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魔法詠唱―ファイヤーボウル


-----------------


◆アブソープション

・スロットα

内容:相手のLPを1吸収する(1バトル/1回)

消費MP1

・スロットβ

内容:HP0となった相手のLPを吸収する(調整可)

消費MP0


-----------------


「スロットってことは、これ切り替えができるのかな?」


 試しに〝スロットβ〟を選択してタップしてみると、案の定アナウンス画面が表示される。


 『<アブソープション>のスロットを変更します。βにしてよろしいですか(Y/N)?』


「ここはひとまず(Y)を選んで……」


 『<アブソープション>のスロットをβに変更しました』


 よし、スロットを変更したぞ。


 でも、これでクインペリーのHPを0にしない限り、LPは吸収できなくなったわけで。

 これまでは、裏技的にスライムを倒してきたけど、もうその手段は使えない。


「あとは自力で倒していくしかないみたいだ」


 今一度、自分のステータスを確認してみる。


-----------------


[ナード]

LP23

HP37/50

MP10/16

攻1

防1(+5)

魔攻1

魔防1

素早さ1

幸運1

ユニークスキル:

<アブソープション【スロットβ】>

<バフトリガー【OFF】>

属性魔法:

無属性魔法:

攻撃系スキル:

補助系スキル:《分析(アナライズ)

武器:

防具:毛皮の服

アイテム:水晶ジェム×1

貴重品:ビーナスのしずく×1

所持金:5,800アロー

所属パーティー:叛逆の渡り鳥(バードオブリベリオン)

討伐数:E級魔獣38体

状態:


-----------------


「う~ん……」


 今のままだと攻撃力が1だから、クインペリーにまともに攻撃を与えることができない。


(とすれば、ある程度攻撃力を上げてから<体術>の技を覚えればいいのかな?)


 水晶ディスプレイを弾くと、そのまま<体術>の技一覧を表示してみる。


-----------------


◆初級技-あばれ倒し/消費LP30

内容:敵1体に物理攻撃(小)を与える

威力70ダメージ

消費MP5


◆中級技-秘技・天翔蹴り(てんしょうげり)/消費LP75

内容:敵1体に物理攻撃(中)を与える

威力270ダメージ

消費MP15


◆上級技-爆烈神覇(ばくれつじんは)絶影掌(ぜつえいしょう)/消費LP120

内容:敵1体に物理攻撃(大)を与える

威力900ダメージ

消費MP45


-----------------


「うわぁ、 初級技でもLPが30も必要じゃん……」


 そもそも<体術>のスキルを習得するにはLP10が必要なので、現時点で《あばれ倒し》を覚えることはできない。


「こんなことなら、武器を買って持ってくるんだったかな。今なら<片手剣術>とか<弓術>とか、習得することができるのに」


 そんなことを考えながら視線を彷徨わせていると、革のショルダーバッグに目がいく。

 

(そうだ。さっき水晶ジェムを拾ったんだった)


 水晶ジェムがあれば、魔法を詠唱することができる。

 試しに火魔法の一覧を表示してみることに。


-----------------


◆初級魔法-ファイヤーボウル/消費LP20

内容:敵1体に火魔法ダメージ(小)を与える

威力50ダメージ/詠唱時間3秒

消費MP5


◆中級魔法-デモンズフレイム/消費LP50

内容:敵1体に火魔法ダメージ(中)を与える

威力120ダメージ/詠唱時間5秒

消費MP10


◆上級魔法-ファイナルボルケーノ/消費LP100

内容:敵1体に火魔法ダメージ(大)を与える

威力450ダメージ/詠唱時間7秒

消費MP30


-----------------


「おっ、《ファイヤーボウル》なら覚えることができるぞ」


 クインペリーは防御力が高いから攻撃力を上げて<体術>を覚えるよりも、《ファイヤーボウル》を覚えてしまった方が楽に勝てるかもしれない。


 [冒険者(シーカー)の鉄則 その6]

 ダンジョン内では即断即決すべし。


 ダンジョン内での迷いは命取りとなる。

 こうやって迷っている間にも、魔獣が襲いかかってくることだってあるんだから。


「うん。これでいこう」


 そのまま《ファイヤーボウル》の項目をタップする。


 『LP20を消費して《ファイヤーボウル》を習得します。よろしいですか(Y/N)?』


 表示されたアナウンス画面を見ながら、ふと思った。


(もう一生魔法なんて習得できないと思ってたのに)


 胸に熱いものが込み上げてくるのを感じながら、(Y)を選択する。


 『《ファイヤーボウル》を習得しました』


 その画面を確認すると、僕はもう一度下の階へ降りた。






「ピゲェェェッ~~!」


 クインペリーは相変わらず敵意むき出しのまま威嚇した声を張り上げていた。

 フロアに降り立ったら、すぐにでも襲いかかるぞと言わんばかりだ。


 階段の途中でショルダーバッグの中から水晶ジェムを取り出すと、それを右手で強く握り締める。


(水晶ジェムは1つしかない。チャンスは1回限りだ。慎重に……)


 絶対に外さないようにクインペリーに狙いを定める。

 魔法の発動方法や詠唱文については、学校の授業で何度も見て学んできた。


(大丈夫……僕なら当てられる!)


「〝魔法発動(マジックアクション)〟」


 そう唱えると、握り締めた水晶ジェムからは光が溢れ出し、右手の甲に小さな魔法陣が浮かび上がった。

 あとは、詠唱すれば魔法を放つことができる。


 しっかりと狙いを定めて…………今だ!


「〝裁きを下す煉獄の魔炎よ 今こそその力を発現し 我の敵となるものをすべて焼き尽くせ――《ファイヤーボウル》〟」


 その瞬間、手のひらから大きな火の玉が力強く放たれて、クインペリーに向かって飛んでいく。


 ドカーンッ!!


「ピゲェッ!?」


 クインペリーは、燃え盛る炎に飲み込まれ、一瞬のうちにして倒れた。


「や、やった……」


 生まれて初めて魔獣を自分の力で倒すことができたぞ!


 思わず嬉しさが込み上げてきて、その場でガッツポーズしてしまう。


 あとは、<アブソープション>がちゃんと使えれば……。

 焼け焦げたクインペリーを前に両手をかざしてみる。


「〝アブソープション〟」


 すると、今度こそクインペリーは、手のひらへと吸い込まれていった。


「……よし。LPもちゃんと増えてるね」


 水晶ディスプレイを確認して、ようやく僕はホッとため息を漏らす。

 一時はどうなることかと思ったけど、この調子なら問題なく先へ進んで行けそうだ。


 ひとまず、今日はここで切り上げることに。

 明日は水晶ジェムを忘れずに買ってから、ダンジョンへ挑むことにしよう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] スキル習得条件がわからない。 体術10と初級ではじめはLP40かかるのかな。 魔法はジェムがあるから20でよいのかしら?
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