登頂そして邂逅
登山はまだまだ続かない!
まぁ一旦まだ登らなきゃいけないことは置いときまして。
「だめよ!あなたは街の人をかの邪智暴虐の王から救うためにきたんでしょ!」
頭の中の天使が囁いてくる。なんでメ◯スなんだよ。
「普通に疲れもあるし一旦忘れて休もうぜ!」
俺の脳内悪魔いい子すぎん??天使より天使してるよこいつ。
とりあえず悪魔採用で
「やりたいこともあるしね…」
「モンスター倒したらやっぱ解体でしょ!」
〜1時間後〜
「ふぅ…疲れたけど楽しかった〜!知りたかった事も大方わかったしな。」
俺の前にはアルマジロの原型は無く食べられる肉と使える甲羅だけが残っていた。
「このまま持ってくのは無理だし…あ!この前買ったあれ持ってきてたはず!」
テッテレテッテッテーテレー亜空間収納〈モンスター〉
なんかすごい魔法で作られてるらしい!ほんとはなんでも入るのが欲しかったけど高すぎて断念…かさばるモンスターの素材が入るだけでもだいぶありがたい。
肉少しを残して全部しまった。なんで肉を残したかって?
「山といえばバーベキューだよなぁ!」
調味料はないから焼くだけになるけど多分美味いはず。肉が手に入る可能性を考えて小型バーベキューセット持ってきてた俺は天才なのでは()
ジュ〜…
音がもう美味い。耳に味蕾あるかも俺。
匂いも美味いから鼻にもあるわ。
「そろそろいい頃合いかな〜」
それじゃ!いただきまーす!
結構食感とかは鶏肉に近い感じかな?岩食ってるからか若干かてぇな。煮込んだ方が良い感じになりそう。
調味料なんも無しで焼いただけだけど味はいいな!
結論:そこそこ美味・使い方で化ける
――――――――――――
「メイ」
「どうなさいましたかお嬢様。」
「なんかあの辺煙出てるんだけど…火事?もしかして私達逃げなきゃいけないのかしら…」
「あの煙の量だと火事では無さそうですね。誰かバカがバーベキューでもしているのでは。」
「バーベキュー!?なんでこんなとこでやってるのよ。というか人が来てるってことじゃない。メイ、警戒を強めておきなさい。」
(バーベキュー…久々に大人数でお肉が食べたいわね…)
「承知しました。紗南お嬢様のことは私が絶対にお守りいたします。」
(この人絶対肉のことも考えてるな。)
――――――――――――
「にしてもやっぱ…異常に暑いな。さっきより暑くなってきてるし。」
それもそうか、南家は『龍神大戦』の時に人間の味方をした4匹の神獣を祀り、その力を使って神都、および国を守る『四方守護家』の1つである。
南を守っている『神獣』は朱雀。朱雀は方角では南を、季節では「夏」を司っている。
暑くなってるのは単純に太陽に近いたからかそれとも…
「伝説の神の力か…本当にいるなら会ってみたいな」
「はぁ…屋敷……やっと見えた…」
某岩アルマジロとの戦闘もあり結構な朝に登り始めたはずがすでに日が暮れ始める時間になっていた。
「頼むから話し合いで解決させてくれよ…。」
実際戦闘になったら勝ち目なんて無いと思う。
相手は神獣の力を使ってくるんだ、ただちょっと変化できるだけの能力の俺が勝てるわけがない。
「にしてもでっかい屋敷だなぁ」
全体的に赤いレンガで作られており庭も広い、屋敷の屋根には朱雀を模して作られたであろうオブジェクトもあった。
「で…やっぱ門番いないわけないよね〜。イメージしてた感じとは違うけど。」
名家の屋敷となれば門番がいるのは当たり前だろう。しかし門番と言われても人々が思い浮かべるのは鎧を来た屈強な男である…がしかし、目の前にいる門番は黒と白を基調とし、ロングスカートを履き、頭に呼び名のわからないひらひらした白いアレをつけた少女であった。
「メイドが門番をする時代が来てるのか。時代の変化は恐ろしいな。」
彼女は独り言とも話の投げかけとも取れるその発言に貼り付けたような笑顔で話しかけてきた。
「来訪者様、こんな山をわざわざ登ってきたのだから要件があるのでしょう。言ってみやがれください。」
よかったいきなり襲いかかっては来ないらしい。
だが警戒されているのかだいぶ上から目線だな…。
ムカつくがここは下手に…
「麓の村で問題が起こっててな、解決の手筈が見えないらしいんだ。だから民が困ってるのに助けもしない当主様は何してるのか見にきたんだよ。(笑)」
なんで高圧的に返しちゃってるの俺ー!!!
バカ?バカなの?いやまだ…まだ立て直せるはず…
「麓の村で問題…村長からは何も聞いていませんが。それと…お嬢様を侮辱するような発言は大変受け入れ難いですね。撤回し、謝罪していただけますか?」
「聞いてない?そりゃ本当か?今村の人々は深刻な食糧難で1食食べるのも精一杯な生活してるんだよ!それを「聞いてません。」ではいそうですかってなれるわけないだろ。」
「実際そのような連絡が来てないということが現実ですので、本日のところはお引き取り願えますか?」
相変わらず表情は変わらないが怒りが伝わってくる。だがここで引き下がるわけにも…
「あと…発言の撤回と謝罪は?」
目の前の人間への怒りが露わになる。
えげつない殺気だな…
「ごめんな。民の現状すら知らない当主だなんて思ってなかったからさ。(笑)」
はい終わったー!なんでこう煽っちゃうかなぁ…さっきから気分上がっちゃってえぐい。
まだ立て直せるか?いや無理だろ…
雲乗竜変ここに眠る✝️
「あなたの発言には信憑性がありません。よって、敵とみなす方が合理的!」
ダンッ!
【変化:跳躍脚】!
「はやっ!というか斧!?」
どっから取り出した?確かに手には持ってなかったしどう考えても隠しておけるサイズでもない。なんてったって彼女と同じくらいのデカさだからな、
「メイドさん良くそんなもん振り回せるな!そいつが能力か?」
「答える義務はありません」ビュンッ!
「よっと!そんな大ぶりなもんじゃ俺には当たんないぜ!」
「上に飛んだのは悪手でしたね。」
ヒュンッ
投げナイフ!空中、障害物もない、避けられない!
「終わっ…」
クソでかい斧持ったメイドさんってロマンの塊じゃね?