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48話 意味のない攻撃は無視されるもの

こんにちこんばんは。

タイトル通り存在感が無さすぎる方が居ますが気にしないで欲しい仁科紫です。

……いろいろと要素をつぎ込みすぎた気がしないでもない……。


それでは、良き暇つぶしを。

 ヒビ割れから顔を覗かせるロバに、さてどうするのかと神様達を見る。神様は刀を構えており、真剣な顔でロバを見ていた。

 いつもの剣ではないのかと不思議に思ったが、それ程の相手なのだろう。いつでも糸を伸ばせるよう魔力を手に集める。

 ギョロりと目を向けたロバは鹿の頭の上に移動した私たちを忌々しげに見て叫んだ。



「ヒヒィーンッ!」


「……本当にロバなんですね。」


「うん。ロバだね。」


「見た目からしてもロバ以外の選択肢はないよね!?」


『それよりも集中。来る。』



 女性の声に前を見ると、ロバが開いた口に魔力を溜め始めたのが見えた。そして、巨大な球状に溜められた膨大な魔力は圧縮され、一直線に放たれる。



「ヒッヒーンッ!」


「って、ビームですか!?ロバがビーム出すってどんなシュールです!?」


「いや、突っ込んでる場合じゃないから!」


「うん。実に非現実的だよね。」


『分かる。私としてもあれは無い。』


「同意している場合じゃないよね!?」



 目の前にビームが迫る中、思い思いに話す私たちに神様がツッコミを入れるが、私自身もこんなノリで大丈夫だろうかと思わないでもない。

 神様って本当に律儀ですよね。気になっても放置すればいいでしょうに。


 呆れているのか神様からじとりとした視線を感じるが、そこはスルーする。

 時間にして数十秒程のやり取りの後、目前にまで迫ったビームに女性は落ち着き払った口調で手を前に出した。



『安心する。私の前では無効。』



 すると、今まで微動だにしなかった鹿が一声あげた。

 伸びてきたビームは突然透明な壁にぶつかったかのように霧散する。



「キュォオオン!」


「ブルルゥ!」



 弾かれたことが悔しそうに鼻を鳴らしたロバは、先程以上に苛立ちと憎しみを込めた目でギョロりとこちらを見る。そこに込められた感情の鋭さに息をのんだ。ここまでの感情は海の記憶にも覚えがない。



「こ、怖すぎません?目がギョロって怪獣ですか!?」


「それつっこむの今なの!?」


『父よ。それよりもアレ、どうにかして。』


「そうだよ。神様なら出来るでしょ。」



 私にツッコミを入れる神様は周りから不満げに見られ、えっ。僕?と戸惑った顔をしていた。

 暫く悩んだ神様はやがてため息をついた。それは決心が着いたとかそういった前向きのものではない。神様は何処か迷うような雰囲気を今も身にまとっているのだから。



「……あまり、僕がこの世界に関与するのは良くないと思うんだよ。もうこの世界は僕の手からは離れてしまっているんだから。」


『いいえ。父よ。それは無責任というもの。父と姉が居なくなってどうなっているか知らない訳でもないはず。

 ……それとも、父も裏切るのか。』



 神様を見る女性は、嘘は許さないとばかりに新緑の瞳に力を込める。それを神様は弱った顔で見ていた。


 一方の私はあまりにもの急展開についていけず、ただ成り行きを見守るしかない。

 と、言いますか、さっきから気になっていたのですが、神様って実はこの世界を作った方だったんですか?つまり、本当に神様は神様だった……?……凄いですけどどんな確率です!?意味が分からないんですが!?


