第五話
最初に見えたのは真っ白で清潔そうな天井だった
薬の独特な匂いがしたから医務室かな?
どうやら俺は気絶してたみたいだな
視線を横にずらすと、クロードとミルキィがベットに寄りかかるように寝ていた
「ちゃんとベットで寝なきゃ駄目じゃないか」
その辺にあったシーツをクロードとミルキィにかけて、窓の外を見る・・・真っ暗だ
結構な時間寝てたんだな
く~~
腹が減ったな
2人を起こさないようにベットから抜け出して医務室を出た
「あらあら~♪」
瞬間におっとりとした金髪の女性に出会った
「あなたがカムイ君?」
彼女は何で俺の名を?
「ええ、そうですけど・・・あなたは?」
「そう言えば名乗って無かったわね♪あなたの事は妹から聞いてたから♪」
俺を知っているのは妹から聞いて知ったのは解ったけど・・・あんたは誰だよ!
「俺はあなたを知らないんですけど?」
ちょっとイラッとしてきたな
「ごめんね~♪」
右手を頬に当てながら謝る
天然なのか!
「私の名前はカーラ・アルテミアよ」
アルテミア?妹?
マリア・アルテミアの姉か!第一王女か!!
マリアの髪は空色だし、母親の王妃も水色だから全然気が付かなかった!
そう言えば、陛下は金髪だったけ!
カーラは父親似で、マリアは母親似か!
正確は真逆にだと思うけどね
「女性の顔をマジマジと見つめちゃ駄目よ♪」
カーラに鼻をチョンと触られて始めて気が付いた
かなり至近距離で見つめていたみたいだ///
「赤くなっちゃって♪歳が倍だけど嬉しいわ」
からかわれた!orz
歳が倍って事は十歳かな?
く~~
また腹が鳴った
「あらあら、お腹が空いたのね♪着いて来て♪」
カーラは俺の手を繋いで歩き出した
向かう先は多分厨房だろう・・・こんな時間に料理なんてあるんだろうか?
厨房に移動したら、やっぱり誰も居なかった・・・夜遅いからね
昼から何も食べてないから正直かなり腹が減ってるな
「今準備するから待っててね♪」
今時の姫は料理が出来るのか!
カーラに感心した瞬間
「その席にでも座ってて♪」
コッチを向いて座るように勧めてきた・・・包丁を逆手に持ちながら|||
危ないよ!!絶対にこの人料理なんてやったことが無いだろ!
「ちょっ「待っててね」・・・はい」
今、笑顔がかなり怖かった
逆らったら殺られるorz
「どうぞ♪」
30分待って出てきた物・・・真っ黒い何か
おっとりしてて、年上だと思ってたけど、良く考えたら十歳なんだよね
よく見たら指に怪我をしてるし!
ヤバい!王女を傷物にしちゃった!←結構テンパってます
「料理って始めてですか?」
黒い何かを見ながら聞いてみた
「・・・うん」
悲しそうに俯きながら答えてくれた
「はぁ」
ビクッ
俺が溜め息を吐いた瞬間、肩が震えた
「治癒魔法は出来ないんですか?」
今度は傷がある手を見ながらだ
「・・・うん。私、治癒魔法はあまり得意じゃないの。私の属性は黒色の波動だから(ボソ)」
最後の方は声が小さかった
「治癒魔法って、どんなのありますか?」
「初歩的のが『ヒール』かな」
まだ暗い表情のカーラ
俺は無言でカーラの両手を掴んだ
「・・・え?」
対象を優しく包み込んで癒やす感じかな?
「・・・ヒール!」
ポゥ
両手が軽く光って、直ぐに消えた
両手は綺麗に傷が無くなっていた
「・・・ふぅ」
「凄い!凄いよ!」
俺の両手を持ってハシャぐカーラ
その時のカーラは、年相応で可愛らしかった
「カーラは水の巫女の娘なのに、水魔法が使えないのが悔しいのかな?」
ビクッ!!
今度は先ほどよりも震えた
「わ・・・わた・・・私は・・・」
第一王女で期待されていたのに、属性が水じゃなかったってだけで、いろんな人に拒絶されたんだろうな
「大丈夫だよ」
震えているカーラを優しく抱き締めた
「カ・・・カムイ君?」
「俺はカーラを拒絶しないよ。カーラは水の巫女では無いんだから。カーラはカーラだ。カーラは何にだってなれるんだよ?水の巫女だけしゃないんだよ」
「う、うぅ、うわあぁぁぁぁ!」
カーラは今まで溜めていた物を吐き出すように泣き出した・・・それにしても腹減ったorz
しばらくすると、カーラは泣き疲れたのか寝てしまった・・・動けない!!
