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160話 成長はわかりやすい所に

こんにちこんばんは。

ペースアップを目指すことにした仁科紫です。


それでは、良き暇つぶしを。

「そういうことなら俺もついてこう。」



 あの後、無事に合流できたイアさんとテルさん、カンタと共に改めてロノさんに事情を説明すると、好意的な返事を貰えた。

 尚、迷子になっていたのは私だけらしい。そこはテルさんも迷子になっていてくれたって良くないですか!?



「おぉ!これで3柱?「人」3人目ですよ!イアさん!」



 イアさんに数え方を訂正されて言い直すと、ロノさんは何故か眉を寄せた。

 何か気に触るようなことを言いましたかね?

 首を傾げると、ロノさんが口を開いた。



「母上を愛称で呼ぶとは……天帝がうるさそうだな。俺の事もクロノスでなくていい。」


「では、ロノさんで!」


「ああ。」



 どうやらイアさん大好きウラノスさんの事を危惧しているらしい。確かに、ウラノスさんが知ると煩いのは間違いないだろう。

 うーん。……いえ、まあ、そういうときはイアさんに任せるのが一番ですね。

 どう考えても諦めるのが早いと判断した私は早々にイアさんへ投げ出すことに決め、次の神殿へと向かうことにした。



 ・

 ・

 ・



 そして、サクッとダンジョンを進みつつ懐かしのウラノスさん引きこもり現場(ただの広場になっていた)に向かい、いつもの如く扉を開けてもらう。

 もう慣れた移動を行うと、そこは何処までも澄んだ空が広がる雲の上だった。

 だだっ広いだけに目的の人物はすぐに見つかる。いや、寧ろイアさんを見つけたウラノスさんが飼い主を見つけた飼い犬よろしく走ってきたとでも言うべきか。

 やってきたウラノスさんはイアさんに抱きつきながらイアさんの話を聞いていた。そして……



「嫌だ!何故その矮小な生物の言う通りにしなくてはならない!」


「天弟……。」



 現在、猛烈に駄々を捏ねていた。

 尚、以前のウラノスさんからはかなり成長しており、見た目は中学生ほどだろうか。160cmほどの身長に成長したとはいえまだ幼い顔立ちは、成長途上ならではの可愛らしさがある。

 つまり、何をしようとあら可愛いわねーみたいな感想しか抱かないのである。

 ある意味得ですけど、きっとウラノスさんからするともどかしいでしょうね。

 ぽけーと上の空でそんなことを考えていたからだろうか。ウラノスさんが唐突にこちらに向けて指をさした。



「あれはお前らの自業自得じゃないか!」


「はい?私たちの自業自得……?」



 唐突な話に戸惑い、首を傾げると更にウラノスさんは激昂した。もしかしなくともウラノスさんからすれば惚けているようにしか感じなかったのだろう。

 どうしたものかとウラノスさんを見る。本気で知らない訳だが、視線で通じるほど甘くもないのは分かっている。言葉にしなければ通じあえないのだ。ウラノスさんの目を見て口を開く。慎重に話す必要があるだろう。



「あの、詳しく話していただいても良いですか?お前らが誰のことなのか、少なくとも私は知りません。……片割れは知っていたのかもしれませんが。」


「片割れ……?……そうか。お前は、違うのか。」



 呟くようにそう口にしたウラノスさんは私をじっと見る。

 何処か探るような目をしているウラノスさんは、珍しく疑い深くなっているようだった。

 ふむ?割と単純な思考回路をしているウラノスさんにしては珍しいですね?

 そう思っていたのは私だけではなかったらしく、イアさんも不思議そうに問いかけていた。



「随分と神経質。何か気になることでもあった?」


「……ガイアが言うなら、そうなんだろう。

 ただ、気になることがあってだな……。」



 どうも口の重いウラノスさんに話を聞くと、どうも私たちが来る前にエロスさんがやって来て勧誘していったようだ。

 曰く、『僕たちと一緒に来ないかい?今、楽しいことをしているんだけど。』

 ……うん。怪しいですね。



「アイツに誘われて良かったことなんて1回もないからな。すぐに帰れって言ってやったが。」


「正解。いい子。」


「む……あ、ああ!私はいい子だろう?」



 よしよしと頭を撫でられているウラノスさんは大きくなってもやはりそのままで、嬉しそうに頭をイアさんの手に押し付けるようにしていた。そして、一通り撫でられて満足したのかイアさんの撫でている手を取って微笑み、「せっかく会えたのだからずっと一緒に居たい」と……あれ?まさかそっちの方が成長したんですか?ウラノスさん?

