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195話 まずは1つ

こんにちこんばんは。

システムなんて全く考えていなかったために少し後悔している仁科紫です。


それでは、良き暇つぶしを。

 色々とあったが大量の合成を終え、次は鋳造に取り掛かる。

 これはまず、システムで複数の図形を組み合わせることで作りたい形に設計する必要があった。

 予め作成していた模型を元に分割し、作りたい部品をパーツ分けしていく。レールA、レールBみたいにいくつか部品を作って現地で組み立てていく訳ですね。



「既にある形を組み合わせるだけでそれっぽく出来るものなんですね。」


「誰にでも作れるようにする必要はあったからね。まあ、やっぱり慣れだとか上手い下手とかはあるけど。」


「アシスト機能がある分マシってね。

 円柱に直方体、複雑な形の柱も機能を使えば作れないことはないみたいだし。結構面白いね。コレ。」



 サクサクと作り上げていく空は、かなりセンスがある方だったらしい。必要な部品の形を作り上げていく姿は実に楽しそうだ。

 むむむ。私も負けていられません!



「えーっと、ここは円柱で、少し曲げて曲線を……おお!思った通りに出来ました!」


「凄いね。ボクには……ちょっと向いてなかったみたいだ。」



 横から覗き込んだ空の画面には、それはもう複雑怪奇に曲がりくねった円柱が描かれていた。い、1体どうしたらそうなるんでしょう……?



「それなら、私がやるので直線の複雑な図を書いてもらってもいいですか?図の組み合わせは空の方が得意そうです。」


「うん。それならできるよ。任せて。」



 適材適所というやつだったらしく、私では作れそうにない複雑な図形を空はいとも簡単に作っていく。むしろ直線を曲げたり形を少し変えたりするのが苦手なようで、そういったものは逆に私の方が得意だった。

 よし。役割分担も出来ましたし、この調子で行きますよー!


 こうしてジェットコースター、機関車、観覧車、乗り物の部品を一週間まるまるかけて作り上げた。

 土日なんかは一日中鋳造作業でしたからねぇ。デスクワークの辛さを知りましたよ……。

 翌日、本来影響がないはずの現実世界でも肩と腰にダメージが来たときは流石に驚きました。あれはキツかったです……。


 そして、いよいよ始まるのが建設だ。

 作った柱やレールを組み合わせて設置する作業になる。

 その辺は簡略してもいいのではないかと思ったが、神様としては譲れないところだったらしい。



「これでも大分簡単になったんだよ?

 柱を組みたてて、スキルでくっ付けていくだけ。あとの細かい設定は世界がくみ取って補ってくれるんだし。失敗しないってところがかなり簡略化されてると思うんだけど。」


「そ、そうですか?」


「そうだよ。本来ならもっと細かい部品の組み立てとか仕組みを作ったりとかするし、それが楽しいのに……」



 と、その後も色々聞かされる羽目になった私である。もう二度と仕組みについては聞くかと思いましたねぇ。幾ら神様のお話でもちょっと疲れたのですよ……。


 とにかくまずは機関車の線路作りに取り組むことにした。

 やってきた森はあえて残した側の森。

 チュピチュピと聞こえる小鳥の声に癒される。やはり森はいいものですね。



「まずはここにレールを敷いていくんですよね?」


「うん。1つが2mだから、全部で500個設置していくよ。」



 ふむふむ。全長で1000mの予定ですからね。1つが2mなら500……あれ?確か、1000mだから1000個作ったような?

 荷物を確かめると、確かに1000個作成している。しかし、神様の口調からして500個が予定の数だったようだ。



「え。そうなんですか?間違えてその倍作ってしまったんですが……。」


「あれ?材料足りたの?」


「……多めに採掘していたみたいで?」



 そう。材料はむしろ余っているほどなのだ。何せ、掘りますくんが想像の倍以上に楽しかったのが悪い。

 掘りますくんをイアさんが暴走させた後、イアさんと一緒に動かしてはフルパワーで採掘を続けたのだが、これがまあ楽しかったのだ。10回程掘りますくんがツルハシを振り下ろすだけで終わる採掘。ラジコンのように移動するその姿。うっかり掘りすぎても仕方がないのだ。……多分。

 ……そういえば、掘りますくんだけで予定量を採掘していた気がしますね。空と神様が採掘した量を含めれば……。

 何故予定していた量の倍量が材料にあったのかその真相にたどり着いたところで、それなら線路を2本作ろうと提案する。より多くの人を乗せて走れるようになるのだから、損はないはずだ。



「確かにいいね。

 ただ、予定していた線路の外に作ると足りなくなるし、どうせならもっと長い線路を作ったらどうかな?1000mだと乗車時間が短くて物足りないし。」


「そうなんですか?」


「そうだよ。車と同じ速度で1分。もっとゆっくりにして人が走る速度くらいにしても6分くらいが限度かな。」


「はっ。確かに!」



 景色を楽しむという観点からすると速さの設定は考えておく必要があるだろう。時速20kmくらいなら走るよりは早いがゆっくりできるくらいの速さになる。車の場合で考えるとかなりゆっくりですけどね。1000m……1kmで3分。アトラクションとして考えるなら少し短いでしょうか。5分くらいの方がいい気がしますね。待ち時間も5分で回転率もいいですし。……ふむ。

