夜襲と仙狐水晶と草刈り機
後片付けを終えると、夜の匂いが濃くなって、昼間の熱気とは打って変わって、ひんやりとした心地よい風が吹き抜けていた。
爽やかな夜風は夏の湿った空気を孕み、草木や花火の残滓の火薬の匂いと相まって本当に夏っぽい匂いがした。
真夏ではあるが、風が吹けばそれなりに涼しく、不快感はそれほど感じられなかった。
一通り片付けを終えると、樹たつきと花奈はなはコンとの別れを惜しみつつも、時計を確認すると既に二十三時を過ぎており、泣く泣く帰還していった。
母さんが「泊っていく?」と、尋ねていたが流石にそれは悪いと、樹が断っていた。
個人的には別に構わないのだが、二人共そこまで遠くに住んでいるわけではない為車で帰る事を選んだ。
別れ際に「明日も絶対遊ぼうね!」と、花奈は強くコンに念押ししていたが、おいおい、明日は遊ぶんじゃなくて調査が先だろう…と、思ってはいたが口に出すのは無粋な気がしてやめておいた。
そんなこんなで、現在時刻は零時を回り、二階にある自室のベッドの上でスマホで動画サイトを観ながら寝転がり、ようやく長かった今日が終わろうとしていた。
「明日あした…どうすっかな…」
と、独り言を零すも返事は帰ってくるはずもなく、空しく空に消えた。
考えてもしょうがないと分かりつつも考えてしまうのは人間ひとの性ってもんだ。
「とりあえず、寝るか…」
虚無感を味わいつつ、答えの出ない問いかけに呆れながら枕元に置いてある室内灯のリモコンを操作して明かりを落とす。
手探りでスマホが充電ケーブルに接続されているのを確認すると、枕の横にスマホを放り投げて、ベッドに身体を預け大の字に仰向けになる。
コンはというと下の階でばあちゃんと今日は寝ると言っていたが、まあ積もる話もあるだろう。
何しろ七十年ぶりの再会だと言っていたから…まあ、もしかしたら夜通し昔話に花を咲かせているかもしれないな。
再会した時のばあちゃん、めっちゃ嬉しそうだったし。
結局、仙狐水晶については進展があったといえばあったが、ほぼほぼノータッチの状況だ。
明日の連絡次第でどうにかなるとは思わないが、とりあえず連絡が来るまでは、麓の方で聞き込みだけでもすることにしよう…。
何か目撃情報があるかもしれないし…そうしよう。
それにしても今日は疲れた…。
と、考えてる内に意識が朦朧としてきて、自然と瞼が下りてくる。
身体の重みを感じられなくなると、まるで宙に浮いているかのように体が軽くなっきて…ドサッ!
ドサッ…?
幻聴かもしれない。
この部屋には俺以外誰も居ないはずだ。
しかし、まどろみの中手放しかけた意識の手綱を、異音によって再び無理矢理握らされたのだから、気のせいではないのだろう。
俺は頭をブルっと振って重い瞼を引き上げる。
一瞬暗くて何も見えなかったが、俺の足元…ベッドの傍に何やら見覚えのあるバランスボール大の何か。
音の正体は間違いなくこいつだろう。
俺の部屋にバランスボールは生憎と置いてない。
となると、どっから入ったのか…気配すらしなかったぞ…。
シルエットだけが見えている状態だが、俺はこいつを知っている。
今日山で掃除を終えた時に、俺の昼飯を持ち逃げしようとした不届き者のモフモフだ。
そいつが何故か俺の足元でたゆん、たゆんと弾みながらこちらに近寄っては、離れて、近寄っては離れてを繰り返していた。
しかし何度目かのその行動をした頃、バランスボール大のモフモフは意を決したのか、こちらの方へと近づいてきた。
足元の方から段々と顔の方まで近づいてくると、弾む度に耳元へとドサッ、ドサッという音が鳴り響く。
ようやく眠りにつけそうだったのに…いい感じの所で邪魔してきやがって…と、少しイラつきはしたが、わざわざ気配を消してまで侵入してくる理由が気になり敢えて寝たふりを続けた。
「くふふ…呑気に寝ておるわ…昼間はよくもワシの尊い頭に手刀をかましてくれたのぅ…お返しじゃ、鼻をつまんでやるかの…ひっひっひ…」
