184話 話は思わぬ方向に
こんにちこんばんは。
気がつけばバレンタインが過ぎていますが、最近何かと忙しいので勘弁して欲しい仁科紫です。
それでは、良き暇つぶしを。
街作りを始める事になった私達は一先ず既存の設置可能アイテムを確認することにした。
確認は私が出来るため、ページを開いて神様と空、何故かいるイアさんと一緒に見る。
中身は正しくカタログであり、実際の写真と必要な土地の大きさ、必要な費用、簡単な説明が載っている。色が選べるものは選択可能な色のサンプルも載せてあるあたり、かなりの親切設計ではなかろうか。
中の詳細は以下の通りだ。
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建築物
-家編-
一軒家
3階まで建築可能な必要最低限の生活用品が揃ったシンプルな家。庭はついてない。
中の構造は全て統一されている。
色:青、赤、黄
マンション(統治Lv2で解放)
4階から10階まで建築可能な一般的で面白みのないマンション。
ワンフロアにつき4部屋まで設置可能。部屋数に応じて部屋の内装が変化する。
色:灰、白
屋敷(統治Lv3で解放)
貴族が住むような大きな家。大きな庭と周囲を囲む塀は家の付属となるため、広大な土地が必要。
色:青、赤、黄
城(統治Lv5で解放)
どこかのメルヘンな国にありそうな優雅な城ではなく、無骨で面白みのないあくまでも城という機能を持つ頑丈な建物。
この城に夢を持つのも結構だが、自力で建てた方が余程いいだろう。
色:灰
-店舗編-
工房
ものを作るための基本的なものが揃った建物。
高度なものを作る時は自分で揃える必要がある。
色:灰
販売店
ショップとして必要なカウンターと商品を置くための棚は整備されている建物。
当然レジなどの小物はないため、別途必要。
色:青、赤、黄
飲食店
調理場と大部屋こ2部屋で構成されている。
大部屋にはカウンタ-が設置されており、大衆食堂や夜の酒場程度には適した内装をしている。
色:青、赤、黄
生産
-農業-
畑
ただの畑。何を植えてもそこそこに育つ。
水田
ただの水田。深さは0.2~1mまで選べる。
水路
川から水を引くことが主な役割。
畑や水田に必要な水として機能する。
森(統治Lv5で解放)
多少山の幸が手に入る森。定期的な手入れをする必要がある。
-畜産-
草原
ただの草原。放牧には向いている。
飼育小屋
小さな生き物を飼育できる。内装は3種類から選べる。
鶏舎(統治Lv3で解放)
鶏を飼育するのに適した建物。自動的に卵を回収できる。
餌は用意する必要はある。
牛舎(統治Lv5で解放)
牛を飼育できる。小物、消耗品は別に用意する必要がある。
-工業-
鉱山
金属のとれる山。穴掘りは人手を用いて行う必要がある。
工場
様々なものを作るための機械を設置できる。
基本の機械は選択可能。
-その他-
橋
ただの橋。木でできており、歩くとグラグラする時がある。
山
ただの山。山遊びができなくもない。
川
ただの川。川遊びができなくもない。
海
ただの海。泳ぐことも出来なくはない。
砂浜
ただの砂浜。どこにも繋がっていない海からの謎の漂着物が届くことがある。
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他にも噴水や道等の個別に設定するらしいものはあるが、大きく設置するものはこんなところだ。
それぞれのアイテムは統治レベルというのを上げていくうちによりいい物へと進化したり、より優れたものを設置できるようになったりする。
また、所謂街づくり系ゲームのようにそれぞれのアイテムに設置面積が設定されており、重ねておけないようになっているため、置き場所はしっかり考えた方が良さそうだ。尚、職人にお願いすると重なりも多少許容されるようになり、繋がった家なども設置できるようになる。
更にカタログには勧誘可能な職人についても記載されており、必要なお金や条件などが設定されている。所謂住人の勧誘もここで行うようだ。
そして、統治レベルは島の住人の人数や街に設置された建物のクオリティ、観光客の人数などによって上がっていく。
当然、現在の他の島は全て最大レベルである5だ。私達もこれを目指すべきなのだろう。……いや、正確には恐らく、いつの間にかそうなっている、というべきなのだろうが。
「あれ?信者誘致、ですか?」
ふと目に入った単語に首を傾げる。
住人を増やすということは分かるが、見慣れない言葉だ。
しげしげと眺めていると、隣で神様が身を乗り出してどれどれと読む。な、なんか近い……?気がしますね……?
「ああ。それ。もう既にいる信者を住人として呼ぶっていうこの世界では一般的な住人の増やし方だね。
他のファミリアだと主にこの制度を使って島の住人を増やしているよ。」
「そ、そうなんですね。」
いつもとそう変わらない距離に、自分からも近づいたことのある距離感。それでも、神様から近づかれると慌ただしくなる心臓に困惑する。こ、これ、顔が赤くなったりしてませんよね!?
パタパタと顔を仰ぐとジトッとした視線と不思議そうな視線、心配そうな視線を感じる。
「……なんですか?」
「プティこそどうしたの?」
「熱?」
「わー。青春ダネー。」
「うっさいですよ!?空!」
ベーと下を小さく出す空にぷんすかと怒る。神様は不思議そうに見ていたが、苦笑を浮かべて話を先に進める。勿論、心配そうなイアさんには大丈夫だと言っておくことを忘れない。
神様はいつものじゃれ合いだと思ったようですね。良かったです。
「ま、まあまあ、それくらいにして、これからどうするか決めようか。」
いつも通りの神様の様子にほっとして神様の言葉を考える。話の前後からして住人の増やし方についてだろう。
「私達も信者誘致したらいいんじゃないですか?前に見た時はかなりいたと思いますし。」
「あー……。」
気まずそうに目線をそらす空と神様。
物凄く嫌な予感がするが、聞かねばならないのだろう。
「あの、何かあったんですね?」
「……ほ、ほら、ファミリアって所属人数が3人必要だろう?」
「そうですね。だから、私と神様とイアさ……あ。」
イアさんと言いかけ、ハッとする。
そういえば、イアさんって神様に戻ったんでした!この場合のイアさんの判定はどうなんでしょう……?
