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56話 やらかしは想定内?

こんにちこんばんは。

イベントって書くのがムズいなぁと実感する仁科紫です。


それでは、良き暇つぶしを。

 いよいよ始まった陣取り合戦。

 3回戦行われるそれはもう既に1回戦を終え、ガイアさんの参加する2回戦が始まっていた。1回戦ではどちらも旗を守りきり、僅差で赤組の勝利となったがなかなかに白熱した試合展開だっただけに2回戦も期待してしまう。


 スクリーンを見ると、どうやらガイアさんは中央付近から始まったようだ。南北に広いフィールドは北と南にそれぞれ大きな旗が存在している。一番近くに居たプレイヤーはそれぞれの旗に駆け寄り、戦闘が始まった。

 北側では白組と赤組の女性が拳を交え始めたが、南側では戦闘をする前に素早く赤組が結界を張り、自身の組の旗へと変化させる。それを白組に属するプレイヤーが何度も攻撃しているがなかなか壊れない。拠点と呼ぶぐらいだ。もしかしたら、何かしらのプラス補正があるのかもしれなかった。


 そうして白熱する戦闘の一方で、ガイアさんはとことこと北へと向かっているようだ。

 しかも、何故か誰にも認識されていないかのように戦闘すら起こらない。何事もなく進んでいくガイアさんに首を傾げ、神様に問いかける。



「神様。ガイアさんはどうして誰とも戦闘になっていないんでしょう?」


「ああ。それはガイアのスキルの影響だね。ガイアは元々この大地と同じ存在なんだ。」



 どういう意味だろうかと尋ねると、要は存在感を無くし、見えていても居ないように誤認させているのだと言われた。それはなんというチートだろうかと思ったが、口に出す前に何故か空にクスクスと笑われる。どうやらよっぽどおかしな表情をしていたらしい。



「ふふっ。姉さん。この程度で驚くのはまだ早いよ。これからがガイアの見せ場なんだから。」



 空の言葉を不思議に思っている間にも競技は進んでいく。

 見ると、ガイアさんは女性二人が戦っている大きな旗のある位置へとたどり着いたようだった。そして、そこで手をつき、何かを唱えた。



「我、この地を生み出しし原初の父より託された、大地を統べるもの。我が望みは父の望み。ならば叶えるが子の役目。しかと成し遂げ、我らが父を讃えよ。

 〈大地魔法:母の寵愛〉発動。」



 そうして出来上がったのは先程までよりも起伏の激しい大地だった。僅かに山がある程度だったフィールドは起伏が激しく、旗をより守りやすい地形へと変化した。

 周りを壁に囲まれた旗はガイアさんが触れることによって白組の陣地となり、ガイアさんは更に魔法を唱え出す。



「我が子よ。これは守るもの。我が宝である。

 故に、守るのは必然、奪われるは起こり得ぬ未来である。これを隠し、決して見られてはならぬのだ。

 〈大地魔法:秘匿されし宝(トレジャーギミック)〉発動。」



 発動と同時に旗をドーム状に覆う土の壁。触るどころか見ることさえも不可能になった旗に戸惑いを隠せたのは一体幾人だったことか。

 実況のサルーラさんでさえ口をポカンと開け、アナリスさんはというと瞳に動揺を浮かべ、すぐさま解説をしだした。



『ガイア選手による強力な土魔法のようですね。

 カオスファミリアは大地を司る神を信仰しているのかもしれません。』


『ど、どうしてそう言いきれるのかしら。魔法が得意なだけかもしれないじゃない。』


『いいえ。あれは神の助力を得なければ到底成しえないものでしょう。……本人に神の力が宿っているならば別ですが、そう言った者たちはファミリアに属することを厭います。故に、考えづらいですね。』