 今ある線路は2km。5分で運行するなら時速24kmですか。これなら丁度よさそうですね。



「時速24kmで5分くらい。どうでしょう?」


「アトラクションだもんね。妥当かな。」


「それなら、早速線路を引き直しませんと!」



 うきうきとマップを広げて眺める。

 2kmものレールを敷くということはかなりの広さを網羅できてしまうことになる。しかし、そこまで広くしてしまうと逆に森の範囲が広くなりすぎてしまうだろう。



「やはり森から出て他のアトラクションからも見えるように、線路を少し外側に寄せるのはどうでしょう?」


「宣伝にもなっていいかもね。乗りたいと思わせるのは大切なことだし。」


「僕もいいと思う。」



 私の意見に賛同する空の言葉に神様も同意する。

 どのようなアトラクションか見えるというのは集客をするという点で大切なのだ。勿論、見えない楽しみというのもあるのだろうが、今回は見せることで客寄せをすることにした。



「あと、グルグルと山を登らせることで距離を稼ぐことも出来そうです。」


「でも、それだと他のアトラクションを乗った時に新鮮味がないんじゃないかな?」


「確かに!では、距離を稼ぐべく内側も少しコースにするのはどうでしょう?」



 そう言って地図を指さす。出発は森の手前に作る駅から。まずは真っ直ぐに道を作り、徐々に曲線を描かせる。崖には橋をかけ、滝を作って上からの景色と下からの景色を楽しめるように2回迂回しながら通って駅へと戻ってくる……2kmならばこれくらいが限界だろう。

 予定はそう大きく変わっていないため、早速作業に取り掛かる。


 まず、レールを固定するために〈定着〉というスキルを使う。これは建築スキルの一つで、一度使うと解除するまでその場から動かせなくなるというものだ。これはどんな物にも使うことが出来るが、やはり生物には使えないらしい。

 建築スキルなどの生産系スキルは基本、アイテムに分類されたものしか扱うことが出来ないようになっているのだとか。

 つまり、料理関係のスキルも煮る、焼く、切るといったことが出来るのは全てアイテムになった食材達にしか使えないのである。そのため、料理人達は料理用の切るスキル以外にも、生物を倒すための斬るスキルを持っていることが多いと神様は言っていた。


 それはともかくとして、この定着スキルに関してはまだまだ未熟ながらも模型を組み立てるうちに習得はしている。大まかに設置位置を決めて定着を行っていく。

 次に〈連結〉スキルを使って隣合ったレールを繋げる。神様が言うには、作業の簡略化のためらしい。この辺りは神様も妥協したんですねぇ。



「ですが、レールというのは夏は長く、冬は短くなるために少し隙間を開けて設置するものですよね?」


「この世界では現実ほど物理法則は遵守されていないからね。設置した物が伸び縮みすることはないんだよ。」


「そうなんですね。」



 教科書で見たからには実践してみたかったが、その機会はないようだ。

 まあ、考えることが増えない分、作業が楽になっていいんですけどね。


 全てを設置し終える頃には1時間が過ぎようとしていたが、やりきったという充足感はなかなかのものだった。



「ふぅ。こんなものでしょうか?」


「うん。いい感じだね。次は駅を作ろうか。」


「はーい!」



 森の入口に立ち、どの辺に設置するかを話し合う。駅と言っても簡単なもので、所謂アトラクションの待機所を作るという話だ。あれ。でも、これだと横から侵入出来て危ないですね。



「神様!横からの割り込みや侵入して電車にぶつからないように柵が必要じゃないですか?」


「いや、そんな子どもみたいな……あー。必要そうだね。」



 一瞬否定しかけた神様も、この世界のプレイヤーを頭に浮かべて思い直したようだ。

 この世界のプレイヤー達は少々子どもっぽいところがありますからね……。アキトさんとかアキトさんとかアキトさんとか……。

 侵入禁止の標識がないと面倒事が起こりかねない。ここは明確にしておくべきだろう。



「どうやって作りましょう?」


「いや、元々あるポイントで柵を設置しよう。そっちの方が多分簡単だよ。」



 確かにと頷き、島の管理システムから柵の形を選び、設置していく。

 形は牧場などにある動物を逃がさないための木でできた柵にしておいた。人が入れそうな隙間はあるが、周りの景色に合わせるとフェンスよりはいいだろう。

 作った柵は2箇所開いており、そこから出入りが出来るようになっている。乗り場と降車場所の立て札を設置し、柱を4本それぞれ駅の設置場所の四隅に立て、〈定着〉を使って固定。用意していた木材を中の様子が見やすいように縦の面だけ横に等間隔で4枚貼り付ける。

 あとは予め用意していた屋根を上にのせて〈連結〉し、完成だ。



「まず1つ目!完成しましたよ!」


「完成、かな?機関車の方はまだだし、細かいところは出来てないけどね。」



 ニコニコと気分よく笑いかければ、神様から痛いところをつかれて一気に気分が沈んだ。が、頑張ったんですから、少しくらい褒めてくれてもいいと思うんですよぉ……。



「完成でいいじゃん。

 立派な駅が出来たね。姉さん。」


「空ぁ!」



 やはり神様は乙女心が分かっていない。だがしかし、そこもいいと気分よく次のアトラクションの設置予定場所へ向かうのだった。

次回、いろいろありはしたものの……


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] (一先ず)完成!早速乗りたい人が期待に満ちた眼差しで観ておるのですね♪ [気になる点] 柵だけで足りるの?保護者さんに手綱を渡さないと(笑) [一言] 次は機関車かな?それとも有名な特急…
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