月並な出会い
「〜〜〜〜」
「〜〜〜〜〜〜!〜〜」
近くで誰かの声がする。聞いたことない言語だ。うう、体の節々が痛い。あと、寒い。夢じゃない。僕はベットで寝てたはずだ。あれ何してたんだっけ?怖いので考えるのをやめ、恐る恐る目を開け、体を起こすとそこは草原だった。周りには高い塔が幾つも見える。
そして目の前には女の子が二人。
「え、?ここ、どこ?」
「〜!〜〜〜!〜〜!」
僕が喋ると、二人のうちの一人が激しく反応した。暗い緑色の髪と黒い目をし、黒いコートで体をすっぽりと覆っている小学生くらいの子だ。あいにく何を言っているのかはわからないが。
その隣には赤茶色の髪と目をした高校生くらいの女の子がいる。小さい子と同じようなコートを着ていた。女の子は、なにか小さい子が面白いことを言ったのか笑ってる。
一頻り笑った少女は僕に向かって手を伸ばした。
「ひぃっ」
突然のことだったので後ずさりし、変な声をだしてしまったが、少女は構うことなく僕のおでこに指を突きつけ、目を閉じた。
「〜、あー、私の言ってること、わかる?」
「えっ、あっ、」
わかります、と答えようとした時、
「あぁもう!いい加減にしろ!今すぐ、服を脱げ!」
女の子の方が僕のそばに来て服を引っ張る。
あれ、なんで僕、学ラン?と思いつつ、女の子を引き剥がす。
「あの、ここどこですか?」
もしかしたら、ドッキリとか?
少女の方に尋ねる。
「お前こそ何者だ!どうしてここにいる!?」
「落ち着け、ノーデム。こいつは嘘つい無いぞ。操られてる訳でもなさそうだし、面白い。私はラーガ・フェブラリ。」
ラーガと名乗った少女はにっこり笑って手を差し出した。
見た感じ外人だが、握手の文化は共通なんだな。
「どうも、僕は月並 草太って言います。」
一瞬名前が出てこなかった。
ヤバすぎだろ。
なるべく自然に笑みを浮かべ自然に手を握る。
やわらかいぃ、うへへとにやけるのを抑えるのに必死だ。
ラーガの方を見ると、瞳をまん丸にして驚いていた。
あっ、握手は僕の勘違いとか?ヤバイ、離さなきゃ
「えっ、ははは」
っと思ったが手が離れない。ラーガが握っている。
「いや、大丈夫だ。此方にも握手の文化はある。ただ、まぁ久しぶりだったからな。」
さっきとは種類の違う、はにかんだような笑顔だった。かわいいぃ。
「おいっ、僕は無視か!僕はノーデム!ノーデム・エメラ!未来の大魔術師様だぞ!」
えっへん、と胸を張って言う幼女。
しゃがんで、挨拶すると手を突き出される。
「んっ!」
意図はわかるが、あまりのも可愛らしいので敢えてとぼけて見せると
「この!ラーガとはできて僕とはできないのか?この臆病もの!」
顔を真っ赤にして抗議する。
「冗談だよ〜、どうもよろしく」
小さな手を握る。やっぱり、ここでの握手と僕のいたとこでの握手は意味が違うのかな。
彼女たちの変な反応の意味がわかったのはずいぶん後だった。