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第二話

前からの続きです。

 それから日が沈むまで時間が過ぎていたことを気づかなかった。メダーは教会の学校の生徒と一緒に遊んでいて、僕はというとそこにいる大人たちと話を続けていた。時計を見るともう6時を過ぎていた。地球とほぼ同じ軌道で動いているここは時間感覚的には少し狂う程度でそれほど違和感なく過ごせるところだ。

「おいメダー!もう6時だ!」

「まだ遊んでいたい!」

「ばか!火事だって行ってきたんだぞ!もしかしたら別のところに移動しているかもしれない!」

 僕はメダーの手をつかんで急いで帰った。振り向くとそこにいた人たちは驚いた様子もなく、のんきに手を振ってくれたのが見えた。

「一!別に戻んなくてもいいんじゃないの?」

「なんで!」

「あそこでも十分暮らしていけるじゃん!」

「リバーもファーもアタムもいるんだ!僕たちだけで行けるわけないだろ!」

「そうだけど…でも、一も楽しかっただろ。」

「それとこれとは別だ。」

 僕は必死に森を抜けた。もしかしたらあたりに肉食動物がいるかもしれない。それでメダーが食われたりしたら僕の責任になる。みんなに会えなくなる。それに僕自身も食われることになったら何のために宇宙を漂流することになるだろうか!息を切らすメダーを無理やり走らせて僕はこの森を駆け抜けた。

 幸運なことに、あの村から宇宙船まで近いところに位置していた。帰ると部隊長から呼び出しを食らった。

「君はどこにっていた若杉一。」

「は。メダーを追って森奥に入り、何もせず森を抜けました。」

「どうしてここまで遅くなった。」

「森の奥深くまで来てしまったので、出てくるのに時間がかかってしまいました。」

「なにか、怪しいものを見つけたか?」

「怪しいものですか?」

「正直に申せ。うそをつけば罰するぞ。」

 僕は内心どうしようかと考えた。部隊長に言えば、その村を拠点にしてそこで産業を発展させてしまうのではないかと。ここに住民がいるということはほかにも民族がいる。そうなれば彼らは無作法に彼らの生活を脅かすであろう。いくら彼らが博識であってもこれは免れることはない。

「いえ、何もありませんでした。」

「本当だな。」

「本当であります。」

 部隊長は大きく息を吐いたあと、僕を外に出した。

僕はすぐにみんなのもとに行った。メダーはまだみんなに村のことは言っていなかった。僕は安心できた。 リバーは僕の肩をたたいて

「大丈夫だったか?」と言った。

「大丈夫だったよ。メダーが急に走り出してな。危なかったよ。」

「気を付けるのよ、メダー」

 ファーはメダーにやさしく言った。メダーは何やら怪訝そうな顔をしていた。

「メダー。もう大丈夫だよ。みんなには話してもいいだろ。」

「でも…」

「そんな心配そうな顔しないで。こいつらだったらばらさないから。」

 メダーと僕以外はみんな不思議そうな顔をしていた。

僕はみんなを宇宙船から少し話したところに呼んだ。僕は今までのことをすべて話した。そこあった村の話。そこでどんな人が住んでいたか。そして、どんな文化を持っているかを。ファーも、アタムもリバーも真剣に聞いてくれた。しかし、僕はリバーに一抹の不安を感じた。産業革命を起こそうとしている人がこの話を聞いて秘密にしてくれるかどうか。彼は友達ではあるが、彼が資本人としての人種の本能を抑えることができるか。

「リバー、ちょっといいか?」

「なんだ。」

「お前って、産業革命を起こしたんだよな。」

「そうだ。」

「この話を聞いてさ、あいつらを労働力をして考えているか?」

「…今は違う。」

「これから先は?」

「時代が変われば、そうするつもりだ。」

「そうか…」

「でも、信用は大切にするぜ。」

「リバー…」

「みんなにも改めて言っておく。これは誰にも言うんじゃないぞ。少なくとも彼らが僕らに直接会うことになるまではだ。さっき噂でここの木を切って開墾するみたいなんだ。あれだけ木を伐りまくった人たちがおとなしくただ木こりをすると思うか?あとすこしだけ待つんだ。」

「リバー。ものは相談なんだけどさ。明日、その村に一緒に行ってはもらえないか?もちろんみんなも。」

「どうして?」

「確認もあるんだが、彼らがどんな文化を持っているかが気になるんだよ。もし、僕らが彼らの文化を知ることができれば、彼らにあった経済ができる。そうなれば、経済は緩やかに発展する。」

「どうして緩やかにやるんです?」

 アタムは僕に質問をぶつけた。それにリバーが答える。

「木もそうなんだが、緩やかに発達していけば簡単に崩れることはないんだよ。年輪経営って言って、今の失敗できなくて、かつ隠密にことを進めたければこうするしかないんだよ。」

