第七十七楽章 決戦の刻・前哨戦
ついにヤズミ討伐の為の作戦が開始された。ナオがこの時の為に建造を続けていた《エクスカリバー》の二番艦、《アロンダイト》と三番艦の《ガラティーン》はギリギリで間に合ったものの、本気で艦隊戦をやるつもりなら重巡洋艦や駆逐艦は欠かせない。
「つまりヤズミが艦隊戦を挑むつもりなら、少しばかりハンデってところか?」
「そうなるわ。でもどの道機械天使がメインの敵になるなら、戦艦の火力はちょっと危ないかもだし」
機動力が違い過ぎるとナオは苦笑した。
「構う事はねえさ。その《アロンダイト》は俺達に任せて貰えるんだろ?」
やる気満々のカイルに頷き、アルベルトは自分の右手に目をやった。
「お前も動くのか?アレキサンダー」
寡黙な守護竜は今回も沈黙を保ったままアルベルトの召喚に応じる事を誓約した。相変わらず何を考えているのか分からないと苦笑しつつも、アルベルトはありがたくその申し出を受ける事にしていた。
「三隻の戦艦で何処までやれるかは分からないけど、やってみましょう」
ナオに頷き、アルベルトは艦長席に座る。
「陣形はどうする」
「まずは《アロンダイト》を先頭に《ガラティーン》、《エクスカリバー》の順番で隊列を組むわ。戦闘が始まったら《エクスカリバー》の主砲と魔導砲を斉射して敵の大半を薙ぎ払った後、アロンダイトの火力で残りを掃討。撃ち漏らしを《ガラティーン》が引き受け、そこでも撃ち漏らしたらそれは《エクスカリバー》が引き受ける。これでどう?」
アルベルトは軽く頷き、その旨を各艦に通達する。《アロンダイト》を預かるカイト、《ガラティーン》を預かるトロイからも了承の返事が入った。
「ではこれより我が《逆十字連合国》はヤズミの決戦に赴く。各員の奮起に期待する!!」
索敵を行っていたセルヴィがヘッドホンを付けたままこちらを振り返った。
「前方に敵機械天使を確認!」
「数は?」
ナオは慌てる事なく問いかけた。
「凄い数です。推定20000以上……空が3で敵が7!繰り返します、空が3で敵が7!」
「上等だ!ナオ、悪いが指揮を任せるぞ」
「アルは?」
アルベルトは席を立った。
「甲板に出る。場合によっては俺も迎撃しないとな」
「分かったわ。武運を」
腕を引っ張られて思わず屈むと、ナオは抗う間を与えずにアルベルトの唇に自らのそれを重ねてきた。
「マオとセルヴィはこの戦いを制した後で白兵戦に加わるから」
「了解だ。頼むぜ」
耳まで真っ赤になったナオを艦長席に座らせ、アルベルトはブリッジを飛び出して行った。
「もう……」
微かに想い人の温もりを残したシートに不思議な居心地の良さを感じつつ、ナオは大きく息を吸い込んだ。
「目標、機械天使群!全砲門発射用意!!砲弾は4門刻みで全ての属性を装填せよ」
「よーそろー!」
マオの返事は微妙に場に合っていないのだが、そこはこの際些細な問題だ。ナオはレーダーを埋め尽くす敵の面(本来なら点で表示される敵が埋め尽くすようにいる事を示している)を身ながら嫌な動悸を強める胸を押さえた。
「撃ち方初め!目標、敵機械天使群体……てええええええええええ!!!!」
主砲・副砲が一斉に火を噴き、前方に展開する《ガギエル》や《サキエル》を薙ぎ払っていく。爆発する機械天使で炎の花が空に咲き始めた。
同時刻。《アロンダイト》のブリッジでカイルはその様子を双眼鏡でじっと見据えていた。
「アニキ!《エクスカリバー》が撃ち漏らした機械天使がこっちに向かって来ますぜ!」
「応!ならこっちも応戦するぜ!!」
