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英雄の子、旅立つ
冒険ものに初挑戦させていただきます。
英雄は時代が生む。
貧しさや怒り数多の悲しみの先に人々は英雄の存在を渇望した。
私の父は英雄だった。
帝国による百年の支配から人々の命を救った。
多くの人が父を尊敬し、褒め称えた。
私も父のようになりたいと思った。
馬に乗り野を駆け強い敵と戦う覚悟があった。
しかし国は平和だった。
王立騎士団は鉄壁の守りを誇り、反乱しようとする者はいなかった。
何か起こらないかと思いながら馬を走らせていると泉に着いた。
すると泉の水面が鏡のように何かを映し出した。
それは影の軍勢によって国が滅ぶ光景だった。
私は目を疑ったが、夢か現実かわからなかった。
茫然としていると泉の中から乙女が現れて私に接吻した。
彼女は助けてくれと言った。
そして助けてくれるならきっとあなたの願いが叶うと言った。
私は乙女を助けるべく国を去ることにした。