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ユキコPSC事務所 ~俺の同居人は可憐なアサシン~  作者: サトルン


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8/9

第7章 アサシン・ユキコ 覚醒。

初めて長編連載に挑戦します。


◆SF/現代ドラマ/少しハードボイルド

◆未来から来たアサシン × 古物商の男

◆非日常と日常のギャップ

◆戦闘力MAXの女 × 庶民的な男

◆“救われない未来”から漂着した女が、生まれ直す物語



ユキコの“戦士としての側面”を初めて描いた回でした。

日常と非日常のバランスがこの作品の核になる部分です。

次章では、今回の出来事がふたりの関係に少し影響を与えます


どうぞよろしくお願いします。


「今日はついてなかった」

俺は久しぶりに残業を命じられた。

他の部署。アーカイブ管理課の応援を言われたのだ。

アーカイブ管理課とは商品管理部内にある少し特殊な部署で

アンティークならではの管理部門。商社の中で所謂骨とう美術品の商品管理を行う。

棚卸の時期は商品評価替え時価調整で資料や価格表を作り直すような複雑な作業が必要なのだ。

幅広いジャンルの知識がある人員でないとここが務まらん。

なかなかそんな人はいないので俺のような広い範囲の知識がある奴が必然的に応援に回される。

この時期は何度となく手伝いを言い渡されていた。

今回もその応援に回され結構遅い時間まで会社にいた。

 一応ユキコには遅くなることは連絡していた。

するとユキコが一人で食べるのが嫌だと珍しく電話口でごね始めた。

しかたがないので仕事が終わるころに合わせて会社の最寄り駅まで来てもらい

待ち合わせをして会社近くのイタリアレストランで食事をすることにした。

「その格好できたのか?」

ユキコは皮のジャケットにグレーのトレーナー。黒のスニーキーパンツの姿だった。

女らしい格好を自分からはする勇気がないようだ。

俺は肩をすくめてレストランの場所に彼女を連れていく。

そんなに大きなレストランではなく料理屋という感じのこじんまりしたレストランで

パスタ、ピザ類はもちろん家庭的なコースを出してくれる。

今回は前菜に生ハム一皿目がカルボナーラ。

二皿目がカッチャトーラという鶏肉の煮込み料理。

どれもフォークで軽く食べれるものなので食文化に

慣れていないユキコには食べやすかったのだろう。

ユキコは夢中で食事を楽しんでいた。


「食べ終わったらちょっと外歩こうか。」


ユキコには現代の日本の夜の街が

どれほど安全で賑やかかすこし体験させてあげたかった。


ふだんの夜の時間でユキコの世界の様子を少しずつ聞き出していた。

街には外灯がほとんどなく。人々も騒ぐことなく決まった目的の為にだけ

その行動は制限されているなどという強烈なディストピア感がある超統制国家のようだった。

彼女はその世界を人間らしく生きることが出来る世界に変えるべく

過去に送られた時間工作員だということだった。

時間工作とはどんなことをするのかということは

まだユキコは話してくれなかった。

ユキコの話を聞いてユキコたちが世界を変えたいと願って

過去を変えようとするのは理解できる話であった。


ユキコは夜の街のまばゆいネオンを見てしばし見惚れていた。

「夜なのに明るい。人も多い。」

「日本はとくに治安がいいから。基本的に明るい場所は女性が夜独り歩きをしても問題がない。」

「信じられない」

彼女は考えに耽っていた。

二人の間に暫しまた、静寂が宿って周りの喧騒が周りを支配した。

ユキコが何かを察したように周りをきょろきょろと見渡した。

「なんだ?」

「女の人の泣き声」

俺もそういわれて耳を澄ました。

たしかに遠くの方で女性の泣き声がしているようだ。

それは集中しなければ聞き分けられないくらい小さい声だった。

喧騒とした街のノイズに隠れて聞こえる。

助けを求める“その声”は、ユキコにとってはただの悲鳴ではなかった。

──救難信号のように、彼女の脳の奥を強く刺激した。

ユキコはゆっくりと歩きだした。

「おい。どこにいくんだ?」

俺の言葉も聞かずに声のする方に歩きだしていた。


***


街の裏路地に入ってきた。

普段ならこんなところには入っていかない。

ユキコが何かに引き込まれるようにして裏路地に入っていくのを

俺は制止しては見たが俺を押しのけて入っていくのだ。


