表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

650字短編

シンデレラ(テーマ・怒り)

作者:

 城の窓から三日月が嘲笑っていた。ホールで演奏されている曲が空腹の体にのし掛かり、招待客の話し声が耳につく。


 舞踏会があるっていうから、魔法使いのお婆さんを脅し……いや、お願いしてドレスを出してもらったのに、なにさ、これ。

 ただ踊るだけ? 何が楽しくて回ってるの? 料理の一つもないなんて、最悪。


 あぁ……シャンデリアが飴に見えてきた。あ、あの大理石の柱はマーブルチョコね。

 あら、よく見れば豚が踊ってるわ。あれを丸焼きにしたら……いけない、よだれが。


 ハンカチで口元を拭っていると、豚が腹を揺らしながらやってきた。


「お嬢さん、よければ一曲……」


 そこで十二時を知らせる鐘が鳴る。


「ヤバッ!?」


「お嬢さん!」


 後ろで豚が何か叫んでいるが、こっちはそれどころではない。無理やり魔法を使わせたせいか、十二時を過ぎたら魔法が解けるのだ。それにしても、このガラスの靴は走りにくい。

 舌打ちをしていたら、ガラスの靴が片方が脱げた。一瞬、足を止めかけたが、走り続けた。


 ご飯がない以上、城に用はない。


 城から抜け出した時には、いつもの貧相な服に戻っていた。だが、なぜか靴はガラスのままだ。

 それまで歩きにくい憎たらしいだけだったガラスの靴が、初めて輝いて見えた。


「ラッキー」


 街灯は明るく私が行くべき道を指し示している。

 私は導かれるまま、リサイクルショップへガラスの靴を持っていき、手にいれた金で赤い暖簾をくぐった。


 深夜に食べるラーメンは最高だ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] シンデレラの言動にすごい納得感があり、オチでクスリと笑えました。面白かったです!
[良い点] オチが最高です!٩( 'ω' )و [一言] シンデレラという舞台設定と、深夜ラーメンの現代感のギャップがイイなと思いました。 お腹すいてきました(・ω・`)
[良い点] 短い文字数の中で物語を書き上げているのが凄いですね。 最後の突き抜けた感じが面白くて好きです。 [一言] 私は短くまとめるのが苦手なので、羨ましいです。 自分でもちょっと挑戦してみたくなり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