『あぁ。なるほどね。確かに、よく考えたらそうだわ。』



 落ち着きを取り戻したサルーラさんはそうよねと何度も頷き、自分を納得させていた。……到底納得しているようには見えなかったが。


 そうして陣地が完成した頃、ガイアさんの周りは白組のプレイヤーで囲まれ、ガイアさんは皆から頭を撫でられていた。何処と無くガイアさんは嬉しそうに見える。

 本当に、愛されてるんですねぇ。


 心配する必要も無さそうだと思い、戦況を見る。どうやら、各地でも徐々にどちらかが押していっているようだ。

 それは北を中心に白組が南を中心に赤組がとある程度偏りが生じている。

 恐らく、初めから順位自体ある程度偏ったものになるように設置されていたのだろう。

 さて。問題はここからですね。ここまでがそもそもの前段階ですから。見たところ、赤組は150人程。白組は140人程と白組の方が少ないようです。しかし、まだまだどうにでもなる人数差なんですよね。

 ここからは守りを固めつつ攻めていくと言った所でしょうか。ガイアさんはどのようにこの状況を乗り切るんでしょう?


 楽しみに思いつつ観ていると、動いたのは赤組だった。先に拠点を手にしていた赤組は白組へと侵攻を始め、真ん中から北へと向かって進んでいく。

 そこへガイアさんは更に動いた。



「聳え立ちしは善なる壁。開きしは悪なる奈落。

 全ては我が父のためと知れ。〈大地魔法:善悪創造〉」



 ゴゴゴッと唐突に揺れる地面に体勢を崩す人が続出する。そんな中でも、進み続ける人達が居た。しかし、それも長く続きはしなかった。



「う、うわっ!?なんだ……!?」


「し、沈む……!?」


「崖って、こんなのあり!?」



 唐突に割れた地面に叫ぶ人々。何人かは空いた地面に落ちて退場となったようだ。



「えーっと……これ、やり過ぎでは?」



 思わずこぼれた声に、空と神様が私の方を見る。

 何かのタガが切れたかのように2人は一斉に話し出した。



「だよね!?そうだよね!?あー。良かった。そう思ってたの、ボクだけじゃなかったんだ!」


「ほんと、ガイアは何を考えているのかな!?僕は加減するように言ったはずなんだけど!?もしかして、これくらいなら大丈夫とか思ってる!?思っちゃってるの!?」



 急に大きな声を出す2人に周囲から迷惑そうな視線を向けられ、慌てて2人に周りを指さして注意する。

 ハッとした神様が防音の結界を張り、これで遠慮はいらないと口を開いた。



「ガイア、本当に遠慮がないと思わないかい!?」


「分かる。すっごく分かる。あれはないよ。

 ボクも少し前は凄いなーくらいだったけど、流石に崖まで作るのはやり過ぎ!あれ、もはや権能使ってるよね!?」


「えっと、初めてのイベントですし、ね?そこは致し方がないんじゃないでしょうか。」



 宥めるように曖昧な笑みを浮かべ、ガイアさんを擁護しようとしたが、どうやら上手くいかなかったらしい。

 画面向こうでガイアさんの作った障壁をガンガンと叩く赤組とガイアさんに守りを任せ、全員が攻めへと転じた白組を見て2人はため息をついた。



「それで済むぐらいだったら良かったんだけどねぇ……。」


「ははは。これは……ちょっと、後で叩かれるとボクは思うな。頑張って?神様なんだし。」


「うー……本当に君はお気楽でいいねっ!?」



 やがてそう時間がかかる事なく対戦時間である15分が過ぎ去った。最終的に全ての旗は白色に染めあがり、赤組は残り20人という所まで追い込まれて終わった。

 ……拠点の守りが強すぎるとこうなるんですね。


 3人で遠い目をしていると、そこにガイアさんが帰ってくる。帰ってきて早々に避難の目を浴びたガイアさんは首を傾げ、どれだけ神様に苦情を言われてもそれが競技だと言い張ったのだった。