男の怒鳴り声と薄ら笑いが聞こえてくる。

「ユキコ。よせ。ここは入るな!」

俺は危険を察してユキコの前に立ったがユキコはゆらりと

俺をよけると前に進んでいく。

何かが取り付いているようにその表情は無表情だった。


俺にはその表情に見覚えがある。

あの日。

俺の寝室の天井からユキコが降ってきた日に俺に飛びかかり

喉を締め上げた時に見せた機械のような冷徹な表情だ。


若い女が地面に押し倒され、服は裂け、半泣きで「ゆるして……」と声を絞っていた。

助けを求めるその瞳は、もう何も映していないようだった。

その周囲を、男が三人。

一人は250ポンド級の大男。

残る二人は中肉中背、170程度。

どの顔にも、最低でどうしようもない“やれると思っている”笑み。

そこへ──

ユキコが、ゆらりと現れた。

「なんだい、お嬢ちゃん。こんなとこ来ちゃ──」

小柄な男が、にやつきながらユキコへ手を伸ばした。

次の瞬間。

──パキンッ。

「ぎゃあああああっ!? ゆ、ゆびがあああ!!」

指を極められたと理解する前に、男はその場で仰向けに倒れ、地べたを足でバタつかせて悶絶した。

「おいたはだめだぜ」

もう一人がパイプを拾い、勢いよく振り下ろす。

風を切る音。

ユキコは、ただ半身に引いただけで避けた。

まるで時間がスローになったかのように自然な動き。

パイプが空を切り抜けた瞬間──

ユキコの掌底が、男の人中へカウンターで吸い込まれる。

──ドスッ。

男の身体が“弾かれたように”後方へ飛ぶ。

ゴミ箱を吹き飛ばし、そのままアスファルトの上を転がっていった。

残りの一人。

大男。

その巨体がユキコを見据えた瞬間、目の奥の色が変わった。

「……なるほど。てめぇ……ただ者じゃねぇな」

彼は素人ではない。

190を越える体躯とは思えぬ素早さで一気に飛びかかる。

一瞬、空気が止まった。

だが──

ユキコはもっと速かった。

縮む。

沈む。

その動きがあまりに滑らかで、大男の視界から一瞬消えたようにすら見える。

気づいたときには、もう懐にいた。

──次の瞬間。

ユキコの身体が、バネのように爆ぜた。

右足が、真上へ向けて鋭く伸び上がる。

軸足の左足と一直線。

まるでブルース・リーが上段蹴りを決めた時の、あの完璧なシルエット。

ただし──スピードと精度はその何倍も鋭い。

──ゴシャッ!!!!

大男の顎が破滅的な音を立て、砕けた。

その巨体が縦に弾かれ、宙へ浮く。

街灯の光の中、無様な影が描かれた。

ユキコはその体勢のまま、静かに着地する。

「……懺悔の時間よ」

倒れゆく大男の耳に、その声が最後に届いた。


俺はまたもや一連の行動をただ茫然と見ているだけだった。

ユキコが戦闘行動を開始してから20秒とかからなかったろう。

小柄で華奢な彼女が最小限の動きだけで3人の男を

瞬く間に吹っ飛ばしたのだ。

「ヨシヒコ。ぼうっとしてないで。彼女を助けなきゃ」

ユキコはそういうと倒れている女性の元に駆け寄り助け起こした。


3人の男たちはそれぞれの場所で伸びていた。

(やってくれたなぁ‥‥逃げた方がいいよな?)

ユキコに目配せをする。

「まって。彼女を警察に。それだけはした方がいい。」

「お。おう。」

俺は女性を抱えて最寄りの交番に向かうことにした。


交番に飛び込んで女性の保護を求め事情を話す。

ユキコが男を吹っ飛ばしたことは全く触れず

女性が倒れていたことだけを説明し。

現場を説明する。

男たちが誰に倒されたかはわからない。と

まさかこの小さな女と優男が大男を倒すとは

警官も思わないもので救急車をよんで

俺たちは解放された。


「ユキコ。たのむよ無茶しないでくれ。」

「ごめんなさい。自分をとめられなかった。」

ユキコはちょっと笑うと目を伏せた。


 



──ユキコの“戦士としての側面”を初めて描いた回でした。

日常と非日常のバランスがこの作品の核になる部分です。

次章では、今回の出来事がふたりの関係に少し影響を与えます。


そんな小さな日常の積み重ねの中で、

ユキコという人物の傷や、迷い、そして未来への不安が

少しずつ読者にも伝われば嬉しいです。


ここから先は、

ユキコの任務に関わる“非日常”が色濃くなっていきます。


ここまでお読みくださり本当にありがとうございます。

次回もどうぞおたのしみに。


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