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第5話

起きると朝日はまだ昇っていなかった。しかし、体が重い。重力がこんなに重いとは思わなかった。しかし、よく寝た。

下に行くと何やら準備をしていた。家主は僕に言った。

「ビューガットアップ。」

 ジェスチャーがないから僕は理解できなかった。そのあと溜息をついて家主はそこらにあったフライパンのようなもので大きな音を出した。

「ガットアップ!ガラップ!」

 そうすると家主の子供は起きてきた。僕はみんなを起こしに行った。一応、家主の許可を得てフライパンを貸してもらった。

かんかんかん!

「起きろ!朝です!」

 リバーとファーは目をこすらせて起きてくれた。メダーとアタムはぐずってなかなか起きようとしなかった。

「メダーもアタムも起きろ!」

「もうちょっとっだけ…」

「今は子供のわがままを言うんじゃない!」

 そういうとしぶしぶ起きてくれた。リバーとファー先に下に行って家主からジェスチャーでこの後何をするのかを説明された。鍬を振る真似をしていたから昨日の続きをするのだとわかった。メダーとアタムは下に行くまで眠そうにしていたが、家主の子を見ると目が覚まして生き生きとした。

準備を済ませると僕らは家を出た。東の空からかすかに光が差し込んでいた。朝日がこんなにきれいなものだと知らなかった。それに涙しているとメダーにからかわれた。

「一!遅いよ!」

「すぐ行くよ。」

 しかし、リバーはまだ心ここに非ずの状態だった。リバーはこの生活に確かになじんでいなかった。ファーは次第に少しずつだけどこの生活に慣れそうな予感がした。

「一さん。早くいきましょ。」

「メダーもアタムもなんでせかすんだよ。」

「私はせかしていませんよ。でも、ここの人早くしないといけないらしいです。」

「どうして?わかりませんが、もしかしたら時間が決まっているのかも。」

「時間が?」

 労働にそんな基準があるのか僕か疑問に思った。船の中では昼夜問わず自由な時間に働けた。確かに調整はしていたが、基本的に一日7時間働けばいい。もっというとノルマさえ達成すればいい。ここではそういった概念はないように思えた。

 僕は歩きながらアタムに聞いた。

「どうして、そんなことがわかったんだ。アタム。」

「どうしてと言われましても…しいて言えば直感ですかね。」

「直感か…」

「一さんはわからないの?」

「…ごめん。わからない。」

「人の目とか見てます?」

「目?」

「あの人たち、朝のこの時間目が真剣なんです。だから、この時間に特別な思いを寄せてるのかなって。」

「そんなことって…」

「今までなかったとしてもそうなんです。」

 農場につくとさっそく作業を始めた。昨日と同じ失敗をしないために僕は石や木に気を付けつつ作業に取り掛かった。こう見ていくとこんなに荒れ果てた地を開墾して農場にしようとすることがうそのように思えてくる。どうして彼らは僕らが降りたあの広い牧草地帯を整地しないのだろう。はるかに楽だろうし、こんな手間暇かけたやり方をせずともいいのではないか?

 そんなことを考えたのは初めの数分だけであとは無我夢中で畑を耕した。終わると手は豆だらけだった。血はでなくともそこを触ると少しだけ固くなっていた。楽しいとは思えなかったが達成感みたいなのはあった。周りを見てみるともう日が昇っていた。僕は精一杯やったのだ。

