第6幕 町 ③
今回は、ただの試験回です。
冒険者とは、その人間の身分であり、免許のようなものなのである。
冒険者になると様々な利点がある。
例を上げていこう。
・ああいう風に貴族たちから正式な依頼を受けられる
・冒険者割引等がある。
・冒険者には階級があり、5級から3段まで、8段階の強さの階級がある。なので、上の方へ
登れば登るほど名声があがり、初段ぐらいになると、宿屋や商店で優遇されることもしばしば。
補足
冒険者同士で組合を作り、その中の人同士で3〜4人のパーティーを組んでで行動するのが基本。
冒険者検定試験はパーティーで受けることも可能なので、大体は「パーティーで○級」か「パーティーで○段」の扱いらしい。
しかし、俺はソロで今回の試験を受ける。冒険者の試験は記述60点の実技70点、合計130点だ。その中で8割、つまり104点取れば合格らしい。
試験は毎日行っていて、希望すればいつでもできるのだ。
なので、俺は3級まで一気に受けることにした。順序としては、
5級筆記→4級筆記→3級筆記→5級実技→4級実技→3級実技
の順だ。
筆記は余裕。フェリアさんが全て解いてくれるのだ。( ̄ー ̄)ドヤァ
次は実技。全て魔物とも実戦形式らしい。大きく深呼吸をし、スタジアムに入る。思っていた以上の熱気だ。
スタジアムは半径100mの円形なのだが、その半分は客席なのだ。もう半分は、試験官の席である。そこで採点や魔物の準備をするのだろう。
客席からは「ふん、あいつが新しく叩きのめされに来た雑魚か。」とか、「普通パーティーでやんのに、最初っからソロは無理だろw」とか、「俺達ですら、二人で3級止まりだもんな」「ああ。普通に秒殺だと思うぜw」とか。いかにも脳筋なマッチョ共が、好き放題言っちゃってくれている。
今は無視しておこう。
「相手の魔物を再起不能にしたまでの時間で点数を決めるものとする。」
「では、開始!」
5級の試験開始の合図と共に試験官がカードを取り出した。
「召喚、爪鳥!」そう叫びカードを掲げると、足に目立つ爪のある緑の鳥が現れた。
なるほど、こいつを倒すんだな。
サイクロプスの方がいい動きをしている。
爪が重く、低空飛行しかしていないので剣で一閃。面を叩き込むだけで倒せたのだ。
指定された木刀で戦っているので、殺すまでにはいかなかった。回復薬を振りかけた後、「封印、爪鳥」と詠唱すると、カードの中に吸い込まれていった。便利なカードだ。僕もほしい。
次に4級。
開始の合図で、今度は弱土魂の群れが出てきた。少し硬い気もするが、一体一体は一撃、本気で切らなくとも倒せるが数が多いが、1分ほど立つと復活してしまうらしい(フェリア先生による)。
なので、8体の弱土塊を上手く分断し、一体ずつ切っていく。此処もそこまでの難易度ではなかった。
影で脳筋マッチョ共が騒いでいる。「え?強くね?」とか「い、いやコレぐらいはできないとな(震え声)」とか。
正直、コレを倒してもそこまで自慢にならないので止めて欲しい。
3級。今回受ける最後の試験だ。
開始と同時に出現したのは、火人獣だ。魔法を使い、所々に火がついた状態で戦っている。炎の球を左に跳んで避け、着地した所に飛んでくる炎の球はフェリアさんの水魔法【水砲台】で相殺する。
魔力がそこまで多くないので、威力を減らしてギリギリ威力を相殺できる程度に抑えているが、それでもあと数回が限度。なので、こうして僕の華麗な回避を見せつけつつ間合いを詰めているのだ。
そして、面を打つ。決まった。なんだ、楽勝じゃねえか...
カァン!
何...!?
剣と剣のぶつかり合う音。俺が全力で打った1撃を、火獣人は防いで見せたのだ。
しかし、相手にも余裕がなさそうだ。剣の小競り合いが続く。コレでは決着がつかない。諦めるか...
そんなことを考えていると、急に魔力が減少するのを感じた。
[全く仕方ないやつなんだから。身体強化ぐらいは、戦闘の基本でしょう。]
フェリアさんは呆れたようにそう呟く。俺に魔法をかけてくれたようである。
その魔法は、【身体強化】である。体が強化された俺が押し負けるはずもなく、剣を振り切り胴に一撃。そして、火獣人はその場に倒れ込んだ。
と、言うことで余裕...でもないけど勝利できた。
退場際にマッチョ共をちらっと見てみると、青ざめた顔をしながらこっちを見ていたのである。
知らんよ、そんなこと。勝手に暴言を吐いていたあいつらが悪いのである。
後で俺がどれだけ罵っても文句は言えないわけだ。まあ、そんなことには興味がないわけだが...
今週の暇つぶしゲー↓
http://www.game-tm.com/race/uphill-rush-5.html