《アロンダイト》に装備された魔導砲は《エクスカリバー》と比べると数こそ少ないが、威力はどれも既存の物を大きく上回っている。カイルは今までの鬱憤とアルベルトとの約束を胸に声を張り上げた。
「野郎共!遠慮はいらねえ、思いっきりぶっ放しやがれ!!」
『分かったぜアニキいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!』
魔導砲が次々と放たれ、当たるを幸いとばかりに《ガギエル》を撃ち落していく。やはり動きが鈍重なのか、弾幕を掻い潜って来る《サキエル》はいないらしかった。
「アニキ!機械天使の何割かが俺達じゃなくて別の方角に行きやがった!《ゼルエル》もだ!」
「何ぃ!?」
そちらに気を取られた隙を突かれ、何体もの《ガギエル》が《アロンダイト》を掠めて後方へと飛んで行く。カイルは歯噛みしつつも、自分の役割は飛んで来る敵を撃ち落す事と割り切り席を立った。
「アニキ?」
「俺も甲板で一暴れだ!此処は任せるぜ!!」
返事も聞かずに甲板へ飛び出し、カイルは得物の錨と銛を構えて大きく振り被った。
「此処から先、五体満足で通れると思うんじゃねえぞ!!」
他の子分達も各々得物を構え、雄叫びを上げて天使に襲い掛かった。
アルベルトは甲板に立ち、《アロンダイト》を突破して《ガラティーン》に迫る天使を見据えた。
「我が意に従い、我が声に応えるべし……!」
もし《ガラティーン》も突破されたらかなり苦しくなる。そう考え彼はアレキサンダーの召喚に踏み切ったのだ。
「それは誇り高く頑健なる盾!この日この時、平穏を望むならば応えよ!!」
機械の音と酷似した咆哮。それは初めて聞いたアレキサンダーの声だったのかもしれない。
「その名は守護竜アレキサンダー!我は汝の鎖を手繰り、動乱を平和へと変える者……アルベルト・クラウゼン!!」
《エクスカリバー》を足場に、鋼の城を思わせる巨大な竜が立ち上がる。
(我の守護をもって汝の契約に応えん!!)
「ようやく喋ったな。アレキサンダー」
寡黙な竜はそれ以上は語らず、両肩から放たれる光で群がる機械天使を次々と撃ち落していく。その弾幕を掻い潜った者もいたが、アレキサンダーの展開した障壁を突破できずに自滅していった。
「しばらくはこのまま防衛と迎撃を担当してくれ。このまま突っ込むぞ」
それだけ指示し、アルベルトは静かに前を見据えた。
その頃、ヤズミは崩壊した《ヴァルハラ》の一部を禍神の力で瓦礫の大陸と化して自らの居城としていた。そこには戦場の様々な情報が送られており、彼にとっては殆どゲームと変わらない感覚だった。
「馬鹿だよねえ。《ゼルエル》の砲撃をあの程度の結界で防げるとか思ってるんだから」
《西国》と《北国》に向かわせた《ゼルエル》に指示を下し、砲撃で結界を破らせる。
「さてどうする?救援に向かえば自分達が死ぬし、そのまま進めばおのれが嫌う犠牲を容認した勝ち方になる……どっちに転んでもおのれは壊れるかな?」
心を満たす愉悦に笑い、ヤズミは玉座に座り直した。
同時刻。結界を破られた《北国》は慌てる事なく迎撃を行っていた。
「戦車隊前へ。砲弾は対空焼夷弾を用意、撃て!!」
モニカの指示の下、独自に開発された新兵器が轟音と共に次々と放たれていく。砲弾は空中で炸裂し、無数の槍となって群がる《ガギエル》に襲い掛かった。
「展開する敵機械天使群の49%を撃墜!女王陛下、如何なさいますか?」
「当然攻撃を続行します。次弾装填までの時間を稼ぎつつ防衛戦を維持」
