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思いは、まだ詩(うた)の中に
あの日、彼が言った。
「詠いたい詩があるんだ」
私は笑ってごまかした。
「へえ、詩人だね」
本当は胸がざわついたのに、素直に聞き返せなかった。
その言葉が耳に残り続けた。
夜。
自分のノートをひらく。
私は詩なんて書けない。
けれど、たったひとつの答えなら、もう知っている。
一行、二行、三行。
拙いけれど、心の奥をたぐり寄せる。
そして最後の行に、そっと記す。
「君のこと、好きです」
ページを閉じ、胸に息を吸い込む。
窓の外、月はとても眩しい。
──隣に、ずっといてもいいですか?
エピローグ
月が沈み、朝が来る。
まだ誰の詩にもならない想いが、今日も胸にある。
──あなたは、どんな詩を詠いますか?




