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酒場にて
きつい酒の匂いが充満する
野郎共の喧騒が潮の満ち引きのように大きくなったり小さくなったりと響き方を変えている
まるで、他人事のように酒場の片隅でじっとしていた
結論はみんなわかってる
彼らに未来はない
ただ、心の問題
これだけはどうしようもない
今だけでも、騒いで忘れてしまいたいのだろうか
「どうせ、俺たちは、いや言葉にするのは無粋だ。わかってるよな、マクウィル。」
「それが、最期の言葉ですか」
赤らんだ顔
息も酒臭い
豪快に笑う中年は明日死ぬとも思えない
「いや、もっと、威厳に溢れるな、ものを、」
「冗談です。王の敵に最期の言葉の権利は、
言い終わらないうちに男は大きく笑う。
「あの、鋼のがねぇ!冗談とは!こりゃいい!いい、土産話だ!」
「おいおい、酔っ払ってんじゃねぇがぁ?」
やがて、夜は明ける
彼らはもう二度と、馬鹿騒ぎはできない
間違いなく、俺は、その原因の1つ
夜は、明けた