異世界選択
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馬鹿と天才は紙一重。
これは紙一重な人間が巻き起こすファンタジーである。
天才は常人では想像もつかない着眼点から優れた研究や作品を生み出すが、その着眼点があまりにも常識とかけ離れていたとき、認知に及ばないときなど、常識を知らない馬鹿と見分けがつかない。ということである。
天才が馬鹿から生まれるゆえに、馬鹿が全て天才ではないという事実が世の理不尽を表していたりもする。
では、馬鹿と冴えが紙一重な人間が、摩訶不思議な力を身につけファンタジー世界に降り立ち、気まぐれに生きたらどうなるだろう。
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・・・今幕は上がる・・・
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「・・・夢?・・・じゃないな、匂いがある」
草木の香りが鼻をくすぐる。
辺り一面は闇であり、男が認識できるものは香りだけであった。
「誰かいないのか!聞こえるなら教えて欲しい!ここはなんなんだ!」
叫びに伴い、辺り一面に光の粒子がポツポツと現れてきた。
男は動揺するが、冷静に見つめ続ける。
「(なんか、動きがあるかな)」
すると、
「〈聞こえますか、異世界の者よ〉」
「はい!聞こえます!」
「〈私は呼び神。コシンとでもお名付け下さい。〉
「呼び神コシンさんですね。
私の名はコウセイです。教えて下さい。
ここはどこで、私は何故ここにいるのでしょうか」
「〈人族のコウセイさん、今から話すことは現実でもあり、非現実でもあると心得下さい。
全ては貴方の意思により、左右される、そんな世界に来てしまったとお思い下さい。
よろしいですね?〉」
コウセイに聞こえるその声は、どこかで聞き覚えのある声質で、不快感などはなく、コウセイの動揺心を落ち着かせていた。
「話を聞かせて下さい。
心象悪くさせては申し訳ありませんが、貴方の物言いには人を騙すような感じがしませんし、この状況で今の私はあまりに無力。
貴方の話すことに耳を傾けるしか術はありません」
「〈・・・全ては貴方の死から始まります。
コウセイさん。貴方は死んでしまっているのです。
記憶はありますか?〉」
「!?死んだ?私がですか?いつ、どこで、記憶なんて・・・!」
導かれる声に質問され、死んだことに一度落ち着けた動揺が再発する男には何が何だか分からなかった。
記憶の遡り。
コウセイは必死に頭を抱えて思い出す。
暗闇に包まれる草木の香りを忘れかけ、香りを嗅いだ時、思い出した。
「!おれは、草むらに出て・・・硬いものを踏んだ」
「〈そう、地雷です。
コウセイさんは地雷原とは気づかず、その殺戮兵器を踏んでしまい死んでしまいました。
私は、そのような意思とは無縁の死に目にあった者を呼ぶ力を持つ神です。
死んでしまってそれきりになる者を私は許しません。
意思ある死であれば、私の力は機能しません。
ですがコウセイさん、貴方は呼ばれてここにいます。〉」
「つまり、コシンさんが私をここに呼んだということですね」
「〈そうです〉」
「お呼びになった者はどうするのですか?」
「〈私が呼びここに来た者は選択することができます。
そう、生死の選択を〉」
「生死の選択?生き返られるのですか?」
「〈元の世界での生き返りは不可能です。
ですが、違う世界、コウセイさんが望む世界に生き直すことは可能です〉」
「まじですかー!っと申し訳ございません。
本当なのですか?私の望む世界に生きていくことが出来るのですか?」
「〈ふふふ、その様子だと死は選ばないようですね。
分かりました。
では生きる選択をされるコウセイさんに、生命の扉を開きます。
生を望むのであれば、扉に入り、楽な姿勢で座り、心を鎮め、閉じた眼の内側に開かれる選択肢を心の中で念じ、お選び下さい。
貴方の望まない選択肢が出る事がありますが、慌てず、貴方の望む選択をされることをお勧め致します。
分かりましたか?〉」
「・・・選んだら、引き返せないのですよね?」
「〈選んだ場合、全ての生死に意思なき事態が発生した場合のみ、この場に呼ばれる事になります。〉」
「意思なき生死が発生したら、この場にまた呼ばれるなら、まだ、救いはありそうですね。
分かりました。生命の扉でしたか?入ってみます。」
「〈コウセイさんの生への意思を確認致しました。
生命の扉を開きます。
気持ちを落ち着け、楽な姿勢で目を閉じて、選択肢を進めて下さい。
貴方に意思ある人生があることをお祈りいたします。
ライフセレクコールコウセイ〉」
呪文のようなものが聞こえたかと思ったら、コウセイの前に赤い扉が下から浮き上がってきた。
コウセイが手を握り、勇気を出し、扉の前に足を進めて、気持ちを落ち着ける。
「頼むぞ、俺の人生」
歩を進めるコウセイ。
今は分からぬ世界を信じ、今扉は開かれる。
皆様、お読み頂きありがとうございます!