第六話 お買い物、そして
次の日の朝、普段と同じ布団、でも普段とは違う部屋で目が覚めて、自分が新生活を始めたのだと改めて実感する。
今は何時だろうか。
私は枕元の携帯電話を確認した。
9時30分
昨日は随分と夜更かしをしてしまった所為か、起きるのも遅くなってしまっていた。
私は隣でまだ気持ちよさそうに眠っている友人を確認する。
掛け布団が少しずれてしまっている。
結局手を繋いだまま眠ってしまったが、いつの間にかその手は離れていたようだ。
私は幸せな暖かさの残る布団から出る。いつもこの瞬間が名残惜しく感じる。
朝食は、何があっただろう。昨日買っておいたトーストで良いだろうか。
凛音ちゃんを起こさないように気をつけながら布団を簡単に、畳んでおく。
今日も、新しい一日が始まる。
「今日はどうしよっか」
パジャマ姿で私が用意した朝食を食べながら、凛音ちゃんはそう尋ねてきた。
ダイニングテーブルの上には、トーストとイチゴのジャム、それとバターが置いてある。
「学校が始まるのっていつからだっけ?」
「あと大体2週間ぐらいだったはず」
あと2週間。学校が始まるまでに準備したほうが良い物はまだまだ沢山あった。
今日は2人で、昨日買い物したのと同じショッピングセンターに行くことにした。
生活雑貨などを購入しながら、2人でショッピングを楽しんでいると、不意に凛音ちゃんの携帯電話が着信を知らせてきた。
「ごめん、ちょっとこれ持ってて」
凛音ちゃんが私に買い物袋を渡してくる。
受け取った袋は非常に小さくて軽い。
あれでもない、これでもないとあちこち見て回っていたが、結局買ったものは少なかった。
受け取ってから2、3分ほどして、私から離れて通話していた彼女が戻ってきた。
「ごめん…………。ちょっと断れない用事が入っちゃった……」
凛音ちゃんはすごく申し訳なさそうにそう言った。
「それで……」
「大丈夫。先に帰って待ってるね」
凛音ちゃんが話すより早く、私は笑ってそう答えた。
それを聞いた凛音ちゃんはさらに申し訳なさそうな顔になる。
そんな顔しなくても、大丈夫なのに。
彼女はぱっと、私の空いている手を取って握り締めてきた。
「すぐ帰るから」
私の目をまっすぐ見つめた彼女は、名残惜しそうに手を離すと、出口に向かって走っていった。
走ると危ないよ。そう伝える間も無く、彼女の姿は見えなくなってしまった。
買い物が途中だったけれども、一先ず今日は帰るしかない。
時間はまだ沢山ある。
これから一緒に過ごす幸せな時間は、まだまだこれからなのだから。
この時は、そう思っていた。
書いていた分量が、どうしても一話分としては長すぎるので、きりの良い所で一旦投稿




