおだった。



「美味しいですね?神様。」


「うん。……さっきはごめんね?」


「いえ。良いんですよ。頑張って作ったものを勝手に取り引きの材料にされたらムカつきもしますって。

 今回は私が悪かったので神様は謝らないでください。」


「分かった。ありがとう。プティ。」


「はいです!」



 これも美味しいですよとサンドウィッチを片手に話している横で空はポツリと何やら呟いていたが、私の知るところではなかった。



「バカップル……。」


「よしよし。これも美味しい。食べる?」


「うん。ガイア。ありがとう。」


「どういたしまして。」



 ・

 ・

 ・



 そうして和やかにお昼ご飯を食べ終え、午後の部が始まった。



『これより午後の部を開始します!

 実況はラパン・アルビーナと!』


『解説はアレスファミリアのマスター、デュランでお送りするよ。』

 


 今回の解説はデュランさんがするらしい。周囲では羨ましいだの、そこ変わってくれーだのと言いたい放題言われている。人気がないというよりは、デュランさんの人柄を知っている上でからかい混じりに言っているようだ。……まあ、一部では本気らしい声も聞こえてきたが。



『第1競技の前に午前の部の点数発表を行います!』


『中央スクリーンに注目してね。』



 言われた通りにスクリーンを見ると、そこには以下のような表記がされていた。



 ーーーーーーーーーー


 午前の部


         赤組  白組

 玉入れ     40256-49903


 200メートル走 11660-10280


 陣取り合戦   49900-48100


 巨大玉転がし    0 - 500


 計       101816-108783


 ーーーーーーーーーー



『現在は白組が優勢のようです!

 デュランさん、近年稀に見るなかなかの接戦ですね!』


『いつもはどちらかに偏るからね。これぐらいのバランスで毎回組んでくれるといいんだけど。』



 興奮したようにデュランさんを見るラパンさん。それに苦笑しながらもボヤくデュランさんの様子から、いつもとは違う試合展開をしているようだと察する。

 でも、こういうのってだいたいはバランスを考えて組み分けされるものですよね?



「神様。どうしていつもは点数に大きく差が出るんですか?」


「ああ。それは、ゼウスが本気過ぎるからだね。」


「姉さん。ゼウスのマスターとサブマスターが出場した競技って何だったか覚えてる?」



 本気過ぎる……?どういう事だろうかと首を傾げると、空が訳知り顔で問いかけてきた。



「それはもちろん、玉入れと陣取り合戦……って、もしかして、ポイントが多く貰える競技ですか!?」


「そういう事だね。ポイントを取りやすい競技は必ず勝てるように彼らが出てくるんだよ。」


「まあ、玉入れはボクと姉さんが阻止したけど!」



 自慢げに胸を張る空を微笑ましく思いながらももう一度点数を見る。やはり、玉入れと陣取り合戦のポイントが他の競技に比べてかなり高い。

 もしかしたら、他のポイントが少なめなだけかもしれないが、それにしたって巨大玉転がしのポイントが少なすぎる。流石にこの差は無いだろうと思い、神様に愚痴を言おうとした頃、丁度ラパンさんもデュランさんが話し始めた。



『それにしても今回はいつもより巨大玉転がしの点数が低いですね。』


『1秒しか差がなかったからね。2位との差で点数がつくだけに今回は仕方がないかな。』



 なるほどと納得したところで時間になったらしい。午後の部の開始を告げるサイレンが鳴った。

次回、棒倒し


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] みんなで仲良く食べました。美味しそうですね~♪ ガイアさんの天然がちょうど良かったです。命拾いしましたね、神様( ̄▽ ̄) [気になる点] 大人げない方達は何処にでもいるものです。  ……
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