「ねえ、待ってよ。それってもしかして、最悪の場合、その村に定住するっていうこと?」

 ファーは核心をつく質問をしてきた。僕は誠意を持って答えた。

「そうだよ。ファー。君は不満かい?」

「いいえ。ここは酒臭い連中ばかりで、すぐ私のお尻を触ってくる。それだったらシスターやってるほうがよっぽど健全だわ。」

「決まりだな。」

「だな。」

「はい。」

「うん。」

「またあの子たちと遊べるの?」

「そうだぞ。その代わりちゃんと働いてもらうからな。」

「うん!」

 僕らは静かに朝を待った。僕はというとひたすら持っていく本を選んでいた。

「老子も必要だし、とりあえず古典は全部持っていくか。」

 僕は今後のことを考えて勉強の上で何が必要かを考えた。情報機器がこれからすべてなくなるとなるとどれが必要かが重要になってゆく。いくら、歴史のことを頭に叩き込んでいたとしても、詳細なものがなければ意味がない。老子、孫子、大学。それから資本論や知性についてなど、東洋西洋かかわらず、良書を集めなくてはここにいる科学者には勝てない。

「どうせなら、偉人大図鑑みたいなの作ってくれればよかったのに。そうすれば困難なことがあった時に便利なんだろうにな。」

 そう考えると、世界の偉人をすべて持っていけないのは残念だ。時代を切り開いた人なら、この世界でも何かしらヒントを与えてくれるだろうに。

ドアからノックの音がした。

「誰です?」

「ファーよ。」

「入って。」

 僕は扉を開けてファーを迎入れた。

「どうしたんだ?」

「ねえ、あの村の話って本当だよね?」

「本当だ。メダーも言っていただろ。」

「私さ、不安なのよね。一がうそをついて別のところで農地を開いてみんなと差をつけようとしているんじゃないかって。」

「まさか。もしそうなら、もっと大勢の人にうそをつく。それに僕はそれほど野心家じゃないよ。」

「それじゃあ、なんでそんなところに行こうとしてるの?ここにいれば最低限の生活は保障されるのに!」

「ここじゃあ、みんな病気になってしまうかもしれいからだよ。」

「私たちが病気?」

「そう。自然から離されて生きてきたから、僕たちの生活がきれいになりすぎたんだよ。」

「どういうこと。私にわかるように説明して。」

「つまりな。本当は自然にかかわって生きていかなきゃいけない僕らがその自然と切り離されて生きていることが問題だって言ってるんだよ。あの時、あの教会の人たちは僕らを警戒しなかった。食事もうまかった。話も通じた。そうしていくとさ、ここでは味わえない楽しさがあるんじゃないのかって思えてきちゃったんだよ。」

「楽しさね。私にはわからないわ。私は生活ができればいい。」

「それじゃあ、何で僕らについてくるの?ここでも生活はできる。」

「昔の好ってやつよ。ここにきてまたあなたたちみたいな関係を築くのは面倒だわ。」

「僕らのことが好きっていうこと?」

「そういうこと。でもいいの、ここで話していても。」

「大丈夫だよ。僕は元機械工だ。ここの映像はエンドレスで本を読んだり寝ていたりする生活をしていることになっている。」

「そう。だったら盗聴されないわね。」

 それじゃあ、と言ってファーは出ていった。なんで僕らはここではない別のところで住むことを決めたのか。それを理論づけて考えることは無理だった。直感は時として起死回生につながる可能性はあるが、少なくとも今のこの生物的に最悪な生活環境から脱出するためにはあの文化圏とかかわることが必要になってくる。僕らの生活はそんな考えで生きているのだといたら僕らの今までの出来事は原始的な営みに反逆をすることは無理なのだろう。

朝の4時僕らは朝日がちょうど森に差し込む時間を狙って出発した。電気による光に別れを言って、まだ暗い森の中に入っていった。

 入ると静けさが僕らの体にまとわりついた。船の中では常に電気信号音や話声どこかで響いていたから本当の意味での静けさは感じられなかった。しかし、ここでは騒音は全くなくどこから何が襲いかかってくるかわからなかった。一応みんな携帯銃は持っていたのだが、姿が見えなくては話にならなかった。僕も含めてみんな息をひそめてこの森を歩いた。

 少しすると朝日が昇り、動物の鳴き声とかが聞こえてきた。船から遠く離れていき、もう姿は見えなくなった。僕らは現代文明から切り離してしまった。

「遠くなったな。」とリバーは悟ったように言った。「

「そうだな。戻れると思うか?」

「無理だな。戻ったら死刑になるかもしれない。」

「よかったのか?産業革命は起こせなくなったぞ。」

「ばかいえ、市場を整地さえできればいくらだってチャンスはある。それに歴史上でこんなことをしたのは俺たちが最初だ。」

 アタムもファーもどこか清々しそうな顔をしていた。彼女らもまたあの船での歯車であることに嫌気がさしていたのだと思いたい。

「行くぞ。もしたら追手が来るかもしれない。」

「追ってきたらまずいですよ。」

「わかってるよ。」

 一時間くらい歩くとあの教会の煙突が見えた。僕は希望が具現化したように思えた。

「もうすぐだ。」

「もうすぐなのね。」

「まだ不安?ファー。」

「そうでもないわ。今はね。」

「それが続けるように頑張れ。」

資料のために二宮尊徳の本読みました。面白かったです。

歴史上でも、現実世界でも努力した人が記憶に残ることを改めて実感しました。

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