第6章 ─後編 服が彼女を変えていく。
ユキコに“女性としての変化”が訪れる章です。
未来では戦士として生きてきた彼女が、
この時代の文化――メイクや洋服に触れ、
少しずつ「普通の女の子」の姿を取り戻していきます。
ヨシヒコの優しさ(?)と、
ユキコの戸惑いと赤面をお楽しみください。
洋服フロアに入った瞬間、ユキコは目を丸くした。
「……ここ全部、女の人の服……?」
「そうだよ」
未来の灰色の世界しか知らない彼女には鮮やかすぎるのだろう。
店員が近づいてきた。
「まあ! メイクも素敵! 今日はデートですか?」
「ち、ちが──!」
「そうですよ。服を選びたくて」
「ヨシヒコぉ……!」
店員は楽しげに目を輝かせた。
「お任せください♡」
***
店員が持ってきた服を次々と試着するユキコ。
白ブラウス × ベージュスカート
淡ピンクのワンピース
シックな黒ワンピ
パーカー × デニム
どれも似合う。
「……どう……?」
「全部似合ってる」
ユキコの耳は真っ赤。
試着室に戻るたび肩が震えている。
その姿がいちいち可愛い。
店員たちもざわつく。
(あの子……何着ても似合う……)
(しかも彼氏が全部褒める……くやしい……)
最後にユキコが言った。
「ど……どれがいいと思う……?」
「全部買え。必要だ」
「えっ……全部……? よ、ヨシヒコ!?!」
「カジュアルもフォーマルも揃ってたほうがいい」
ユキコの表情がほのかに弛んだ。
(……デート、できる……?)
そんな“普通の女の子の顔”を見たのは初めてだった。
「……ありがとう、ヨシヒコ」
深く頭を下げるユキコ。
袋を抱えたユキコは、
帰り道ずっと上気したまま口数が少なかった。
未来の戦士ではなく、
ただの二十四歳の女の子。
──そんな彼女を見るのは、
少しだけ悪くない、と思った。
読んでくださりありがとうございます。
戦うためだけに育てられたユキコにとって、
メイクも服選びも“未体験の世界”です。
そんな彼女が少しずつ変わっていく姿を
ヨシヒコがどう受け止めるのか。
二人の距離が縮まるのか、それとも……?
次回もどうぞよろしくお願いします!