 何故か目の前でイチャイチャし始めたウラノスさんに引き、ロノさんを見る。ロノさんは2人を白けた目で見つめていた。

 あ。これが通常なんですね。理解しました。


 そうして暫く2人(主にウラノスさん)が満足いくまでイチャイチャするのを横目で見つつ、テルさんとロノさんとカンタの3人と1匹でおしゃべりしたのだった。

 それにしたって1時間は長すぎると思うのですが……途中からイアさんの目が死んでましたしね。

 尚、イアさんの愛称呼びがバレた結果、ウラノスさんのノスさん呼びとガイアさんをウラノスさんも愛称で呼ぶことが決まった。



「ギア。」

「……何。」

「呼んだだけだ。」

「そう……ユーラ。」

「えっ。」

「ユーラ。貴方のこと。」

「!?」



 そういえば、いつの間にかノスさんの一人称が私に変わってるんですけど……聞ける雰囲気じゃないですねぇ。



 □■□■□■□■



「さて。こうして神様方が4人集まった訳ですし、そろそろあちらの方も対処しに行きませんか?」



 話を切り出したのは大地の街にある適当に入ったカフェでのこと。個室ありという文字にひかれて入ったが、案外当たりだったらしい。店内は居心地のいいクラシックが流れ、ダークブラウンの家具が品良く配置された落ち着いた雰囲気の店だった。

 それぞれが頼んだものが届いてから話を切り出す。ノスさんとイアさんは相変わらずイチャつき、テルさんは届いた巨大なカツサンドに目を奪われて話を聞いている様子はない。唯一真面目に聞いてくれているのはロノさんくらいだ。尚、カンタは初めからお菓子に夢中だが、そちらは想定内だから問題なしだ。



「確かに。時間を考えるなら、そろそろ向かうべきだろうな。」


「そうですよね!」


「ただ、ひとつ聞いておきたい。」


「はい?なんでしょう?」



 出鼻をくじかれた私は首を傾げてロノさんの方を見る。ロノさんは額にある目でジッと私を見ていた。

 この状況で聞いておきたいことって何でしょうか?意気込みとか聞かれても困るんですが。

 頭の中をクエスチョンマークで一杯にさせていると、ロノさんはややして首を振った。



「いや、やめておこう。」


「え。えぇー!?気になるじゃないですか!何か言ってくださいよぉっ!」


「ああ。すまない。しかし、今聞くと迷いに繋がりそうだからな。」



 それは確かに困るとそれ以上問い詰めることはやめる。もしも話が空に関する事だと言うのなら、間違いなく迷うだろう。そして、その結論が出なければ……私は、空の前に立つことも、神様にもう一度会うことも出来ない。そんな気がするのだ。



「とにかく、次の目的地は愛情の街でいいですね?」


「ええ。その前にエレ坊に会って行くといい。この街とその街の間。事前に確認はしてる。」


「エレ坊?」



 今まで2人で食べさせ合いっこをしていたイアさんがノスさんにフルーツタルトを口元へ運びながら言う。

 ノスさんはこちらの話に興味がないのかひたすら運ばれるケーキを黙々と食べていた。まるで親鳥から小鳥への給餌だ。幸せそうで何よりだが、こちらとしてはせめて何をするかくらい把握していて欲しいところ。……まあ、ノスさんですしねぇ。

 そこまで求めるのも酷かと早々に諦めてイアさんの話を聞くことにした。

 ところが、疑問に対する返答は端的だった。



「いい子。」


「根暗なやつだ。」


「……まあ、基本的に人間に友好的ではないな。

 それに、奴は我らが父を好ましいとは思っていない。やめておいた方がいい。」


「もっきゅもっきゅ……んぐ?…ゴックン。

 ふむ。そうだな……一言で表すなら甘ったれだな!いっつも翁の後ろに引っ付いている!」


「想像以上に評価が酷いですね!?」



 競うように一人一人がエレ坊さんの人物像について語る。まとめるといい子で根暗で人に友好的ではなくて甘ったれ……何より、神様を好きじゃない!?

 いえ、まあ、人によって好き嫌いはありますし?別に人類全員に好かれてないとヤダっていうよりはむしろ私だけに好かれて欲しいから寧ろ全然い……冗談ですけどね!

 それよりも、神様を好きじゃない方がいるという事実が驚きだったのだ。自分の創造主を好まない人はよっぽどの理由でもなければ居ないだろう。



「……確かに。それに、神殿に向かっても居ない可能性が高かった。うっかり。」


「ギアは愛情深いからな。いつでも歓迎されると思ってしまうのは仕方あるまい。」


「相手の立場になって考える。私たちの苦手分野。」



 何やら再び2人の世界を構築し始めたイアさんとノスさんは放置し、カンタとじゃれ合うことにした。

 え?行った後の作戦?……多分、なるようにしかならないので。


 こうして行き当たりばったりのまま、私たちは愛情の街へと向かうのだった。



 ■□■□■□■□



「へぇ。姉さん達、そろそろ来るつもりなんだ。」



 呟きながら眼下を見る。影たちは順調に世界を覆い始めている……とは言い難いものの、それなりに広がりつつはあった。

 ただ、想定よりも遅いだけで。理由はこれまた想定外の存在が居たせい、だが。



「まさか、皆のお母さんがやって来るなんて分かるわけないじゃん。」



 やれやれ悪役もやってられないねと呟き、特にこちらとの戦いが激しい場所を見る。

 そこは巨大な岩の盾が山となり、重なっていた。理由は見ていれば分かる。影が侵食しようものなら上からどんどん大岩が降ってくる。そして、まるで岩が合わさるかのように影を潰すのだ。

 つまり、あの大岩が積まれている地帯からの侵攻は不可能だ。



「本当、嫌になるなぁ。」

次回、いざ、戦場へ


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ウラノス君からウラノスさんに成長……なかみはむしろ悪化していた。離れていたから寂しかったんだね(≧▽≦) ウラノスさんの意味深な発言。我慢できてエライデスネ♪ [気になる点] エレ坊?エ…
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