「もしかして……?」
「そのもしかして、だよ。」
ガーンッとその衝撃から口元に手を当てる。
「まさか、人数不足からのファミリア解散!?そんな弱小部活の自然消滅みたいな……!?」
「ねー。例え方はどうかと思うけどまさかのその通りだよ。
現在、カオスファミリアは活動停止状態で信者は10人居るか居ないかくらいだ。」
「大問題じゃないですか!!」
想像よりも酷い事実に頭を抱える。これでは、他のファミリアのように信者を誘致しても大したことは出来そうにない。……あれ?でも、そもそも私たちは遊園地を作りたかったわけですよね?と、いうことは……
「神様。私たち、遊園地が作りたいだけで別に街を作りたい訳じゃありませんよ?
住人の人数はそんなに必要じゃないですか?どちらかと言うと、職人の勧誘の方が大切なような。」
「それもそうなんだけど、問題は信者が多ければ工事とか島で何かする時にも手伝ってくれたりするんだよ。
更に言えば、信者の数は信用の証のようなものだからね。名のある職人はそう簡単には呼べないんだよ。」
「つまり、今のままでは遊園地は厳しいかな。」
「そんなぁ……。」
確かに遊園地と言えば、遊具が作れるかは別としても大きなものの設置がメインになる。人手がなければ難しいだろう。
「……まあ、方法がない訳でもないんだけどね。」
「その方法とは!?」
「自分で作ること。」
「デスヨネー……。」
自分達では作るに作れないから人手が必要だったのだ。これでは本末転倒である。
しかし、遊園地を開きたいという気持ちは捨てきれない。遊園地という案が浮かんだのには理由があるのだ。
それは、一度だけ海が家族で訪れたテーマパーク。
家族で遊びに行くことが滅多になかった私にとって、幼い頃に訪れたあの場所が唯一思いついたみんなが楽しめる場所だった。
あそこでは気難しい父もヒステリックな母も次は何がしたいかと笑って聞いてくれた。……本人達が本当に楽しんでいたかは知りませんけど。
だからこそ、やはり遊園地という目標は捨てたくない。
うーん。とにかく、何をするにしても人手が足りないんですよね。遊園地以前にカタログのものだけではただの田舎なほっこりとした街の完成になっちゃいます。
人手、人の手、て……うん?つまり、移動させたり、作ったりする手が足りないってことですよね?
「神様!人手不足解消方法、見つけました!」
「本当に?どんな方法かな?」
「それは……私が、糸でグルグルーとして持ち上げて、設置したり固定したら良いんですよ!」
「なるほど……ん?なるほど……?」
「おー。偉い。」
「姉さん、確かにその方法なら問題の解決にもなるけど、まだ問題が残ってるんだよ。」
ドヤッと効果音がつきそうな程に胸を張って言うと、一度頷いた神様の首が徐々に斜めに傾いていく。あたかも考えれば考える程に問題点が出てきたと言わんばかりだ。
更に、隣の空は苦笑いを浮かべている。こちらは明確に問題を理解しているのだろう。
「えっ。どうしてそんなに微妙そうな顔なんですか!?」
「いや、姉さんの考え方自体は間違えてないんだよ?
だけど、もっと根本的な問題があるんだ。」
空の言葉に少しホッとしつつ根本的な問題とはなんだろうかと考える。
しかし、幾ら考えても素人だからということしか思いつかず、空に答えを求めることにした。
「それは……?」
「物を作る時はね、スキルがあった方がちゃんとしたものが出来るんだよ。」
「ガーンッ!?」
スキル。それはこの世界において持っているだけで今まで出来なかったことも出来るようになるもの。
つまり、あれば素人でもプロと言えるレベルになることも出来るものなのだ。逆に言えば、なければ品質は保証されない。
「……それなら、です!そういう事ならば、やってやりましょう!なってやりましょう!私は建築家に!
建築家スキルを手に入れてやるのです!」
「お、おおー。応援してるよ……?」
「応援する。」
「さすが姉さん!ボクも手伝うよ!」
パチパチと手を叩く空の姿にハッと我に返る。
あれ……?何故私が建築家になることに……?
こうして私は、その場の勢いというものは恐ろしいものだということを学んだのだった。
それはともかくとして!
「と、とにかく頑張って作りますよ!遊園地!
まずは何から作りましょうかねぇ!
……ところで、どうやって建築家スキルって身につくんでしょう?」
「うーん……僕が言うのも反則だから詳しくは言えないけど、とりあえず何か作ってみたらいいんじゃないかな。
まずは設計図を書いてみるとか。」
「そうだね。それから模型でも作ってみたらどうかな。別に急ぎって訳でもないんだし。」
「地面のならしは私がする。任せる。」
今更な質問にも関わらず、次にするべき行動について助言をくれる3人に感激する。
やっぱり、仲間は頼りになりますね!
「設計図に模型ですね!イアさんも、協力ありがとうございます!
まずは頑張って模型を作りますね!」
こうして私の建築家への道が進み始めたのだった。
次回、プティ、悪戦苦闘する
2人「まあ、多分苦戦するんだろうな。」
ガイア「???」
イアさんの空気感が凄いですが、神様の領地なのであまり口出ししないようにしています。
(私が忘れてた訳ではありませんよ……?
♪~(° ε ° ` ;))
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。