その時間は魔導銃を構えた兵士達が弾幕を張る事で防ぐ。魔女の数で劣る部分を科学で補った《北国》の姿だった。
「炸裂弾頭用意!撃ち方初め!!」
「陛下、せめてもう少し後方へ下がりませんか?」
気遣わしげな侍女にモニカは首を振った。天使の攻撃で少なくない数の兵士が死んでいく様を見続ける事を忍びないと思ったのだろうが、モニカにとってそれは譲れない事だった。
「私にはアルのように前に出て戦う力も、ルクレツィアのように覚悟を決める勇気もありません。ですから……せめて私の言葉を信じて戦う兵士達の命、その責任を取りたいのです」
見届ける事が責任を取る事なのかは彼女にも分からない。だが分からないからと言って逃げて良い理由にはならなかった。
「全てを倒す必要はありません!アル達が、私達の《勇者》がヤズミを討伐した時に私達が立っていれば勝利です!!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!』
砲火が唸り、天使が爆発し兵が切り裂かれる。戦いは始まったばかりであった。
《西国》も戦乱の火蓋が切って落とされていた。
「早く!こっちよ」
母親に手を引かれ、6歳程の男の子が戦火に包まれる町を走っていた。本当ならさっさと王宮に避難していなければいけなかったのだが、ペットの猫を探していたら逃げ遅れたというしょうもないオチであった。しかも猫は勝手に逃げてしまい時間切れとなっていた。
「あ!」
耳鳴りのような音をあげて《ガギエル》が飛来し、ソニックブームで建物が砕かれる。母親は咄嗟に降り注ぐ瓦礫から息子を突き飛ばして庇い、自分はその下敷きとなった。
「お母さん!」
「だ、大丈夫よ……逃げなさい!」
足をやられて動けないまま、母親はせめて息子だけでも逃がそうと声を張る。その声に釣られたのか2体の《サキエル》が姿を現した。
「逃げて早く!」
「う、ああ……」
男の子は恐怖で涙を流しながら母親と《サキエル》を交互に見る。そして何を思ったか、落ちていた板の欠片を拾い上げて棍棒のように振り上げた。
「こ、こっちだお化け!おまえなんか、怖くないんだああああああああ!!」
子供の力で投げつけられた木材など機械天使には通じない。だが敵対行動を取る子供を敵と判断したのか、《サキエル》は母親より先に子供の方を始末しようと腕を振り上げた。
「やめてええええええええええ!!」
足を千切ってでも子供を庇おうと母親はもがくが、間に合わない。《サキエル》の拳が子供を叩き潰そうと振り下ろされたその瞬間、閃光と共に腕が斬り飛ばされた。
「誇れ、幼き戦士よ。お前の勇気が産んだ数秒の時間は2人の命を救ったのだ」
真紅の装甲、逞しい巨躯。鋼の竜・《マグナストライカー》の背に乗り、ルクレツィアが魔剣を両手に装備して立ちはだかっていた。
「《魔装騎兵団》!守るべき民を1人として死なせるな!!」
『御意!!』
バルクレイ達力自慢の兵士達が母親の足を戒めていた瓦礫に近づき、力を合わせて持ち上げる。子供の方は別の兵士が保護し、母子共々避難所へと馬を走らせて行った。
「さて、何時までもアル達に頼ってはおれんし……此処は妾達の手で守り抜くぞ!!」
《ダインスレイヴ》のうち、柄の黒い剣を構えてルクレツィアは叫んだ。
「シュヴァルツ!!」
その声に呼応するように剣の刃が光の鞭となり、《サキエル》の残った左腕を絡め取る。ルクレツィアはその鞭を手繰るように跳び、胸部のコア目掛けて白い柄の剣を突き刺した。
「このまま砕け散れ!!」
内包された魔力が炸裂し、内側から破壊された機械天使は断末魔とも思える機械音を響かせながら崩壊した。