結局翌日に朝食の仕込みに来たコックが来るまで、俺はそのままの状態だった
side―陛下―
久しぶりに朝食の時、カーラの笑顔を見た
何か良い事でもあったのだろう
カーラは水の巫女の娘なのに、水魔法が使えないから劣等感を感じていたからな
妻と一緒に和やかにカーラを見ていたら、カーラの背後に黒い何かが蠢いているのがわかった
ガタッ!
「どうしたの?お父様?」
カーラを護ろうと立ち上がったのだが、カーラの背後に居たのはカムイ君だった・・・カーラの影で捕縛されて、気を失っているが
カーラは闇魔法に関しては、ずば抜けて上手いんだよね・・・方向性は可笑しいけど
「カーラ・・・後ろのカムイ君はどうしたのかな?」
「それはですね?・・・
って、事です」
カーラは昨日の事を説明してくれた
多分、コックにカーラを預けたカムイ君は、寝るために医務室に戻ったけどカーラに拉致られたんだろうな・・・可哀想に
side―OFF―
目が覚めたらカーラの膝の上に居た
お人形抱っこだ・・・ちょー恥ずかしい///
陛下は憐れみの目で見てくるし!
王妃はニコニコして何を考えてるのかわからないし!
マリアは睨んでるし!
どうなってるんだ!
「はい、あーん♪」←満面の笑みで料理を差し出すカーラ
「・・・あーん」←混乱して受け入れる俺
ガン!←マリアがナイフをテーブルに叩きつける音
はっ!考え事をしていたから普通にやってしまった!
そして、マジでマリアが怖いしorz
「カーラ?そろそろカムイ君を放してあげないかな?」
「嫌です♪」
陛下が助け舟を出してくれるが、カーラが一刀両断
陛下は苦笑いしか出来てないじゃん!
「カムイ君には、伝言を頼みたいんだよ。カムイ君、あとで三人で訓練所に来てくれないかな?会わせたい人達がいるんだ。二人にも言って来てくれないかな?」
「・・・わかりました」
カーラは名残惜しそうに放してくれた
「では、行ってきます!」
俺は直ぐに駆け出して二人を探しに行った
クロードとミルキィを見付けて朝食を一緒に食べた
ミルキィに起きたら俺が居なかった事で怒られた
クロードは笑っているだけだった
只今、訓練所に移動中~
「陛下が言う会わせたい人達って誰なんだろうね?」
ミルキィが唐突に聞いてきた
「六王じゃね?師匠になる人達だし」
俺は自分の考えを言ってみた
「でも、昨日の今日で早くね?」
クロードの言う事も確かだけど
「三人で来いって事は師匠だろうね」
「そっかなぁ?」クロードは頭の後ろで手を組んだ
「待たせるといけないから早く行こ?」
「おう!」
ミルキィが急かしたので、俺達は駆け足で訓練所に向かった
訓練所には、陛下・マリア・カーラと知らない男一人・女二人が居た
「来たか」
陛下が俺達に気が付いて、コッチに歩いてきた
「紹介しよう。彼はドゥワン・キーパン、戦王だよ」
体格が良くて、肌が茶色男性を紹介された
髪型は肩より少し短いくらいで、ちょび髭だ
「彼女はアルザス・ワラドラ、魔術王だよ」
少し小柄で肌の白い女性がよろよろ前に出た
髪は長髪で黒、ドコか抜け出そうだ
「最後にアルトリア・ペンドラゴン、騎士王だよ」
金髪で凛々しい女性が前に出た
鋼と青の布で出来た鎧を着ている女性だ
うん♪あのアルトリア・ペンドラゴンさんだね・・・アーサー王orz!
「よろしくな♪」
「・・・(ひらひら)」
「ビシビシ行くぞ!」
外見のわりに人懐っこそうな笑みを浮かべるドゥワンさん
無言で右手を振るアルザスさん
剣を突き立ててS的な笑みを浮かべるアルトリアさん
の順だ
俺だけ師匠可笑しくない?