と、声を殺してゲスな笑い声を浮かべるそれの独り言を聞き逃さず、寝たふりを続けていると、そのモフモフはスッと消え去り、やがて人の姿となって俺の枕元に立っていた。
「ふふふ…神に手を出したことを後悔するがよい…ほれ!」
と、その不届き者は手を伸ばすと俺の顔の上にかざす。
そして、その手が俺の顔面に触れようとした所で、目を開き声を掛けた。
「…で、こんな夜中に何か用か?」
「ぬわあああああああああああああああ!!」
声を掛けると、甲高い声を上げてのけ反るケモミミ幼女。
それに合わせて上体を起こし、ツッコミを入れる。
「うっさいわ!今何時だと思ってるんだ!?」
すかさず脳天に軽く手刀をかましてやる。
図らずも、昼間と全く同じ構図だ。
「お、おぬし…狸寝入りしよったな!?」
ベッドの横でしゃがみ込み、丁度おでこの辺りに小さい手を当てて、涙目でこちらを恨めしそうに睨みつけるコン。
そんな様子を尻目に「はぁ…」と、ため息をつき、眉間を親指と人差し指で摘まんで、答える。
「こちとら今丁度眠れそうな所だったわ!」
と、悪態を吐くとコンは心底悔しそうに拳を握り、わなわなと震わせて歯を食いしばって言う。
「ぐぬぬ…そのまま寝ておれば良かったものを…」
どんだけ俺に恨みがあったんだ…?
「はぁ…。んで、わざわざ忍び込んでこんな夜中に一体何の用だ?まさか、まじで悪戯だけが目的とか言わないよな…?」
と、極めて大人な対応をしてやることにした。
そう言うと、コンは「ちっ…」と、舌打ちをして…舌打ち!?
「その…おぬしに言っておかねばならぬことがあってな?」
と、神様らしからぬ悪ガキの様な態度で続けた。
「その前に、謝罪の一つくらいないのかよ…?」
と、再びW手刀の構えを見せると「ひっ!」と、心底怯えた様な表情を浮かべ涙目になるコン。
おでこを守る両手を更に強く押し当てて、のけ反りながらウルウルと瞳を潤ませる。
「いやいや、本当に叩きはしないけどさ…」
一発目はまあ、正当防衛ってことでセーフだきっと。
涙目の幼女になんもしてないのに、二発目を打ち込む程俺は鬼畜じゃない。
再び「はぁ…」と、重いため息を吐くとベッドの横に足を下ろし、コンと向き合う。
「ほら、そこ座って…大丈夫だ、もうしない」
と、デスクチェアーを指さし勧める。
俺は枕元に置いてあった室内灯のリモコンを操作すると、明かりをつける。
白色蛍光灯の明かりが室内を照らし、暗闇に慣れていた目が眩む。
二、三回強く目を開け閉めすると、徐徐にではあるが目が慣れてきた。
すると、暗くてよく分からなかったが、いつの間に着替えたのか、黒の無地Tシャツの半袖に、ポリエステル製の艶々した緑色の短パン姿をしていた。
しかも、サイズがあっておらずTしゃつはぶかぶかで、半袖のはずが七分丈くらいの長さになって、だらりと垂れ下がっている。
ズボンの方もぶかぶかで、ウエストの所で束ねて無理矢理ヘアゴムで括りつけてあった。
コンは相変わらずベッドの横に突っ立っていたが、先程指さした方向を向き椅子があるのを確認すると、素直にそれを引っ張り出してちょこんとお行儀よく座った。
足をぷらぷらと椅子の上で揺らすコンは俺の言葉を待っている様子だ。
「で、どうしたんだ…?」
腕を組んでそう言うと、コンは目を反らし、両手の人差し指を合わせて、口を鶏の嘴くちばしの様に尖らせて言う。
自慢の耳と尻尾も垂れ下がっており、動きもゆらゆらと頼りなく、何とも力が入っていない感じだった。
「おぬしに言わねばならぬことがあるのじゃ…」
何とも釈然としない態度だが、ボソッと囁く様な声でコンは言う。
「その…さっきのにゅーす?というのを覚えておるか?」
「ニュース?」
「そうじゃ…さっき花火の前にハル達が見ておったやつじゃ…」
コクリとコンは頷くとまっすぐこちらを見据えて、真剣な面持ちで続ける。
「実は…あれは仙狐水晶が原因なのじゃ…」
と、コンは言った。
「…え?」
どういうことだ?