「これは祭り。手を抜く方が失礼。」


「そういう事じゃないんだけど!少しは加減して欲しいってこと!」


「……?加減も手抜き。ダメ。」


「神様、これは言っても感覚が違いすぎて伝わってませんよ。」


「ははは。旧神って凄いね。」



 ・

 ・

 ・



『いよいよ第3回戦ね。この競技の勝敗を決める試合の開始と言ったところかしら。』


『そうですね。今回の結末はどうなるのか。楽しみです。』



 ちっとも楽しそうではない声で楽しみだと言うアナリスさんの声に、そろそろ違和感を覚えなくなってきた頃。第3回戦が始まろうとしていた。



「神様。やっぱり上位陣の戦いって違いますか?」


「うーん。……そうだね。今回はガイアのおかげである程度の統率が取れていたけど、いつもなら統率どころか全員で攻めて旗を奪われたり、フレンドリーファイアが横行して自滅したりしていたんだよ。」


「……ある意味地獄絵図を回避したとでも言えばいいんでしょうか……?」



 うわぁと遠い目をしていると、第3回戦が開幕した。

 南ではゼウスのマスターと羊の角を持つくせっ毛の少女が、北ではヘラのマスターであるメルフィーナさんとヘパイストスのマスターであるアレクセイさんがそれぞれ戦っている。



「そぉれっ!〈装甲破壊(ブローニャシェーニエ)〉!」



 くせっ毛の女の子は自分と同じくらいの大きなサイズの盾をブンブンと振り回し、猛攻を仕掛けた。しかしながら、やはり相手が相手なだけに攻めきれていない。寧ろ、ディボルトさんの方が余裕があるように見える。



「〈翼帝の反撃(カウンターラッシュ)〉」


「くぅっ!まだまだぁっ!」



 重い一撃を放つ盾に槍を下から回して跳ねさせ、あいた体に矛を深く刺す。顔を歪めた少女は一度距離を取り、傷を手で覆いながらディボルトさんを睨んだ。



『あら。ドリーナったら頑張るわね。あの魔王相手によくやるわ。』


『しかし、もう限界といったところでしょうか。

 あの傷では回復魔法を使ったとしてもそこまでの効果を得られないでしょう。魔王の槍は損傷悪化の呪付きですし、光魔法でもなければ意味もありませんから。』


『確か、弑逆の槍だったかしら。本当に嫌な武器を作るわよね。ゼウスの開発部。』


『いえ、英雄殺しの槍、らしいですよ。更にレベルアップして。』


『……魔王が更に魔王していて良いのかしら。結構前に失礼だとか憤慨していた子達も居たはずなのだけど。』



 複雑そうにサルーラさんがそう言った頃、ドリーナと呼ばれた少女はディボルトさんによって退場させられていた。旗が赤色へと変えられたところで5分が経過する。


 一方のメルフィーナさんはというと、玉入れの時に見た烏以外にも白い狼を連れており、アレクセイさんが大槌で突撃してくるのを上手くいなしているようだ。メルフィーナさんはやや余裕があるようにも見え、戦闘している間にも旗に近づこうとする。

 しかし、相手もマスターなだけあり、寄せ付けないように上手く立ち回っているようだ。

 そこへドリーナさんを撃退し、旗をアカツキさんに任せたディボルトさんが現れる。



「あー……これは、まずいわね?」


「メルフィーナ!翼!同じ!」


「ええ。同じだけど敵だわ。頑張りましょうね。黒、白。」


「ハーイッ!」


「ガゥッ!」



 能天気な烏の声が響き、狼は短く吠える。恐らく、白というのがあの狼の名前なのだろう。

 そうして2対1になり、更に激しい戦いが始まった。それはもはや怪獣を相手に戦っているようですらあったが、それでもディボルトさんは飄々としている。


 その後、メルフィーナさんの善戦むなしくディボルトさんに討ち取られ、旗は奪われてしまった。

 初めに取得した側の旗となる性質上、赤組の拠点の旗はこれで2本となった。その結果、最後までその2つを守護した赤組は他の点数も含め、30250という本来なら有り得ない点数で第3回戦は終了した。

 白組が負けて残念ですけど……やはり神様ランキング1位のマスターは一筋縄ではいかないようですね。

次回、巨大玉転がし


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり、ヤラカシター-!!そして、良くぞヤラカシタ…(・・;) …うん、こうでないとね(--)サトリマシタ。 [気になる点] 盾を振り回す…アルゴスの〇士みたいに? 白い狼…フェンリル…
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