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50話 開会式は歓声と共に

こんにちこんばんは。

登場人物がこれから大量に増えるので人物紹介というものがいる気がする仁科紫です。

……ファミリア名が分からなかったら掲示板1に戻ってください。


それでは、良き暇つぶしを。

 突然現れたガイアさんは神様のお店を拠点とすることにしたようだった。それと同時に何故かファミリアにも加入する事にしたらしい。

 神様なのに良いのかと問うと、旧神だからいいのだとガイアさんは言った。なんでも、旧神は今の世界では神には該当しないのだとか。

 現在の世界の神とは力あるもののことではなく、信者が居るもののことをさすらしい。


 私の称号に【神様(?)を崇める者】というのがあったが、あれは神様に私という信者が非公式に出来たから神様が神判定になりかけていたらしい。今は既にファミリアの一員になっているため、神判定されていないのだとか。尤も、称号はそのまま消えないらしいが。

 つまり、神様がファミリアに入らなければ本当に神様になれたかもしれないというわけですね。……いえ、それはそれでファミリアを作ることが出来ませんでしたし、結局はこの流れで良かったんでしょうけど。


 ガイアさんが住むにあたってひと騒動あったものの、それも収まり、数日が経った頃。待ちに待ったイベントの日がやって来ていた。



「これが会場ですか!広いですね!」



 キラキラと瞳を輝かせて広い会場を見渡す。そこはどこかの競技場のように広く、段になった観客席と真ん中で宙に浮いているスクリーンが特徴的だった。スクリーンにはplease waitという文字が踊っている。



「まあ、ここに何万人って人が集まるからね。これくらいの大きさになるのも当然かな。」



 直接転移してきた観客席へと座りながら神様は説明する。それを聞きつつ私は観客席の範囲で辺りを見渡し、既に人が半分くらい埋まっているそこを興味深く観察していた。もちろん隣には空もおり、何故かガイアさんまでいる。

 ガイアさんまでいる理由はそんなに楽しそうなイベントに参加できないなんて信じられないという言葉と、今まで放置しておいてそれかというある意味脅しじみた方法によって神様から招待状を貰っていたのだ。

 正直、それでいいのかと思わないでもなかったが、世の中には仮想世界人保護法なるよく分からないルールがあるらしい。それに則り、参加資格をもぎ取ったのだとか。

 まあ、本来はAIとして重労働させないためのものらしいですけど、そこはガイアさんの拘束時間を考えてOKがおりたとのことです。聞いた時は驚きましたからね。日ではなく年単位でしたから。


 そのガイアさんはと言うと、周りを見渡して目をキラキラとさせていた。



「人の子が沢山……。なるほど。正に祭り。」


「ガイアは祭りが好きなの?」


「ええ。祭りを好まない神などはいない。それが誰のためのものであってもこういった場には陽の気が満ちる。その空気を好む。」


「へぇ。それは興味深いね。」



 ガイアさんはいつもの淡々とした口調ではあるものの、興奮しているのかいつもよりも声が弾んでいる。それだけこの場の雰囲気を楽しんでいるのだろう。



「プティは何に出るんだったっけ?」


「えっと、午前は玉入れに巨大玉転がし、午後は障害物競走と騎馬戦ですね。」


「結構無難だね。」


「いえ、神様がオススメしたんじゃないですか。色々な意味で危ない競技が多いからって。」



 そうだっけと言って首を傾げる神様に呆れた目を向けるが、そう言えばあの時は神様も他のことに気を取られていたため、覚えていないのも仕方がないのかもしれない。

 あの時は急遽ガイアさんも参加することになりましたからね。運動会……ではなく、体育祭でしたか。イベントの趣旨の説明も含めてどういったことをするのかを一から説明するのは大変そうでしたねぇ。


 そんなことを話していると、アナウンスが流れた。



『これより、第3回体育祭ファミリアの部を開催致します。皆様、中央のスクリーンをご覧下さい。』



 表示された画面を見る。そこには赤組と白組のそれぞれの割り振りが表示されていた。どうやらランキングの下1桁が1、4、5、8、9のファミリアは赤組。2、3、6、7、0のファミリアは白組のようだ。

 ふむ。私たちは800位なので白組ですか。


 なるほどと頷いていると、組み分けの画面が端に寄せられ、別の画面が表れる。

 そこには白い兎の耳をもつ高校生くらいの少女と大きな蝶々の羽を背中に持つ中学生くらいの少女が映っていた。

 うさ耳の少女はショートボブのフワフワとした白い髪が愛らしく、ルビーのような赤い大きな目をキラキラと輝かせ、少し大きめの白いローブを来ていた。

 一方の羽をもつ少女は金から銀へと変化するグラデーションが美しい髪を下の方で二つくくりにし、ツリ目がちな瞳は見る角度によって色を変えるなんとも不思議な目をしていた。肩の出るミニドレスがクールな雰囲気と可愛い印象を併せ持たせていた。


 そんな2人に共通しているのはどちらも胸の辺りに琥珀色のブローチをつけている事だ。中には揺れて見える炎が入っており、自然と目が惹き付けられる。

 ぼんやりと見ていると、画面の少女たちは息ぴったりに話し始めた。



『皆さんこんにちは!ヘスティアファミリアのマスター、ラパン・アルビーナです!』


『サブマスター、サルーラ・サラサーティ・フルフラリーよ。今日は私たち、アルミラージがこの大会の司会を任されることになったから、問題なんて起こすんじゃないわよ。』



 2人が話し出した途端にワーッと辺りが歓声に包まれ、そこかしこで「やったー!アルミラージだ!」「ラパンちゃん今日もかわいいー!」「サルーラたん、今日もツンデレ可愛いはぁはぁ。」といった声が聞こえてくる。

 ……一部に変態が居るのはもはや通常運転か何かでしょうか。まあ、世の中にはそういう人もいますよね。みんなが皆そうという訳ではありませんし。


 少しばかり遠い目をしていると、画面の中の2人が今回の体育祭イベントについて説明していく。



『今回のイベントは体育祭です!

