プロローグ
「勇者様、とうとうこの日がやってきたのですね」
私に勇者の剣を渡しながら、パーティーの一人であるシルクが言った。
「ええ、今日まで頑張ってきたのだもの。私たちになら、あの冥王を倒せるわ!」
剣を受け取り、背中の鞘に挿し込む。
「さあ、行きましょう!」
私は勇者エリアス。冥王を討つ者。パーティーの三人、シルクとフェリンとアークスを連れて、これから冥界へ行くところ。
私たち四人は、これまで多くの魔物と戦い、多くの経験を積んできた。
この四人なら、冥王を倒すのも苦ではない!
――ついに私たちは、強き魔物を退けながら、冥王の城の上層……冥王の玉座へとたどり着いた。
「ついにここまで来たか、勇者ども」
玉座に座っていたのは、白菜頭で緑色の、髑髏を付けた鎧を身に纏う、野菜みたいな残念なイケメンという感じの、若き冥王だった。
「私の名は勇者エリアス。今こそ貴様を打倒する!」
「やれるものなら、やってみろ!」
そして、私たちの戦いは始まり、たった五分で決着はついた。
「ぐはっ!――これで私を倒したと思うなよ?私は冥界の王だぞ!ここで朽ち果ててたまるかぁ!」
そう叫ぶと冥王は、崩れかけている冥界の穴に落ちていった。
「終わった……!終わったぁー!」
四人で冥界を脱出するべく、冥王の城の廊下を走っている時、私は一人で大声を出して大喜びした。
これで世界は救われ、人々に平和が齎される。
――だが、私の奇妙な生活は、これから始まるのだった。