 心中でうがーっと叫ぶ。誰にも聞こえるわけがなく、表情にも出していなかったが、空が補足するように説明し始めた。



「姉さん。実は、姉さんが崇めている神様はこの世界に最初に降り立った人なんだ。まあ、言ってしまえば創造神みたいなものだね。ちっとも偉そうに見えないから姉さんが信じられないのも仕方が無いんだけど。」


「い、いえ、信じられない訳では無いですけど……そうなんですね。」



 どんな顔をしたらいいのか分からず、何とも言えない顔をしながら頷く。つまり、知らなかったのは私だけかと悲しくなりながらも2人の話が終わるのを待った。

 本来なら疑うところかもしれないが、私を騙したところで良いことがある訳でもない。それに、この女性が神様を父と呼ぶのは神様によって創られた存在だからだとするならば納得のいく話だった。

 では、この世界に住む全ての存在がそうなのかと問われれば否という答えが返ってくるだろう。神話では創造神から別の神が生まれ、その神同士が番って更に子が生まれるのだ。ならば、見えてくる答えは自ずと1つに絞られる。それは、この女性が神様によって最初の方に創られた特別な個体だということだ。

 ……だから、これだけ綺麗な方なんでしょうね。


 神様と話す姿に少しモヤッとするものがあるが、それはただの独占欲でしかない。小さな子が近所の仲のいいお兄さんを他の子に取られそうでモヤッとするようなそんな小さな独占欲。

 改めて女性を観察して思う。神様の横に立っても見遅れしない。それどころか、お似合いだと思える人物だと。

 初め、男の人かもしれないという考えが捨てきれなかったのはあまりにも顔立ちが整いすぎて性差を感じなかったからだ。綺麗という言葉がよく似合うすっとした鼻筋にシャープな顔のライン。唇は薄く形がよく、垂れて何処か大人びた目は全てを受け止めるような包容力に溢れている。


 どこをとっても美人と形容できるその姿は正しく神が創りし美貌というやつなのだろう。



「……分かった。そうだね。僕は傍観を決め込むだけでまともなルールも作らなかった。だから今の状況が生まれてしまったんだし。……解決はしよう。」


『ようやく決心した?我らが父ながら判断が遅いのは相変わらず。』


「仕方がないだろう。僕は万能の神ではないんだから。」



 そういいながら神様は私の方を振り向く。話は終わったようだ。



「ただ、僕だけではマズイから、プティにやってもらうけどね。」


「……はい??」



 唐突に振られた話に素っ頓狂な声を出す。なぜ私なのかいまいち理解できない。神様ができるのなら神様がしたらいいだけの話だろう。意味が分からず、神様をじっと見て解説されるのを待った。



「ちょっと。いくら神様でもそれは横暴だよね?」


「いや、あまり僕がこの世界に関与するのは立場上厳しいんだ。だから、プレイヤーであるプティにやってもらう必要がある。」


「……それならボクがやるよ。姉さんに危ないことなんてさせたくないし。」



 どうしても私にやらせたくないのか空は頑なに自分がすると言ったが、神様はこれは私にしか出来ない事だと決していいとは言わない。そのまま話は平行線を辿るかと思ったが、間に女性が入ることによって双方が納得する形に収まった。

 それは……



「え、えーっと、相称(シンメトリカル)合体(ドッキング)、ですか?」


「そう。僕が渡せる切り札は1人でしか使えないし、2人の意識を同時に存在させるならただプティが空君を吸収するだけではダメだからね。それならこの人形の機能を使おうと思って。」


「なるほど。それならいいよ。」


「……まあ、空が良いと言うなら構いませんが。」



 相称合体とはこの明青の姫君(あおのきみ)赤華の皇子(あかのきみ)の姉妹人形に元々組み込まれていた性能なのだとか。

 2つの人形が1つの人形に変化したらカッコ可愛いに違いないと神様が作った機能らしい。

 ……よく知らないですけど名前がグレーゾーンな気がするのは何故でしょう。良いんですかね?これ。



「ルビを振る文字を変えてるだけって……。」


「何かな?」


「いや、神様はネーミングセンスが無いなって思って。」


「僕だって悩んだんだけど!?」



 何やらわーわーと話している2人を見ながら、ここって敵前のはずなのになぁと考えていると、後ろから声をかけられた。声の主は当然あの女性だ。ふと、そう言えば彼女の名前を聞いていないと思い至る。