みんな見てみるとメダーとアタムは疲れ切っていた。ファーーも同様にだ。リバーもこればかりは堪えたのか疲れた様子だった。

 僕はファーに話しかけた。

「お疲れ、ファー。」

「お疲れ。わたしもう立てないわ。負ぶって。」

「ふざけないでよ。こっちだって疲れてるんだ。」

「でも、なんか清々しそうだわ。私くらい負ぶってもまだ体力余るんじゃない?」

「いつからそんな性格になったんだ?」

「冗談よ。何もそこまで求めるほど私、バカじゃないわ。」

「どうだか。」

「本当よ。でも、手くらいは貸してもらいたいわ。」

「お安い御用。」

 僕は手をさしのばした。ファーは重い腰をいっきに挙げた。

「ありがとう。」

「どうも。」

「女には優しいんだな。」

 リバーは座ってそんな軽口をたたいてきた。

「そうじゃないさ。でも、レディーファーストってあるだろ。」

「こんなど田舎でレディーも何もないだろ。」

「そんなこと言えるようになったらもう昨日のようなことはとうとう言えなくなるな。」

「悩みの種がなくなったって。」

「そういうこと。」

「ちっ」

 舌打ちをして鍬を支えにリバーは立った。そして、僕に耳打ちで

「昨日の話の続き、まだ終わってないからな。」と言ってきた。

 僕は悪寒がした。しかし、もしかしたら僕らの敵はあの近代兵器軍団だというとこは作業をしながら感じられた。あいつら自分の技術を僕らに押し付けてくる。

「でも、アタムとファーを巻き込まなくとも。」

「どうしたんです?」アタムが急に話しかけてきた。

「…この後、話がある。みんなも集めるからお前も来い。」

「わかりました。」

 僕はそのあと帰りの中でみんなに来ることを言った。しかし、こうでもしなければ僕らは船の連中に飲み込まれてしまうのか?飲み込まれてしまっては僕らはまた官僚主義者に飲み込まれてしまうのか。

帰ってからすぐに朝食をとった。朝は昨日のご飯にお湯を入れただけのおちゃずけだった。啜ってみるが味がしない。だが、そこで荘厳な空気が漂っていた。僕らは静かに啜った。

朝食を済ませてみんな自室に戻った。そして、僕は重い口を開けた。

「今日はリバーから話がある。」

「話っていうのは、あの船から種子をどうやって盗むかを話し合うためだ。」

「…どうして?」

 ファーは驚いた様子だった。

「驚くのも無理はない。あそこから半ば逃げた形だったからな。だが、あいつらが持っている種子は少なくとも自然発生した植物よりも収穫量がある。そんなものを流通させられたらどうなる?」

「どうなるって…バカな私でもわかるけど、帰ったら殺されるかもしれないのよ。」

「子供なら、殺されないだろ?」

 僕もファーも凍った。アタムは理解してるようだった。しかし、メダーはまだ何も状況を理解できていない様子だった。僕は深刻に言った。

「お前、本当に正気か?」

「正気さ。」

「そんな危ないことをさせても?メダーとアタムを危険にさらしてもか!」

「だれが、メダーかアタムにやらせるって言った?」

「なに?」

「送るのは、ここの家主の子だよ。」

 僕はリバーが正気とは思えないかった。種をほしさにここの子を使って盗みを働かせるだなんて。

「どうしてそんなこと言うんです?ここの人は私たちをひいろってくれたんですよ。それに友達にそんなこと…」

「それはそれ。僕たちはね、あそこから逃げてきたんだ。その前に僕らはここの経済に何らかの形で適応しなければならない。」

「でも、もしかしたらここだけ文化が発達しているかもしれないぞ。」

 僕は冷静に言った。それに冷静にリバーは答える。

「そんなわけないだろ。こんな建造物を誰か一つの文化、しかもこのとても小さい文化圏だけで発達するわけないだろ。」

「でも、まだ船の人たちってここの人と接触してないんじゃないの?」

「そうかもしれんがな、知らない民族と触れればあいつら、侵略をしてくるんじゃないの?」

「そんな…」

 僕らはそんなことを言って、どうするかは分からないでいた。現地の種子が僕らの種子以上の繁殖力を持っているとも限らない。そう考えれば僕らがここで優位な地位を持つには工業産業を起こすしかない。僕は元技術者だから船の技術を盗んでここで起こすのたやすいものだ。だが、そうすると僕らがここに来た意味がなくなる。

「…工業を興すか…」

 僕はそうつぶやいた。そうするとファーとリバーは一層表情に影を落とした。こういうことを言うのは無理なのはわかっている。機械を作ると、様々な技術が必要になる。無理なのはわかっている。しかし、ここで必要なことはそんなことではなかった。

僕らはここに来た大義名分は否定できないでいた。ここにきてもここに来た理由は必要だった。しかし、僕らはそれを興した人々がここに来てもその官僚主義者たちは変わろうとしなかった。しかし、僕らは今そういういこと以上に残酷なことをしようとしている。

「…ここの人たちにあの船のことを言ったらどうかな?」

「何言ってるんだよ!一!。」

「いうだけなら問題ないだろ。」

「お前こそ正気か!」

「それを踏まえたうえでここの人々に会わないように言うんだよ。」

「ばかな!」

「だってそうだろ。俺たちがそんなこと言ったってここの人たちはあの技術に興味を持つだろう?」

「また、壊すようなまねをするとしたら。」

「わからないよ。」

「だったら。」

「それでもだ。アタムやメダーには関係ない。」

 僕は断固としてアタムとメダー、それに子供を大人の事情に加わらせるのを反対した。リバーは今後の政治のことしか考えてなく、ファーはただ呆然としているだけだった。アタムは何も言えない状態でいた。

「…すまない。アタムとメダーとファーは出てってくれ。」

「これで俺とお前だけになった。」

ネタは切れないが書いていて頭が痛くなってきた

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