「マグナ!もう1体はお前が狩れ!!」
機械音声の咆哮を轟かせながら《マグナストライカー》はもう1体の《サキエル》に襲い掛かる。特殊合金製で並の鉄や鋼よりも強靭な爪と牙で機械天使の装甲を引き裂き、露となった駆動部分目掛けて口と肩に搭載された荷電粒子砲を同時に叩き込んだ。
「姫様!空の敵は私達が」
「うむ、任せる!」
アナスタシアの率いる魔法兵部隊が空に向かって一斉に詠唱を行う。同一の魔法を同時に行使する事で威力を増大させた一撃は群がる《ガギエル》を薙ぎ払い、爆散させた。
その頃、エミリオも軍を指揮し機械天使と戦っていた。
「防衛線を崩すな!《中央》の正規軍たる誇りがあるなら持ちこたえてみせろ!!」
エミリオは指示を飛ばしながら自分も最前線で剣を振るう。アルベルト達のように容易くとは行かないが、それでも魔法と組み合わせた剣技は襲い来る《サキエル》を次々と斬り捨てていった。
「エミリオ!総大将が前線で暴れる奴があるか!!」
エミリオの背後を取ろうとした《ガギエル》の片翼を斬り捨てながらミランダが叫ぶ。だがエミリオは特に気にせず笑った。
「王様が前に出なくちゃ皆付いて来ないだろ?その辺はアルだってやってるんだしさ」
「あいつの真似は流石に拙過ぎる!」
色んな意味で規格外な《逆十字連合国》の主要メンバーと違い、エミリオはあくまで人間の範疇に収まる存在なのだ。そう言い募ろうとしたミランダだったが、ガーベラの支援魔法で更に力を増したエミリオが戦うのを見て苦笑気味に矛を収めた。
「セーラには及ばないかもしれないが、私だって騎士の端くれ。お前の背中は私が守る!!」
「おう、頼りにしてるぜ!」
もう何十体目か覚えていない《サキエル》を倒し、エミリオは空を見上げた。
(勝って来いよ、親友!)
三隻の戦艦が放つ猛攻によって敵群の中に道が出来る。アルベルト達はその瞬間を見逃さずに飛び込んだ。
「リンドヴルム!思いっきり飛ばせ!!」
(任せろ!)
リンドヴルムの背後を竜化したケーナとリセルが追いかけ、忠勝が殿を勤める。ヤズミの居城に飛び込んだ所でアルベルトはリンドヴルムの背中から飛び降りた。
「よし、皆準備は良いな?」
「ええ!」
気合十分でセーラが頷く。他のメンバーは小春・ケーナ・リリィ・聖四郎・元信・忠勝・ルキナ・リセル・アリアンロッド・トール・ティファニアスである。
「狙うはヤズミの首唯1つ、一気に攻め落とすぞ!!」
『おおおおおーーーーーーーっ!!!』
全員が力の限りに拳を突き上げて声をあげる。
「己の愉悦のみに甘んじ、命を虐げる悪鬼外道に世界は渡せぬ!ヤズミに渡すは引導のみ!!」
聖四郎の気合入れに頷き、アルベルトは《エクスピアティオ》と《レーヴァテイン》を抜いて構えた。
「俺に続け!この戦いで最後にするぞ!!」
忠勝が《蜻蛉切》を回転させながら突撃し、左右を元信と聖四郎が薙ぎ払う。アルベルト達は真っ直ぐに階段を駆け上がり、セーラが殿を務めていた。
「斯様な防衛線如きに我が疾走は止められぬ!天地無双、真田聖四郎いざ参る!!」
装甲ごと撃ち貫かれ、《サキエル》は炎に包まれて爆散する。
「見ていて下され小春姫!必ずや、この戦いを我等の勝利で飾るでござるぞ!!」
「うん!」
小春も錫杖を構え、大きく振り上げた。
「唸れ疾風!轟け雷鳴!風雷破!!」
轟音と共に放たれた竜巻は《ゼルエル》の装甲を切り刻み、脆くなった箇所に雷の槍が突き刺さる。一瞬の空白を経て爆発する《ゼルエル》には目もくれずに小春は走った。
