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紅茶にお砂糖入れますか??  作者: 悠々
二章 文化祭
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第9話 神代祭始動

May 20 (Wednesday♪)




放課後、湊達は喫茶店ではなく教室にいた。


目的は1週間後の27日から29日の3日間で行われる文化祭、通称神代祭に向けての話し合いだ。


今日5月20日以降、6限の授業が終わってからの50分はLHR(ロングホームルーム)という形で放課後クラス活動の時間が設けられている。


今日決めることはクラスでの出し物と2日目の午後に体育館で行われるステージ発表、そしてクラスTシャツのデザインだ。


この学校では、1年を通してクラス単位の行事でクラスTシャツを着て行う。


鈴達によると、9月に行われる体育祭でも同じTシャツを着るらしく、メッシュ素材じゃないと暑すぎて死ぬらしい。


去年実際に体験した人達の言葉だ。説得力がある。


「では過半数の賛成がありましたので、Tシャツのデザインはこのデザインで決定したいと思います」


教卓の前で話の進行を行っているのはこの学校で副生徒会長を務め、クラスのリーダー的存在の雨宮天 美来だ。


過半数が賛成したデザインは、学生から人気のある大手スポーツメーカーのロゴマークが背中に印刷されたシンプルだがかっこかわいいものとなっている。


「では次にクラスでの出し物ですが、何か案はありますか?」


「射的はどう?」


「私、綿あめ作りたい!」


「コーヒーカップはどうかしら」


色々な案が飛び交う。


因みに最後のコーヒーカップというのは、最近SNSで注目されている手作りで遊園地のコーヒーカップを再現したものである。


「なぁ鈴?」


「ん?どした?」


「去年って何やったんだ?クラスの出し物」


隣の席に座っている友人島田 鈴に問いかける。


「去年はじゃがバターを作ったの。結構人気でね、途中で買い出しに行ったりして楽しかったなぁ」


「そうなのか、楽しそうだな」


そんな会話をしていると案が出尽くしたのか教室が静まり返る。


「これで全部かしら。それじゃあ多数決で決めましょう。みんな机に伏せて」


全員が自分の意見を尊重できるよう、投票時みんな机に伏せて手だけあげる形式で投票する。


「…2.3.4人。全部で40人。うん、全員上げたわね。それじゃあみんな顔を上げて」


全員が投票に参加したことを確認してミラが合図を送る。


顔を上げ黒板を見ると


「…お化け屋敷が15票で1番多いか?」


「票が多い順にお化け屋敷、コーヒーカップ、射的だね。あとは他とかぶってなければ決定、被ってた場合は話し合い、もしくは代表者のジャンケンで決まるよ」


「被る?」


「多様性を重視してるから同じ学年で同じ出し物は原則禁止なの」


「そうなのか…どれも人気そうだけど」


4位に執事喫茶があるため、ミラには絶対に勝ってもらいたい。


とそこにずる賢く他のクラスの偵察に行っていた担任の佐倉先生が帰ってきた。


「…どこも考えることは一緒ね」


「やっぱりそうですよね…」


佐倉先生は黒板を見るなりそう呟く。


「因みに全部他に取られた場合どうなるんだ?」


「その教室は休憩所になるよ」


「多様性を求めすぎた結果がこれか」


「何か他とは違うインパクトのある案があればいいんだけど……」


と、1人の生徒が手を上げ発言する。


「電球ソーダなんてどうかな?」


電球ソーダとは電球の形をしたボトルに炭酸飲料を入れた飲み物である。


「確かに他のクラスで出てなかったな」


佐倉先生がそういうとみんなから賛成の声が上がった。


「では2-7の第1候補は電球ソーダで決まりね。次は2日目のステージ発表だけど、まず何をやるか決めましょう」


そう言ってミラは黒板に「劇、ダンス、歌、コント…」と書き出していく。


結果は劇がダンスに1票差で勝ち、劇をやることになった。


「なんの劇をやるかでいい案はあるかしら?」


と、その時LHRの終わりを告げるチャイムがなる。


「じゃあ劇の内容の案に関しては明日までに考えてくること。私はクラスの出し物の話し合いに行ってくるわ。先生、これクラスTシャツの案です。発注よろしくお願いいたします」


「はい、じゃあ集金の方は来週の月曜日にやるから持ってくるように。解散」


そう言って2人は教室を出る。

それに続いてみんなが行動し始める。


「美来ちゃんのこと待つ?」


「今日は喫茶店お休みするってさ」


そう言って今送られてきたミラとのTtime!の画面を見せる。


「じゃあ帰ろっか」


「そうだな。なんの劇をやるかも考えないと」


荷物を持ち教室を出る。

昇降口前で湊達の先輩である朱鷺坂 久遠先輩と合流し、並んで歩き出す。


「先輩のクラスは何やるんですか?」


「うちのクラスは、私が喫茶店やってるって知ってる人が多いから喫茶店をやることになったんだけど…」


「ど?」


「何故かメイド喫茶をやることになっちゃって」


「先輩がメイドやるんですか?!」


鈴が驚きの声を上げる。


え、何それめっちゃ見たい。


「あぁいや多分私はメイドにはならないかな?厨房の方で仕事あるだろうし」


…まぁそんな落ちだろうと思った。


「えー、鈴、先輩のメイド姿見たかったなぁ」


湊も見たかったが、言ったら引かれそうなので言わなかった。


「御神苗君のクラスは何やるの?」


「うちは電球ソーダをやるらしいです」


「文系が理系っぽい商品売るの、なんか面白いね」


「言われて見ればたしかに」


電球が理系と文系どっちかと言われたら理系っぽい感じがする。


「そうだ、ステージ発表は何をするんですか?」


「ダンスを踊る予定だよ〜、御神苗君達は?」


「うちは劇をやる予定なんですが、何をやるかはまだ…」


そんな話をしていると喫茶店が見えてきた。




「明日からは本格的に神代祭の準備が始まると思うからお店はしばらくはお休み!」


閉店後、店内を掃除していた湊と鈴を久遠先輩が言う。


「なんか寂しいね」


「そうだな」


「文化祭終わったら打ち上げでもしましょ!」


「さんせー!」


店の外に出て建物に「またな」と告げ喫茶店を後にした。

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