 急かされていたからか互いの自己紹介すらまともに出来ていない状況だった。まあ、声しか聞こえてこない相手に名乗るのも変な感じでしたしね。



「なんでしょう?」


『少し、貴方が心配になったから。』


「気にされる程のことではありませんよ。

 それより、自己紹介がまだでしたよね。私はエンプティです。貴方は?」



 問いかけると、女性は考え込むように間を開けてから口を開いた。



『……完全に解放されたとは言い難い今、名乗るのもどうかとは思う。でも、それも遠くはない。なら、名乗っても構わないはず。

 私は、ガイア。この世界を創り出した父の次女にして大地を生み出したもの。大地を司りし旧神とも呼ばれている。』



 そう言って女性ことガイアさんは大地を生み出したものらしい包容力に溢れた穏やかな頬笑みを浮かべた。

 その笑顔に見蕩れていると、こほんと咳払いが聞こえ、次の瞬間にガシッとしがみつかれるような衝撃を覚えた。

 後ろを振り向くと、何故か空が首に腕を回している。



「どうかしましたか?」


「姉さんはボクのだからね?ガイアにも渡さないから。」


『大丈夫。彼女が感じたのは母性。妹枠ではない。』


「……まあ、それなら。」



 よく分からないやり取りをされ、また置いてけぼりになる。この定期的に訳の分からないやり取りをするの、いい加減にしてくれないでしょうか。


 内心で分からないことに苛立ちながらも伺うように空に話しかける。



「……えっと?急にどうしたんですか?空。」


「うーうん。なんでもないよ。姉さん。さあ、早速教えてもらった通りにしよう。」


「了解です!」



 私は左手、空は右手をそれぞれ繋ぎ、せーのと息を合わせて口を開く。



「「〈相称(シンメトリカル)合体(ドッキング)〉!」」



 言うと同時に光に包まれ、輪が半分の所で折れ曲がる。意識は人形の方から輪の方へと移り、白と黒の輪が折れ曲がった所同士で接合した。

 空と繋がる感覚と共に姿の変わった人形を認識し、魔力を接続させる。


 それは空と私を足して二で割ったような姿をしていた。

 淡い紫の髪はセミロングのハーフアップにされ、右は青、左は赤のオッドアイが特徴的だ。明青の姫君の鋭さも赤華の皇子の穏やかな雰囲気とは異なる、どんぐりのような大きな瞳が可愛らしさを演出している。

 フリルの付いたシャツは右半分が白、左半分が黒く、紫色のリボンが巻かれている。黒紫の膝下のスカートには左側に斜めに大きくスリットがはいっており、隙間から赤みの強い薄紫のキュロットが見えているのが空らしいと思った。また、肌色のストッキングによって覆われた足は人形の間接部分を強調せず、右足はショートブーツ。左足はロングブーツとアシンメトリーな服装だ。……相称とは左右対称という意味のはずだがそれはどこに?と思ったが、あえて触れまい。

 更に、大きさが人とそう変わらない程になっていたのには驚いた。これではただの可愛らしい少女でしかないだろう。



「わぁ。結構変わりましたね。」


「うん。動きにくくはならなかったから、その点だけは安心かな。」



 同じ口で会話するということに違和感を覚えたが、慣れれば問題無さそうだ。

 神様から説明されたこれからの行動を思い浮かべつつぼんやりとそんな事を思った。

次回、続・決戦(次こそ終わらせる……!)


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂に出ました、シンメトリカルドッキング!提案していた身としてはムチャぶりに答えて戴いてありがたいです。デザインもいいですよね。一部を左右非対称にしてのアクセント♪ここから反撃開始!ですね♪…
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