「メテオ・ヘヴィレイン!!」
ルキナの放つ魔法によって天使は蹴散らされ、アルベルト達は順調に上って行った。
アルベルト達に遅れる形でセルヴィはバレリアとマオ、それぞれの兵士を率いて侵入者を迎撃すべく戻ろうとする天使を倒していた。
「此処は通行止め!アル達の邪魔はさせないよ!」
マオの斧で頭を割られた《ガギエル》が倒れ伏し、コアをセルヴィの矢が刺し貫く。すかさず《サキエル》に跳びかかるバレリアに続き、バズバとシバが他のリザードマン達と共に雄叫びをあげて斬りかかった。
「私達の役目は戻って来る機械天使を殲滅する事です!此処で戦えば戦った分だけアル達の負担を減らせます!」
「つまり派手に暴れれば良いんだろ?アタイの得意技だ!」
エルフ達の援護を受けながらリザードマンが前に出て戦い、ドワーフは突破しようとする天使を力ずくで押さえ込む。
「良い皆?アルが戻って来た時に1人でも死んでたら絶対に許さないからね!」
『おおおおおおおーーーーーーーっ!!!!』
士気高く応える兵士達に頷き、マオは斧を構えて再び斬り込む。その背中を守るべくセルヴィは新たに矢をつがえて引き絞った。
どれくらい走り、どれくらいの天使を斬り伏せただろうか。アルベルト達はとうとう最上階を目前に控えた部屋に差し掛かっていた。
「この上にヤズミがいるのか……」
小春の回復魔法で肩の傷を癒しながらアルベルトは首の関節をゴキリと鳴らした。
「アル、今のうちに言っても良いかしら?」
小春がそっとアルベルトの手を握った。
「貴方に会えて、貴方を愛せてよかったわ。何を否定されたとしてもこの気持ちだけは絶対に変わらないから」
「それを言い出したら俺だって同じさ。小春がいて、セーラがいて、ケーナやミスティだけじゃなく皆がこうして俺の傍にいて共に戦い支えてくれる……こんなに嬉しいと思える事はないんだ」
小春は微笑み、一瞬だけアルベルトの肩に頭を凭れさせた。
「うん……じゃあ行きましょう。私達の手でヤズミと禍神を倒し、全てに決着をつけるの。そして小雪を普通の子供に戻してあげようね」
小春に頷くと、今度はセーラが背中に触れた。
「貴方の騎士として今日まで戦えた事が私にとって何よりの誉れであり誇りよ。そしてそれはこれからも同じ」
「セーラという騎士を得られた事は俺に取って幸いだ。死ぬなよ。此処にいる誰一人としてだ」
「当然じゃな。夫に先立たせるつもりも、妾が先に逝くつもりもない」
ルキナが微笑み、アリアンロッドもアルベルトの目の前に立った。
「女神の名において、貴方に勝利の加護を……!」
ティアニアスとトールも同じ様にアルベルトへ手を翳し力を解き放つ。女神の加護が全身を包み、アルベルトの右手に白銀のガントレットとして結実した。
「ケーナもね、アルやコハルちゃんに会えて本当に幸せなんだ。だからずっと幸せでいたい」
「わ、私も頑張りましゅ!」
心からの笑顔を見せるケーナと、緊張の余りに噛むリセルという竜コンビに思わず笑み崩れてアルベルトは頷いた。
「みんな、その……」
「その言葉はヤズミの首を取ってから聞くとしようかの。今は前に進むのみ、妾達の背後に道はないのじゃから」
ルキナに背中を叩かれ、アルベルトは小さく笑ってその言葉を飲み込んだ。
「分かった。じゃあ皆準備は良いか?」
ある者は笑い、ある者は無言で武器を構え、またある者は肩を叩いてアルベルトに意を示した。
「じゃあ行くぜ!伝説を作りにな!」
その言葉と共にアルベルトは扉を《エクスピアティオ》で斬り裂いた。
続く