仙狐水晶が原因で、ニュースになるというのだろうか?
ちょっと良く分からん。
俺が質問をしようとすると、コンは続ける。
「その…やはり、影響は少なからず出ているのじゃ…」
コンは苦虫を嚙み潰した様な、何とも言えない微妙な表情をしている。
「というと…?」
樹が聞き返すも、言い淀み、なんとも要領を得ない。
ようやく話し出したかと思えば、何かと確認するかのように歯切れの悪い切り出し方でコンは言う。
「その、仙狐水晶が土地の淀みや悪しきモノを制御しておる…のは母様が説明してくれたじゃろ?」
「そうだな」
「今は母様が何とか抑えて制御してはおるが…どうしても母様にも限界があるのじゃ」
と、コンは言う。
「限界?」
俺が訪ねるとコンは一度コクリと首を縦に振ると答えた。
「そうなのじゃ。この世界…いや、この街だけでも日々数えきれない程の感情の奔流が溢れ還っておるのじゃが…人間の数だけ意思があって、その一つ一つを汲み上げて昇華させてやるのもわしら土地神の仕事なのじゃ」
「感情の昇華?」
聞きなれない単語だ。
「昇華…というのは、あれじゃ。行き過ぎた感情を正常な流れに戻してやる作業とでもいうか…極端な例じゃが…歩いている時にたまたま人にぶつかっても、多少ムッとするが殺してやろうとまでは思わないじゃろ?」
まぁ、確かにそうだ。
不意にぶつかればその時にムッとするが、別に殺してやろうとは思わない。
「そのムッとするが、殺す程ではないと納得出来るように感情を抑制したりするのがわしら土地神の仕事なのじゃ」
「…?」
「えと…厳密にはその時に生じる負の感情の残滓が、淀みとなって定着してしまうのじゃが…それを取り除いて、正常化する…というのが正しいのじゃ…」
要するにどういうことだってばよ?
「と、とにかく負の感情が溜まり過ぎない様にそれを取り除く…というのが昇華じゃ。これ以上説明がつかぬ…そういうモノじゃと理解しておくのじゃ!」
まあ、よく分からないがコンがそういうのなら、そういうモノなのだろう。
「要するに、負の感情が高ぶって行き過ぎた行動を取らない様に抑制してるのは、実は神様の仕事で、それが昇華するってことなのか?」
「全部が全部そうというわけではないのじゃが…概ねそういうことなのじゃ!」
と、コンは何とかこちらが納得した様子が伺えたので「ほっ…」と、一息吐く。
しかし、感情の昇華が土地神様の手作業ってんなら、土地神業界はとんだブラック界隈だ。
それが本当ならとんでもない話である。
「今は久那妓さんがこの町に住む住民一人一人の感情を汲み上げてって…それって相当大変なんじゃないのか…?」
「確かに相当大変な仕事なのは間違いないのじゃ…。じゃが、わしら土地神は昔からその土地に根付き、人々と向き合ってきたからそれが仕事なのじゃ」
と、コンはこの仕事に誇りを持っているらしい。
今は見習いだが、立派に役目を果たしている母親を身近に見て来ている身として、やはり多少は責任感というか、そういった使命感的な感情は持ち合わせている様だ。
コンは実感身を乗り出し、椅子の上で前のめりになりながらたどたどしくも立派に土地神としての役割を説明してくれた。
が、しかし。
その話が本当であるなら、神様と言えど、無数に存在する人の感情を一つずつ汲み上げていちいち向き合うのは、相当に骨が折れる作業であるのは間違いない。
俺も探偵という職業柄、人の依頼を受ける立場である。
その時の規模にもよるが、それが一件二件程度であれば、何とか片付ける事もできる。
しかし、それが一気に数百、数千、数万と途方もない数になると、どうしても捌き切れずオーバーフローしてしまう。
