第40話 残った世界
世界は、続いていた。
誰かが救ったわけでも、
誰かが壊したわけでもない。
ただ、
折り合いをつけただけだ。
***
帝国では、
制度が定着していた。
登録は任意。
評価は選択制。
だが、
登録しない者は支援を受けない。
誰も強制しない。
だから、誰も文句を言わない。
不満は、ある。
だが、暴動はない。
それが、
帝国の選んだ形だった。
***
魔王軍は、
無階級部隊を解体した。
志願制は残ったが、
判断権限は明確に分けられた。
命令はある。
評価もある。
効率は上がり、
死者は減った。
「人徳」は、
戦力化できなかった。
それだけだ。
***
完全自由圏と呼ばれた場所は、
名前を変えた。
誰も評価しない区域は、
誰も守らない区域だった。
人は去り、
建物だけが残った。
失敗とも、成功とも呼ばれない。
ただ、
選ばれなかった。
***
谷は、まだあった。
人は少ない。
影響力もない。
だが、
制度も、看板もない。
誰かが決め、
誰かが従うこともある。
それを、
正しいとも、間違いとも言わない。
谷は、
ただ小さく生きている。
***
アルトは、遠くからそれらを見ていた。
関与しない。
評価しない。
話を聞いても、
意見は言わない。
それで、
誰も困らない。
世界は、
彼がいなくても回る。
***
ドレイクが、ぽつりと言う。
「……結局、
何も変わらなかったな」
アルトは、少し考えてから答えた。
「いいえ」
一拍。
「変わりすぎなかった」
それが、
一番大きな違いだ。
***
評価は残った。
自由も残った。
どちらも、
万能ではないと知ったまま。
それが、
今の世界だ。
アルトは、歩き出す。
向かう先は、ない。
目的も、ない。
それでいい。
世界は、
誰かの答えを
必要としていない。
残ったのは、
選び続ける余地だけだ。
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