トラウマとの再会
眼前には街並みが広がっていた。
そこに行き交う異形の者たち、
間違いないここは魔都だ。
一度来たことがあるため覚えいる。
だが以前と違う、
街並みを眺めているその視点は空にあった。
行動数千メートルからの俯瞰風景。
世界から外れてしまったかのような感覚 。
もう何度目だろうか……。
「…また、か……」
ある日、ストーカーに追われていた私。
逃げ惑いながら建設中のビルの横を通り過ぎようとした。
その際降って来た鉄骨に潰されて
私の前世での人生は幕を閉じた。
その後何故か前世での記憶を持ったまま
転生して来た私。
転生して来たこの世界で私に宿った能力。
[[第三の目]]
その能力は大きく分けて2つ。
[魂の識別]
接触した者の魂の色が見えるようになる。
接触の際魂に干渉して、
その者の記憶などを読み取れる。
[未来測定]
起きうる未来の可能性を見せてくれる。
かなり強力な能力だが、
自分の意思で見たい未来も決めれないし、
大規模な儀式が必要な穴だらけの能力だ。
そしてこの感覚間違い、
今見えている世界は未来なのだろう。
魔都を眺めていると、
なにやら城にて祭典が開かれていた。
「…なん、だろ…」
城の中から民衆に手を振る2人の人物。
2人の者に意識を集中して視点を近づけると、
そこには見慣れた顔が2つ。
「そんな…バカな…」
片方は男性。
肩の上まである黒髪に、顔には不吉な仮面。
豪華な宝石の散りばめられた、ローブを着ていた。
背丈は170後半と言ったところだだろうか。
もう片方は女性。
色白の肌にダークブロンドの髪が、
腰のあたりまで伸びている。
こちらも豪華な純白のドレスを着ていた。
そしてその女性は見慣れた顔をしていた。
間違いない、
背丈が伸びてはいるがあれは…
私だ
私将来魔都で暮らすの?まじか…
でもそれ以上に問題なのが……。
恐らく並んでいる事から、婚約者と思われる男性。
その男性の魂の色を見るが間違いない。
あれは前世での私のクラスメイトであり、
そしてストーカーだった男だ。
前世で接触していたため魂の色が見えたのだろう。
「…あり、えない…」
まさかあの男ももこの世界に来ているとは…。
それもあの感じからして魔王?
あの根暗の変態が世界の頂点の一角だと?
そんなの世界の危機じゃないか!
間違いなく世の女性達は不幸になる。
根暗の変態が異世界に転生して、
魔王になり前世の思い人とくっつく…。
何の冗談だ、どこの主人公だよまったく。
……吐き気がする……
だがあくまで現状のままだと起きる、
未来の可能性に過ぎない。
あの変態の本性を知っているのは私だけ、
私がなんとかするしかないない。
よし決めた。
「私の未来変えるついで、
世界救ってくるか。」