 競技は事前に参加希望を出してもらい、集計結果をご存知でしょう。そのため、今回は省かせていただきます!』


『ということで、まずはルール説明ね。

 原則として観客席では攻撃魔法、精神干渉系魔法を使わないこと。これは当然のことだけれど、毎回誰かしらがやらかすから注意なさい。』


『そんな悪い子は私たちが懲らしめちゃいますからね!』



 片手で銃を撃つような仕草をしつつウインクをするラパンさんはお茶目な雰囲気もあって可愛らしく、人気が出るのも分かる気がした。



『次に、同じ組のファミリア同士で潰し合わないこと。

 これも当然だけど、このイベントは競技ごとにファミリアへもポイントが入るわ。普段競っているファミリアが同じチームだからって足を引っ張りあっても、最後に勝てなければ得られるポイントが減るのよ。理解なさい。』


『これも毎回居ますからねー。ふふふ。そこは各組のリーダーたるゼウスとヘラの腕の見せ所といった所でしょうか。』


『そうね。体育祭ってことで、赤組の応援団長にゼウスのマスター、ディボルトが。白組の応援団長にはヘラのメルフィーナがついているわ。任されたからにはしっかりやる事ね。』



 そこで一度画面が切り替わり、二つの画面が合わさったものが出てくる。

 右側には黒髪に鋭い青の目が特徴的な鷲の翼を持つ男性。黒い軍服はいつか見たゼウスのサブマスター、トアさんが着ていたものとよく似ていた。

 ただ、よっぽど不機嫌なのかむすりと唇を引き結んでいる姿は他の人から避けられそうだという印象を受けた。



『赤組の応援団長。ゼウスのマスター、ディボルトだ。

 己が信じる神の名に恥じぬ戦いが出来るよう気を引き締めろ。……俺が勝利に導いてやる。置いていかれるなよ?』



 フッと笑った男性に周りから黄色い歓声が上がる。一部ではブーイングが出そうな言葉だったが、そういった姿は見えない。神様ランキング1位のファミリアのマスターなだけはあるという事だろうか。

 うーん。これがカリスマっていうやつなんですかね?正直、神様の方がカッコイイと思うんですが。


 首を傾げつつ左側の女性を見る。

 緩くカールした落ち着いた茶色の長い髪をハーフアップにし、若干タレ目の珊瑚色の瞳は見る人に穏やかな印象を与える。頬から首元にかけて蔦のような刺青があるのが特徴的だ。

 クリーム色の落ち着いたローブを着るその人は見た印象と違わず、落ち着いた声音で話し始めた。



『皆さんこんにちは。

 威厳のあるゼウスのマスターの後だとなんだか迫力負けしていないかしら。』



 そう言った後、あちこちからそんな事ないよーという声がちらほら聞こえる。こちらは男性の割合の方が多いが、女性の声も聞こえた。同性からも好かれるタイプなのだろう。

 女性はその声に微笑みながら答える。



『ふふふ。ありがとう。

 私はヘラのマスター、メルフィーナよ。

 今日は白組の応援団長として精一杯応援させてもらうわね。まずは楽しんで。そして、全力を尽くしましょう。結果は自ずとついてくるわ。』



 始終ほんわかとした雰囲気にこの人が応援団長で良かったと思っていると、再び画面が切り替わる。

 先程まで統一のなかった服装は何故か白い半袖の運動服に赤いブルマへと変わっていた。頭には2人が白組だからか白いハチマキを巻いている。

 辺りは先程以上に黄色い歓声に包まれ、かなりの盛り上がりを見せている。

 ……それにしても、意外にラパンさんって胸あるんですね。……コホン。いえ、なんでもありません。ないったらないのです。


 空から妙に微笑ましいような目線で見られた気がするが、きっと気のせいだと画面を見続ける。

 そこはどちらかというと冷たい視線であるべきだと思うのですが……同性だからでしょうか?



『応援団長の紹介も終わったことですし、早速競技へ参りましょう!』


『まず、午前の部から。

 第一競技は玉入れ。ただし、普通の玉入れではないとだけ予め言っておくわ。前回大会では入れたはずのお手玉が勝手に出てくるなんて言うとびきりスペシャルな悪ふざけが起きたけれど、今回はどうなるかしら。』



 その言葉に一瞬えっと戸惑いの声を上げかけ、なんとか留まった。

 あれ?おかしいですね。玉入れという名前でありながら普通の玉入れではないなんて全く聞いていないんですが。


 ジーっと神様を見ると、神様は視線を感じたのかこちらを振り向いたあと、すぐさま前を向いた。どうやら何か自分がやらかしたのだと悟ったらしい。

 ふふふ。後で聞かないといけないことがこれから増えていきそうですね?


 そう思いながらも目の前に現れた転移のボタンを押したのだった。何はともあれ、頑張りますよ!

次回、玉入れ


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 体育祭という事は学園…シエルという名前… やっぱりカレー好きを付けるのですか? 一応6番目の強さだけどギャグキャラが定番ですから。気をつけてくださいね(笑)
[良い点] 体育祭か~♪懐かしいですね~(笑)騎馬戦が特に疲れたんですよ、本当にね~。 是非、プティちゃん達にも頑張って欲しいです♪ [気になる点] 摩利支天さん達も登場するのですか?ギルマスはお…
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