無数にいる人間の意識を一個ずつ汲み上げるってことは、要するにその数百数千数万の依頼をたった一人で地道に向き合い律儀に一個ずつ手作業で解決して回っているということだ。
もっと言えば、山全体の草刈り作業を機械も鎌も道具も何も使わずに、素手で一本ずつ雑草を引っこ抜く様なそんな途方もない作業を行っているということになる。
考えただけでも恐ろしい程地道でしんどい作業だ。
コンは尚も続ける。
「土地神としてもやはり依り代無しでは限界がある。仙狐水晶はその依り代として存在していて、要はそれである程度人の感情というものを吸い上げて、自動で処理してくれる関の様な物なのじゃ…」
「便利な道具…まあ草刈り機とかコンピューターみたいなものってことか?」
「くさかりき…?こんぴゅーたー?良く分からぬが、まあある程度感情を自動的に消化霧散させてくれるものなのじゃ…」
つまり、仙狐水晶が草刈り機とかパソコンみたいなもので、それを制御しているのが土地神である久那妓さんということになる。
なるほど、それで雑草=思念のオーバーフローを食い止めていたということだ。
「まあ、何となく理解はできた。とりあえず、今はその仙狐水晶が盗まれてしまったせいで、久那妓さんが一人で地道な作業をしてるってことだな?」
「そういうことなのじゃ…。そして、さっきのニュースの話なのじゃが…」
と、ここでその話に繋がるのか。
コンは椅子から立ち上がり、スタスタとこちらに歩み寄ると、ベッドの隣におもむろに腰掛ける。
ぽふんっと、軽い音が鳴りベッドが軋む。
その際にフワリとコンの尻尾と髪が宙を舞う。
サラサラの髪が俺の眼前を横切ると、去り際にシャンプーの良い匂いがした。
尻尾もフサフサとしており、よく見ると少し湿っていて、細かい毛が規則正しく整列しており、ブラッシングでもしたかのように、艶やかに光輝いていた。
いつの間にか風呂に入っていたのか、と思うと同時に、同じものを使っているはずなのに、土地神とは言え女の子の髪の毛から香ってくるその匂いに不覚にも、少しドキッとしてしまった。
俺の横に行儀よく座るケモミミ幼女は、その尻尾をフリフリと揺れ動かし、俺の目の前を行ったり来たりと、翻弄してくる。
コンの尻尾や髪の毛に見とれていると「こらっ、真面目に話しているのじゃ!ちゃんと聞くのじゃ!」と、怒られてしまった。
「ん、んんっ…!すまんすまん、魅力的なフサフサに見とれてしまった…許せ!」
と、眼前を行き来するフサフサを目で追いつつも、咳払いをして仕切り直した。
「それで、ニュースがどうしたんだよ?」
と、問いかけるとコンは声のトーンを一つ落として言った。
「その、やはり仙狐水晶が無くなったのが原因で、人の悪意や淀みが増幅しているようなのじゃ…」
コンは少し困惑気味に、弱弱しく言う。
尻尾や耳も少しタレ下がり気味で、今の心情が伺えた。
やはり、仙狐水晶が無くなったことを懸念している様子だ。
「久那妓さんの仕事が増えて、対処できない淀みが溢れてるってことか?」
「そうなのじゃ…少なくとも今日のにゅーすでやっていたのは仙狐水晶の影響なのじゃ…」
「どうしてそう言い切れるんだ?」
「それは…てれびを通して、ワシには淀みが見えたのじゃ…」
「その、悪意が原因で溢れるっていうやつか?」
隣に座るコンは身を乗り出し、こちらに更に詰め寄る。
前のめりに手をついて、こちらを上目遣いで覗き込む様に言葉を紡ぐ。
「そうなのじゃ。車の事故もそうじゃったが、コレくらいのと…こんびにに強盗が入ったのも間違いない。大きさ的にはコレくらいじゃが…あとは…自殺じゃ…これが一番大きくて、濃い淀みじゃった…」
と、コンは身振り手振りを駆使して淀みとやらの大きさを伝えてくる。
