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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

凍えるような日

掲載日:2026/03/21

“もう着くわ”


メッセージを見たトモカズは、家の鍵を開け、ゲーム機の電源を切る。何が食べるものがないか確認したとき、家のドアが空く。


「よーっ」

「うい、悪いけど出せる食べ物ないわ」

「えー、じゃあどっか食い行かね」


そう言ったシュウは、ドアを開けっ放しにしたまま、外を指さしている。12月の冷気が、狭い家の中に一気に入り込む。


「さむ、いや早く閉めろ」

「さっさと支度しないと凍え死ぬぞー」




近所のラーメン屋に着いた二人は、券売機で券を買い、空いているテーブル席に着き、注文を済ませる。


「食う量少なくね? 餃子だけって」

「金が無いの」

「いや、俺の前で言う? ワイ無職やぞ」

「ははっ」

「あ、生放送見た? 不倫で炎上したやつ」

「あー、あれね」


いつもと変わりない話をし終わり、二人はラーメン屋を出た。その後、バイトのシフトが入ったとトモカズが言い、二人はそのまま解散する。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



ほとんど知ってる人のいない教室で、トモカズは何とも言えない表情のまま一人で席に座り、隣の教室から聞こえる楽しそうな声を聞いて羨んでいた。

ふと自分の教室を見渡したトモカズは、自分と同じように一人(たたず)む男子生徒を見つけ、意を決して話しかけに行く。




「でさ、あいつロクな返事しねーの、だから友達できねーんだよな」

「へー、ヤバ」

「てかさ、お前腕細くね、割り箸みたい……」

「おい、痛いって」

「いやいや、俺の周りだとこれが普通だから」

「やめろって」





「シュウって奴さ、昨日うちのクラスのやつと喧嘩になっててヤバかったわ」

「あ、そーなの? 昨日休んでたから知らなかった」

「カズと仲いいやつでしょ? なんか聞いてないん? あ、おれ次移動教室だわ、じゃあな」

「おう、また後で」




「あ、それ一口ちょーだい」




「一緒の班なろうぜ」




「明日遊ばん? 部活とか休んでさ」




「あいつウザいから関わるの辞めようぜ」




「俺ら卒業後も親友だよな」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



収納スペースの整理の途中、トモカズは中学、高校の卒業アルバムを見返していた。どの写真も、トモカズはシュウと一緒に写っている。


「お、卒アルじゃん、なつかしー」

「それな」

「あ、そのゲーム俺も持ってたわ、今日はそれ交代でやろうぜ」


シュウはゲーム機と充電器を手に取り、テーブルの上に置いた。そこには、シュウが持ってきた酒と食料が置かれていた。


「はあ、俺まじで実家追い出される寸前でさ、なんか仕事見つかるまで一緒に暮らさん? なんて」


トモカズはまた、何とも言えない表情のまま、ゆっくりと深呼吸をした。


「……もう遅いからさ、泊まってったら?」

「え、なんか珍しくね? まあいっか、じゃあ泊まってくわ」


シュウは嬉しそうにしながらトモカズのゲーム機を開く。







12月の夜、凍えるような寒さで酷く震えたでで、車のエンジンを掛けるトモカズ。

トランクにはずっしりとした黒いゴミ袋が詰め込まれており、ほんのり積もった雪道の上を、ゆっくりと走らせている。







「では、平野(しゅう)さんとは、12月以降会っていないと」

「はい」

「寝ている間に家からお金を盗まれたとのことですが、警察には?」

「いえ……なんというか、少額でしたし……ああ、飛んだんだなって」

「そうですか、ご協力ありがとうございました」




バイトの後、家に戻ったトモカズは、大学入試対策の問題集を開き、勉強に励んでいる。

合間にふと、久々に開いたSNSアプリで昔の友人のアカウントを目にしたトモカズは、最新の投稿に一つだけいいねボタンを押し、また勉強の時間に戻った。

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