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ユキコPSC事務所 ~俺の同居人は可憐なアサシン~  作者: サトルン


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6/9

第6章 ─前編 女性は変わる。男は驚く。

ユキコに“女性としての変化”が訪れる章です。


未来では戦士として生きてきた彼女が、

この時代の文化──メイクや洋服に触れ、

少しずつ「普通の女の子」の姿を取り戻していきます。


ヨシヒコの優しさ(?)と、

ユキコの戸惑いと赤面たっぷりをお楽しみください。

```

食後のテレビを眺めながら、俺はふと画面に映る女性タレントたちに見入った。

鮮やかなメイク、華やかな服。

──なるほどな。


横を見ると、ユキコはソファに正座してテレビを凝視している。

バラエティなのに笑いもせず、完全に情報収集モード。

未来の戦士の顔だ。


でも肌は驚くほど綺麗で、若い娘そのものなのに──

彼女は、自分が“女性”であることを理解していない。


(……少しぐらい、おしゃれさせてやりたいな)


その瞬間、衝動的にスマホを手に取っていた。


「明日の午後、体験メイクをお願いします。はい、予約は大槻です」


通話を切ると、背後から声がした。


「ヨシヒコ? いまの電話は……?」


振り向くと、不安げなユキコが立っている。

俺はなぜかワルガキのような笑顔になった。


「まあ、明日分かるよ」


その答えが余計に不安を煽ったらしく、ユキコの眉が寄った。


***


翌日、俺たちはショッピングモールにいた。


「しょ……ショッピング?」

「ちょっと付き合ってくれ」


化粧品フロアに足を踏み入れた瞬間、ユキコは固まった。

そりゃ、未来にこんな場所はなかっただろう。


「いらっしゃいませ〜!」


店員の明るい声。俺はまっすぐカウンターに向かう。


「予約した大槻ですが、メイク体験を」


「は〜い! 彼女さんですね! ……あら可愛い!」


ユキコは完全にフリーズ。


「ちょ、ヨシヒコ!? これなに──」


「まあ座れ」


店員は手際よく測定器をユキコの頬に当てた。


ピッ。


「……え!? 肌年齢……十六歳!?!?」


「じゅ、十六……?」

ユキコは意味が分かっていない。


(行水とドラム缶風呂しか知らんのにな……)


そこから店員のテンションはMAX。

次々とメイクが施されていく。


化粧水、下地、ファンデ、アイライン、シャドウ──

ユキコはされるがまま、でも鏡越しに変わっていく自分に釘付けだった。


「お待たせしました。鏡をどうぞ」


ユキコはそっと鏡を覗いた。


「……え」


息をのむ音が聞こえた。


戦士でも、逃亡者でもない。

どこに出しても恥ずかしくない“若い女性”。


「これ……私……?」

「うん。似合ってる」


耳まで真っ赤にして固まるユキコ。


「このセット全部ください。チークとシャドウも追加で」


「ちょ、ヨシヒコ!? だめ、こんな──!」


「必要なものは揃えておかないとな」


会計を済ませ、俺は次の売り場へ向かった。


「今度は服な」

「ふ、服……? この前買った……」

「女の子らしいのはまだだろ。行くぞ」


ユキコはまだ頬を赤くしたまま、

小さな鏡をそっと覗き込んでいた。


俺はそんな彼女を横目に、

次のフロアへと歩き出した。


──後編へ続く。

読んでくださりありがとうございます。


戦うためだけに育てられたユキコにとって、

メイクも服選びも“未体験の世界”です。


そんな彼女が少しずつ変わっていく姿を

ヨシヒコがどう受け止めるのか。


二人の距離が縮まるのか、それとも……?


次回もどうぞよろしくお願いします!

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