一個はテニスボールくらいの大きさの物、もう一つはサッカーボール大の物。
最期の一個はそれこそコンが両手を一杯に広げて耳もピンと尖らせて体全体を使って、表現していたが、大体直径一メートルくらいの大きさだと推察できた。
正直いまいち大きさを言われてもピンとこないのだが、こんだけ必死に伝えてくるということは、やはりそれは重要な事なのだろう。
「んー…淀みとやらが溜まって大きくなるとどうなるんだ?」
質問をするとコンはすんなりと答えてくれた。
「まず、間違いなく災いが起こる。この辺は母様も言っていたが、規模は分からぬが起こる事は確定じゃ。それが地震だったり、台風じゃったり、大事故だったり…種類は様々じゃが、この土地にとって都合のよくない事が起こる…はずじゃ…」
なるほどな…ということは、やはり一刻も早く仙狐水晶を取り返さないといけないな。
まあ、それは分かるのだが…如何せん手がかりというか、調べるにしても足がかりがないので、八方ふさがりだ。
どう調べていいかすらわからないのなら探しようがないし…だが、遅れてしまうと天変地異が起きてしまう…。
うーん…完全に詰みじゃないか、これ?
腕を組んでコンの話を整理していると、ふと思いついたことがあった。
待てよ…?
コンはさっき”淀みが見えた”と言ったな?
仙狐水晶は確か、久那妓さん曰く”人の悪意を感知すると、悪意や穢れが逆流する”って言ってなかったか?
悪意がある所に淀みが出来るから…。
コンは淀みが見えると言った。
あれ、これいけるんじゃね…?
俺は脳細胞をフル回転させて、頭の中を整理する。
つまり、コンを連れて街を歩いて淀みが集まる場所を探せば、仙狐水晶が見つかるかもしれない、ということだ。
正直俺のカンでは犯人はまだ近くに居るとみている。
第一に理由としては、あんな山奥に態々入り込んで物を盗み、遠くに持って行くとは考えにくい。
第二に愉快犯だとしても、あんな山奥に入り込むとは考えにくいし、元々そこに仙狐水晶があることを知っている人物が犯人だと考えるのが妥当だ。
その上で、仙狐水晶を持ち逃げして、得をする…もしくは、それ自体の価値に気付いている人物…と、考えられるのだが…そこまでの判断材料はまだない。
それに盗まれた現場の状況的にも、わざわざ社を壊して盗んでいる辺り、存在を誇示したいのか、単に嫌がらせなのか…。
どちらにせよ、地元の人間以外はあまり考えられないと、俺は思った。
観光客がわざわざ山を登って外部からたまたまご神体を盗む可能性もゼロではないが、それより地元を当たる方がまだ可能性は高いと思った。
ま、逆に言えば、夜桜市を抜けられていたら完全にお手上げだが。
何にせよ考えは纏まらないが、まずは重要なことを確認せねばなるまい。
「その、確認なんだけが…普通に歩いていてもその淀みってのは見えるのか?」
俺はコンの目を見据え、尋ねた。
「うゆ!えと…その、まあ、大体は見えるのじゃ…それがどうかしたか?」
コンは「ん?」と首を傾げ、顔にクエスチョンマークを浮かべながら答えてくれた。
おっと…これは…やれそうだ!
先程までは砂漠に落とした一粒のダイヤモンドを探す作業だったが、今回はそのダイヤに迫る為の発信機であるコンがいる。
ムリゲーかと思われた作業に、急に光明が射した。
それでも結局人力で総当たりになるのは間違いなのだが、指針が出来た時点でそれは大きな進歩だ。
俺は一筋の光が射したことに感動を覚えたが、努めて冷静にコンに言った。
「おい、コン!いけるかもしれないぞ?」
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